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ヒメゴト  作者: 渡辺律
常識はなにより大切です。
15/30

01

逆ハーの始まり?

「就職、しようかなぁ」


 まさか、その一言が引き金になるなんて誰が予想できたというのか。















 王太子の求婚を頑として突っぱねているつもりなんですが、なんだかのらりくらりとかわされているうちに、18歳になってしまったYo!

 18歳になったとはいえ、まだまだ身体の成長は追いついてなくて、外見はせいぜい15歳から16歳といったところ。鏡で見たわたしは結構な美少女です。ロリコンにはたまらんのじゃないかなー。

 とはいえ、うちの一族は基本的にわたしよりきらきらした美形ばかりなので、うちの一族のなかではわたしは平々凡々といったところ。アイドルになりたいの、なんていう願望はこれっぽっちもないので平凡な方がわたしとしてはありがたいけれど。集団に埋没できるって素晴らしい個性だよ、これも。


 でもでもですね、うちの国において女子の結婚適齢期はだいたい14歳から16歳とされていて、わたしは嫁き遅れ、というやつだったりします。本当は14歳とかで結婚するために12歳あたりから婚約者が決まるんだけど、わたしの場合はそれどころじゃなかったし、家族が大反対してた、というのもある。身体の成長が遅いせいで虚弱体質だったし、なぜか家族だけでなく一族中から溺愛されてたからね。

 なもんで、婚約の申し入れがあってもすべて断っていたせいでいつの間にかわたしも18歳。今更婚約なんてのもちょっと微妙だし、わたし自身としても結婚は面倒だなぁと思っているので、一生独身としてやっていこうかな、ってところ。


 一生独身、っていうのは別に問題ないんだけど、実家にいつまでもおんぶにだっこというのもあんまりだなと思うわけですよ。

 そりゃあ、うちは公爵家だし、なんかそれだけじゃなく商業にも手を出しているみたいだからお金に困るっていうことはないんだけど、いつまでも親のすねを齧るっていうのはなんかすわり心地が悪い。

 ので、こりゃー働くしかないな、ってことでの発言だったんですが。





 大 反 対 をくらいましたとも。ええ。

 家族に反対されるのはわかっていたんですが、なぜに精霊さんたちまで猛反対?結婚しないんだからいいじゃんと言いたい。


「リリーナ、親のすねを齧りたくないっていうのは立派だと思うよ。だから安心して僕と一緒に生活しましょう?」


 にっこりと極上の笑顔でそんなことを言ったのは柊青だ。最近、というかわたしが18の誕生日を迎える少し前くらいから風華を除く精霊さんたちは実体化してわたしのそばにいることが多くなった。その理由を聞いたんだけど、みんなはぐらかして教えてくれないのだ。風華ですら意味深に笑うだけ。なんだかなぁ、と思っていたら、柊青の言葉にその場にいた全員が反論し始めた。


「リリーナはずぅっとうちにいるんだ!外になんてださんっ」

「そうよ、そうよ。リリーナはあたしたちのものなんだから。どこにもやらないわ」


 ラルフ兄様とシンシア姉さまがうるさい。ていうか、なんでラルフ兄様、家にいるの。今日は平日の真昼間なのだから、仕事があるのでは。


 わたしの疑問に風華がくすくす笑いながら、王太子に仕事を押し付けたみたい。やるわね、と教えてくれた。それもどうなの。っていうか王太子、威厳なさすぎじゃない?




 きぃきぃわめく兄様と姉さまのとなりで、次兄のヒューイ兄様がうんうん、と深く頷いている。ヒューイ兄様の仕事は不定休だから家にいてもなんらおかしくはないんだど。


「静かになさい。リリーナ、お昼ご飯のときにそんな重大発言をするのはよしなさい。ほら、みんなびっくりしてるじゃないの」


 何も発言していないお母様が優雅な仕草で口元をぬぐいながらそんなことを言った。

 周りを見渡すと、給仕のために控えていたメイドさんたちまでもが放心状態になっている。精霊さんたちは精霊さんたちだけで、誓約はどうしただの、あれは守っているだの、よくわからないことで口論している。口論の内容はまったくわたしには理解できないけど。


「ごめんなさい。でもこんなにみんながびっくりするとは思わなくて」

「それより、なんでリリーナがいきなりそんなことを言い出したのか、そっちを教えて欲しいな」


 お父様がやさしくそんなことを言う。でも手がぷるぷる震えているからいろいろと我慢はしているんだろう。お父様は親ばかだから。


「だって、わたしだってもう18よ?結婚はしないけど、このままうちにずーっといる、っていうわけにもいかないでしょう?それに迷惑かけるばかりじゃなく、自分でも働いてみたくって」

「うちにいればいいじゃないか。なんの問題が?」


 わたしの言葉に間髪入れずに口を挟んだのはヒューイ兄様だ。心底当たり前、みたいな顔をしているから、本気でそんな質問をしているのだろう。ヒューイ兄様は頭はいいんだけど、ときどき天然で困る。いつ天然が発動するかもわかんないから。


「だって、うちで働いてないの、わたしだけじゃない」


 そう、そうなのだ。

 お父様やお兄様方が仕事に就いているのは勿論、お母様とシンシア姉さまだって仕事があるのだ。つまり、仕事がなくてただ遊んでいるのはわたしだけ。

 だったらわたしだって働きたい。何せ、働かざる者、食うべからずの格言が心底染みついちゃっている小市民ですので。



ちょっと尻切れトンボな感じですが、とりあえずここまで。

まだまだ逆ハーっぽくなくて申し訳ないですが、徐々に…。

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