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親心と妄想がばれる


 「ふふ・・・何だか今日はいい天気ですね」

前を歩いている少女が振り返る。

その顔は、彼女の言う通り、いい天気のお日様を浴びて、きらきらと輝いて見えた。

そこに、一か月前の陰りは少しも窺えない。

よくもまぁ、ここまで持ち直したものだ・・・

と、私は素直に感心していた。

私の前を行く彼女は、さんさんと輝く太陽の下、まるで子供のように笑いながら、私を置いてどんどん前へと進んで行く。

「うん、そうだね。・・・けど少し落ち着いたらどうかな?あんまり急ぐと転んじゃうよ」

と、私は少し控え目に彼女を諫めた。

その言葉に、ぴく、とすずめの足が止まる。

そして、恐る恐る顔だけ後ろに回し、

「そ、そうですね・・・ごめん、なさい・・・」

しゅん、としてしまった。

・・・・・・・・・

うん、その顔も、何だかグッとくるよ。

グッジョブ。

けど、そんな彼女の後姿に、すごくいたたまれない気持ちになった。

私の言葉に、一喜一憂、すぐ反応してしまう癖はまだまだ直らなそうだ。

「けど、良かったね。こんなに早く学校に戻れるなんて」

フォローとかそういうのじゃないけど、特に意味も無くそんな事を言った。

「え?・・・はい、そう・・・ですね」

ちょっとだけ、歯切れが悪そうに、

「本当に・・・良かった」

けど、やっぱり安堵したように彼女は言った。


今、私たちが向かっている場所。

これからすずめが通う予定の、学校。

・・・・・・・・・

学校、という名称が正確かどうか私には判らないのだが。

これから向かう場所。

名を、明峰園という。らしい。

らしいという言葉の通り、私はその学校について、一切の情報を持たない。

ていうか、聞いた事も無ければ見た事も無い。

ちなみに、この明峰園は、すずめが以前通っていた学校では無い。

すずめは自ら起こした事件によって、それまで通っていた学校から退学処分を受けていた。

まぁ、当然と言えば当然だ。

誰も好き好んで殺人犯を学校に置いておきたくは無かろうし、誰だって殺人犯と一緒に授業は受けたくはないはずだ。

それに、一番辛いのはすずめ本人の筈だろうし。

そういう経緯で、彼女の編入先が、その明峰園という学校に決まった訳だ。

至極、自然な流れ。

誰だってそうするだろう、という対応。

何の不思議も不満も無い。

無いけど、

「ところで、その明峰園・・・だっけ?」

と、私は目の前をトボトボ歩いて行く少女に声をかけた。

「そこって、どんな学校なの?」

些細な、疑問だった。

私はこの町に住んでもう五年になるが、その名前を聞いたのはほんの一か月前が初めてだった。それまで一度も耳にした事が無かった、その学校の名前。

本当にそんな学校があるのか?という疑問さえ湧いてくる。

場所はすずめが知っているらしく、私はそれについて行ってるだけなのだが・・・

「えっと・・・噂でしか聞いたことが無いんですけど・・・」

すずめは振り返らずに首を傾げながら、

「病院・・・みたいな所、らしいです」

と自信無さげに答えた。

「病院?・・・あぁ、更生施設みたいなやつか」

少し納得。

仮釈放中のすずめが通うのだから、まぁ、そんな所だとは思っていたけど。

普通の学校に編入させるのは、残念だけど、少し無理なんじゃないかなぁとも思っていたし。

訳ありの少年処女を・・・おっと、つい願望が・・・少年少女を更生させる為の、学校か。

社会復帰の為の療養施設。

まぁ、確かに病院かも知れないな。

しかし。

病院・・・ねぇ。

確かに、そういう施設をそういう風に捉えるのは間違いじゃないけど、

「だけど、すずめちゃん。・・・君はそこに病気を治しに行く訳じゃないだろう?」

だからと言って、さも通院するかのようにその学校に通って欲しくは無い。

私はそれを確認するように、彼女の背中に真っすぐ伝えた。

「・・・・・・わかっています」

と、すずめは振り返りながら、小さく私に微笑んだ。

「・・・・・・・・・」

ま、いいか。

すずめの笑顔を見ながら、私は何となく、適当に納得してしまった。

学校か、病院か。

その区切りをつけるのは、他ならぬすずめ自身だ。

真剣に今後の人生を思えばそこは学校になるだろうし、辛くなったらそこは病院にもなってくれるだろう。

それを良しとするかは、彼女次第だ。

・・・・・・・・・

でも、まぁ大丈夫だろ。

すずめは強い。

それだけは、何となく分かっているから。



 明峰園。

今まで聞いた事も見た事も無いとは言ったけれど、案外、その場所は私の屋敷の近所だった。 

まぁ、近所と言うには、各個人の見解の違いがあるだろうけど。

見方によっては近所。聞き様によっては郊外。

そのくらいの位置関係。

地図で見ればもっと近くに感じるかもしれない。

実際に、歩いてものの十分ほどで到着してしまった。その場所。

けれど私は、今までその存在を知らなかった。見た事も無ければ聞いた事も。

それもそのはず。

何故ならそこは、一見しようが百聞しようが、ただの学校だった。

私とすずめちゃんは、その校門の前でしばらくの間突っ立っていた。

馬鹿みたいに突っ立っていたのは私だけで、彼女はそれにつき合ってくれているだけかもしれない。

「・・・・・・・・・」

呆けたように、校門の間からその建物の全容を眺めている。

うん。

ただの、何の変哲もない、普通の学校。

というか、この学校自体、私は以前から知っている。

普通の高校だ。

朝になればこの辺は、その高校の制服を着た学生たちで賑わうし、私はそれを、いつも鬱陶しく思っているのだから。

ガキのくせにイチャイチャすん・・・

学生は清く正しくあるべきだろう、とね。

・・・・・・・・・

ん、まぁそんな事はどうでもいいんだ。

とにかく、その学校は、明峰園という名では無かった筈だ。

もっと、こう・・・なんてゆーか、うん・・・違う名前だった。

明峰園では無い。

確固たる根拠は無いが、そんな気がする。

そんな私の気持ちを察したのか、隣に立つ少女が口を開いた。

 「この学校は、敷地内で二つの学校に分かれているそうです」

「え、そうなの?」

「あまり表立って公表してはいないようですが、明峰園という学校はその一つだそうです」

と、説明してくれるすずめちゃんがとても賢い子に見えた。

けど、すぐ後に。

「まぁ、警察の方に教えてもらった話なんですけどね」

私も初めて知りました、と何だか複雑な笑みを浮かべていた。

「今見えている校舎は、普通の進学校の生徒たちが使っている場所で、明峰園はその内側にあるんだそうです」

「・・・内側?」

変な言い方だな。

「内側って、校舎の中ってことかい?」

別に気になる事でもなかったが、何となく聞いた。

その問いに、すずめは少しだけ首を振って答えた。

「いえ・・・校舎は別々のようです」

あごに人差し指を当て、少しだけ思い出すような仕草を見せてから、

「表側の進学校の校舎がロの字型になっていて、明峰園はその校舎に囲まれる形で建っている・・・らしいです」

「あぁ、なるほど。中庭みたいなもんか」

だから、内側か。

何となく、適当な返事を吐いて、私はその校舎の向こう側を想像する。

見てる限りじゃ別に何とも無いけど。

普通の学校。

けどその向こう側。普段、学校の関係者でもなければ、決してお目にかかる事の無いその場所。

内側。

そこに、件の明峰園があるのか。

知らなくて当然だ。

表の学校で、明峰園の校舎は囲まれているんだから。

明峰園という名も、存在も。

ていうかむしろ、その建設計画には何処と無く隠匿性すら感じるな。

知られたくない、みたいなさ。

まぁ・・・

「とにかく行こうか」

どうでもいいか。

ここですずめちゃんに説明を受けていても仕方ない。

ただ突っ立っているだけでは話が進まない。

よく分らん学校なのは表も裏も内も外もおんなじだ。変わらない。

私はそんな感じでその校門をくぐった。

「あ、はい」

そんな楽観的な私の後に、先程までとはうって変わって少々不安そうな顔のすずめが付いてくる。

話は校長だか教頭だか、そんな偉い人達にしてもらえばいい。

私はそれをただ聞き流していればいい。

・・・っと、失言。

真摯に聞いていればいい。傾聴だ。

それで、今日の仕事は完了。

帰ってまたせろりとイチャつこう。

・・・なんて、本当にどこまでも、その場に即さぬ不謹慎な考えを巡らせていた。

「・・・・・・・・・」


不安や焦燥は。

その時から既に、私の頭の隅でチリチリと動いていた。



 「うわ、マジで中庭だ」

私の第一声。

とても素直でよろしい。

低脳さと凡百さに溢れた素晴らしい感想です。

大変よくできました。

「・・・・・・・・・」

すずめちゃんはただ黙ってその建物を見上げていた。

それは私が想像していたものよりも、はるかに大きな建造物であった。

周りの校舎がでかいのは外から見てきたので十二分に把握していたが、その内側の、明峰園という校舎もまた立派な建物だった。

広大な中庭の中心にそびえたつ、白い外装の建物。

まぁ、建物の規模が大きく立派だとはいえ、その建築様式には些かの疑問が湧いてくるのだけれども。

真四角。

うん、それだけならまだ普通。

几帳面な四角形の建造物など今時珍しくも無い。

それが学校なら、なおさらポピュラー。

けど違う。

ここはそんなポピュラーな世界じゃない。

断言できる。

何故なら、この明峰園という学校のその校舎には、窓が一つも無かった。

「・・・なるほどね」

異常だ。

正面の玄関以外に、外界との接点が見当たらない。

まだ私たちはその正面から動いてはいないけれど、おそらく、ぐるっとこの校舎を見回ったところで、それらしい箇所を見つける事は出来ないだろう。

何かそんな感じの建物だった。

周囲を拒絶しているような。

周囲から隔絶されたような。そんな雰囲気しか漂ってこない。

そんな場所に、これからこの少女は通わなければならないのだ。

不憫で仕方ねーな。まったく。

「あら・・・あなた達は・・・」

突然。

「ここに何か御用かしら?」

後ろから声をかけられた。

当然。

「・・・ひぃッ!」

声を上げて驚いた。

・・・・・・・・・

いやぁ、自分でも恥ずかしくなるくらい、清清しいビビり方だ。

そんなチキンカスの私をよそに、

「あ、おはようございます」

振り返り丁寧に朝の挨拶をする、すずめちゃん。

誰とも判らない人間にも、とりあえず挨拶。

見上げた精神だ。見習わないとね。

私なんて絶対に、知らない人には挨拶はおろか声すらかけないよ。

「はい、おはようございます」

と、その誰とも判らない人も挨拶で返していた。

「・・・・・・・・・」

その二人を無言で見詰める、私。

見ればその人は、いかにも教職員らしいラフなスーツを着た女性だった。

まぁ、声をかけられた時点で女の人だって事はわかっていたけど。

以外にも、その人は若い女性だった。

女の子と言っても差し支えないくらい。

しかも、結構カワイい・・・いやいや、綺麗な女性だったよ。

とにかく、一目でわかるくらい先生っぽい女の人ってことさ。

日誌みたいな物も持っているしね。

その人が、私とすずめの顔を交互に確認してから、

「それで、あなた達はどこのどなたで、今日は何の御用かしら?」

にっこりと、柔らかな笑みを浮かべて聞いてきた。

見ているだけで好きになってしまいそうな笑顔だ。

そこに、いぶかしんだり不審がっている様子は感じられない。

むしろ、優しく私たちを迎え入れてくれる感じ。

私のような挙動不審者を前にしても、あくまで公平な人との接し方だった。

何とも好印象なその女性に、私はどこからともなく興奮をしてしまう。

興奮と緊張のるつぼさ。

だから、

「え、と・・・今日は、でしゅね・・・」

いきなり噛んでしまう事は、十分に予測できた。

予測は出来たが、予防はできなんだ。

悔しい。

突然の美人教師登場。

それによる極度の興奮と緊張で、最悪の噛み方をしてしまった。

最高に・・・カッコ悪い。

先生が、

・・・ん?

みたいな顔をして、私を凝視している。

ああ恥ずかしい。

なんて恥ずかしいんだ!

こんな綺麗な、しかも先生の前で失敗をしてしまうなんて、何て私はダメな生徒なんだろうか!

先生!

こんなダメで屑みたいな私を、どうかその教鞭という名のムチで・・・

・・・・・・・・・

私の思考が一時停止した。

いや、停止したのは肉体かな。

思考はめまぐるしく動いているよ。

もはやここに書く必要も無い事なのだろうけど、私の魂は感情の海へ泳ぎだしたんだ。

現実というしがらみから解き放たれて、生命の源へ。

誰もがいつかは還る、あの場所へ。

そう。

変態ハイランドという心のふるさとへ。

ちょっと行ってき

「勃起丸さん・・・」

突然、意識の中に声が響く。

その声に、私の魂が物凄いスピードで現実世界へと引き戻された。

「う、うわぁああッ!わた、私の変態アイランドがぁッ!」

直ぐそこに、もうそこまで来てたんだ!

私は全身で、その〝何か〟を求めていた。

求め過ぎて。

「・・・あ」

やらかした。

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

二人分の冷めた視線が突き刺さる。

いやぁ、その冷たさが気持ちいいなぁ・・・

急速に目が覚めてきたよ。

「あぁ・・・あー、うん」

遅い。

時すでに遅し。

気付いた時には手遅れだった。

最近頻発していた妄想ファンタジアが、ついに人の目に触れてしまった。

見れば二人とも、すでに私の事など見ておらず、今日の予定などについて話しているようだった。

まるで、彼女ら二人だけしかいないような、自然な空気が流れている。

そこに私の存在は、認識されていない。

・・・・・・・・・

やってしまった。

ついに、やってしまった。

龍精根の名、ここに堕つ・・・か。

どう・・・すればいいのかな?

どう・・・にも、

「・・・できませんよね?」

顔を上げる。

既に彼女たちは、窓の無い真四角の建物に向かって歩いている。

私の事など、待つ気配すらない。

というかやはり、そこに私の存在を感じる事が出来ない。

まるで私が居ないように。

まるで私が要らないように、彼女らは話を進めている。

とても穏やかで、和やかな雰囲気が漂ってくる。

なるほど・・・

と、私は一つの事実を悟った。

こうして、人は。

「・・・死にたくなってきた」

死んで、消えて無くなるのだろう。

・・・うん。

行こう。

ここで死んだって意味が無い。

妄想行為のヤリ損だよ。

どうせ死ぬなら、とことんまで堕ちてからにしよう。

色々ヤッてから死のう。

「・・・そうしよう」

生気の無い顔をあげる。

既にそこには誰もいなかった。

私一人ぼっち。

・・・・・・・・・

わかっている。

これは私への制裁なのだ。

だから私はそれを甘んじて受け入れよう。

とぼとぼと、私は歩きだした。

窓の無い真四角の建物、変態学園・・・じゃなく明峰園へ。




  「 せろりとお兄ちゃん 」




 私はその日、ご主人さまとすずめさんが出払った後、朝食の後片付けをする為に台所でせっせと皿洗いをしていました。

すると突然、目の前の窓が何の前触れも無く開きました。

 「やあせろり、元気してる?」

そこに居たのは一人の少年。

私の兄でした(義理の)。

「・・・・・・・・・」

無言でその言葉に応じました。

「ん?どうしたの?」

やはりその人は、私の不機嫌そうな顔を見ても笑顔を崩さず、ニコニコと私に微笑んでいます。

その笑顔が、私は少し苦手です。

「・・・今日は何の御用ですか?」

特に何の感情も感じさせないような声で、私は彼に聞きます。

「え?何って・・・う~ん、別に用事って程じゃないけど」

と、彼は苦笑い。

かちゃかちゃと皿を洗う音だけが、二人の間に響いていました。

だけど彼は、そんな空気も気にせず自分勝手に口を開きます。

「せろり、おまえ今日の新聞読んだ?」 

「え、新聞ですか?・・・いえ、まだ読んでいませんけど」

突然何の話だろう?

私は皿を洗うのを止めて、彼の顔を覗き込んだ。

「いや、おまえがこうして普通に皿を洗ってるんだったら、何の問題も無いよ」

と、何やら一人納得している様子でした。

その顔は、心なしかいつもよりも大人びて見えました。

けれど、私はまだ何の話をしているのかすら分かりません。

今日の新聞?

何かあったのだろうか?

「あの、おに・・・」

口が滑りそうになった。

危ない。

「・・・不知火さん」

言い直した。

なんか変にドキドキしている。

「ん?どうした?妹」

「・・・・・・・・・」

面倒くさい義理の兄だ。

ニコニコ顔で、私に嫌がらせをしてきます。

こんな人、早々に他界すれば良いのに、と思わなくもありません。

・・・・・・・・・

まぁ、こんな人でも、居なくなれば寂しいのでしょうけど。

「・・・昨日ね」

と、彼が口を開く。

少しだけ、彼の空気が変わっていました。

「この辺りで通り魔があったらしいんだ」

「・・・通り魔?」

私は顔を上げました。

彼は冷たく虚空を見つめていました。

「うん、人が二人殺された」

「・・・・・・!」

その言葉に、驚きを隠せません。

だって私が住んでいるこの町は、言っては悪いがド田舎です。

何も無いのが売りの、平穏な町です。

目立った事件や出来事など、旦那様の仕事以外では耳にした事がありません。

そんな町で・・・

と、そこで気付きました。

この人が私の所に来た理由。

ああ・・・そういうこと、ですか。

また、胸がこそばゆくなってきました。

「それで犯人は?」 

私は、そんな胸の温かさを隠しながら、彼に聞きました。

「うん、まだ捕まっていないみたいだね」

軽い口調。

先程まであった冷やかな空気とは一変して、いつも通りの不知火少年でした。

「だからせろり、しばらくは外出を控えた方がいい」

笑顔で、そう言ってくれました。

だけどやっぱり、この笑顔は苦手です。

「・・・はい、そうします。ご忠告ありがとうございます」

と、一礼だけして、また皿洗いに手をつけた。

そんな私を、困ったような、でもどこか嬉しそうな顔で彼が眺めています。

顔が何となく火照っているような気がしましたが、私はそれを無視しました。


皿洗いが終わり、顔を上げると、そこにはただ開け放たれたままの窓があるだけでした。

当然、誰も居ません。

だけど、

「・・・・・・・・・」

誰も居ない窓の向こうに、私は何となく笑っていました。

私を心配して来てくれた彼への、せめてものお礼のつもり。

・・・です。

本当に、お節介なお兄ちゃんです。


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