剣士
広場から金属の音が聞こえた。
乾いた衝突音。
剣がぶつかる音。
ラピスは足を止めた。
広場の中央で剣士たちが訓練している。
重い剣を振り上げる。
叩きつける。
力のこもった斬撃。
石畳に響く音。
ラピスは黙って見ていた。
一心が言う。
「どうした」
ラピスは広場をゆび指す。
「あれ」
剣士が踏み込む。
大きく振りかぶる。
重い斬撃。
剣と剣がぶつかる。
鈍い音。
ラピスは小さく言う。
「父さんは、あの人達より強かった」
一心は広場を見る。
少しの間。
そして言う。
「……あれではだめだ」
ラピスは眉をひそめる。
「なんで?」
剣士がまた剣を振るう。
重い。
力任せの斬撃。
一心は答える。
「自分より力が強い相手には勝てない」
ラピスは黙る。
広場を見る。
剣士の剣。
振り下ろされる。
重い音。
頭に浮かぶ。
巨漢の賊。
折れた剣。
父の背中。
「……」
ラピスは何も言わない。
一心は続ける。
「力をぶつけ合ってるだけだ」
ラピス
「……」
一心
「だから折れる」
その言葉に、ラピスは唇を噛んだ。
広場の剣士たちはまだ打ち合っている。
重い音。
鈍い衝突。
一心は言う。
「だから」
少し間。
「力を抜け」
ラピスは広場を見たまま。
小さく息を吐く。
鍛冶場。
木の棒。
何度も言われた言葉。
力を抜け。
ラピスは呟く。
「……わかってるって」
一心はそれ以上何も言わない。
ただ歩き出す。
ラピスは最後にもう一度、広場を見る。
父の戦い方。
剣士たちの戦い方。
そして。
鍛冶場で教わった戦い方。
ラピスは一心に続き、歩き出した。
ラピス
「父さん⋯」
一心
「⋯」
ラピス
「⋯慰めてよ」




