07 それぞれの想い2
リーフは生まれて初めて抱きしめられ、また、生まれて初めて涙を流したという事実に、衝撃を受けていた。
人に抱きしめられると温かく、涙を流すと少しだけ気持ちが落ち着くことを知った。
こんな気持ちは初めてだった。
どうしよう……
生まれて初めて抱きしめられた。
すごく衝撃なんだけど……!
それに、初めて泣いた。
今まで泣いたことなんて無かったのに。
テラはぼくの根幹である性質に気付いてた。
テラはとても温かくて、
その温もりはとても気持ちよくて、
ぼくの霊核はほんのりと温かさを増して。
テラの手のひらも温かいけど、
それとは全然違って。
ちょっときついくらいに
ぎゅっとしてぼくを包み込んで、
それに……
ありがとうって言われた。
血の契約でお礼を言うのは
ぼくのほうなのに。
本当に『特別な存在』のように
テラはぼくを癒してくれるんだね。
◇ ◇ ◇
テラは、自身が不老不死になったという事実を知り、とても驚いた。
しかし、リーフに惻隠の情を覚えていた。
こんなに小さな彼が、どれだけの孤独と苦しみや悲しみを背負っているのか。
たった3年間の自身の孤独など、取るに足らないとさえ思えた。
そして、契約とはいえ、彼が自身に対して一方的に『永遠の愛と絆』を誓い、大粒の涙となって溢れたその思いの深さと強さに、心を揺さぶられた。
それはまさに花言葉を体現している行為。
契約は、解除すれば元に戻れる。
けれど、目の前の儚くも脆いリーフを、再び孤独にすることは出来なかった。
自身もまた、再び孤独になるのは嫌だった。
テラは、枕元で小さく丸くなって眠っているリーフに手を伸ばすと、指先でそっと壊さないように優しく触れた。
そういえば針を刺した後、
傷の痛みも傷自体もすぐに消えるから
変だなとは思ったのよ。
小さい傷だからすぐに塞がったのかなって
あまり気に留めてなかったけど。
私、まさかの不老不死!
永遠の若さね!
いや、15歳のままってことよね!?
私だって恋愛とか結婚とか……
そういう夢みたいなものはあったんだけど……
ライルさんが亡くなった理由、
一時的に守護が弱まってって言ってたけど
どうしてそうなったのかしら。
聞いたら教えてくれるのかな?
もし、私が死んじゃったら……
リーフは悲しんでまた何百年も隠れてしまうのかな。
こんなに傷付いて800年もずっとだなんて……
花言葉は怖いほどに絶対なのね。
あ、いや、その前に。
年を取らないって周りの人に絶対怪しまれるわ。
どうしよう……!?




