表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/135

07 それぞれの想い2

 

 リーフは生まれて初めて抱きしめられ、また、生まれて初めて涙を流したという事実に、衝撃を受けていた。

 人に抱きしめられると温かく、涙を流すと少しだけ気持ちが落ち着くことを知った。

 こんな気持ちは初めてだった。



 どうしよう……

 生まれて初めて抱きしめられた。

 すごく衝撃なんだけど……!


 それに、初めて泣いた。

 今まで泣いたことなんて無かったのに。


 テラはぼくの根幹である性質に気付いてた。


 テラはとても温かくて、

 その温もりはとても気持ちよくて、

 ぼくの霊核はほんのりと温かさを増して。


 テラの手のひらも温かいけど、

 それとは全然違って。


 ちょっときついくらいに

 ぎゅっとしてぼくを包み込んで、

 それに……


 ありがとうって言われた。

 血の契約でお礼を言うのは

 ぼくのほうなのに。


 本当に『特別な存在』のように

 テラはぼくを癒してくれるんだね。



 ◇ ◇ ◇



 テラは、自身が不老不死になったという事実を知り、とても驚いた。

 しかし、リーフに惻隠の情を覚えていた。


 こんなに小さな彼が、どれだけの孤独と苦しみや悲しみを背負っているのか。

 たった3年間の自身の孤独など、取るに足らないとさえ思えた。


 そして、契約とはいえ、彼が自身に対して一方的に『永遠の愛と絆』を誓い、大粒の涙となって溢れたその思いの深さと強さに、心を揺さぶられた。


 それはまさに花言葉を体現している行為。

 契約は、解除すれば元に戻れる。


 けれど、目の前の儚くも脆いリーフを、再び孤独にすることは出来なかった。

 自身もまた、再び孤独になるのは嫌だった。


 テラは、枕元で小さく丸くなって眠っているリーフに手を伸ばすと、指先でそっと壊さないように優しく触れた。




 そういえば針を刺した後、

 傷の痛みも傷自体もすぐに消えるから

 変だなとは思ったのよ。

 小さい傷だからすぐに塞がったのかなって

 あまり気に留めてなかったけど。


 私、まさかの不老不死!

 永遠の若さね!

 いや、15歳のままってことよね!?


 私だって恋愛とか結婚とか……

 そういう夢みたいなものはあったんだけど……


 ライルさんが亡くなった理由、

 一時的に守護が弱まってって言ってたけど

 どうしてそうなったのかしら。

 聞いたら教えてくれるのかな?


 もし、私が死んじゃったら……

 リーフは悲しんでまた何百年も隠れてしまうのかな。

 こんなに傷付いて800年もずっとだなんて……

 花言葉は怖いほどに絶対なのね。


 あ、いや、その前に。

 年を取らないって周りの人に絶対怪しまれるわ。

 どうしよう……!?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ