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刻まれた花言葉と精霊のチカラ ―精霊と守り人少女の永遠の物語―  作者: Tomi
最終章

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164/166

001 リーフ

 

 テラが眠りについてから

 ぼくたちは必死になって村をつくり上げた。



 野菜を植えて、果物の木もよく育って、麦も毎年収穫するようになった。

 ヤギと羊、鶏を飼い、村が村として機能するようになったんだ。


 それから何人かの精霊と守り人がやってきて

 この村に住むことになって

 ここはずいぶんと賑やかになったよ。



 でも、ひとりだけいないんだ。


 この輪の中に。



 テラ。

 君だけが、あの時からずっと




 眠ったままなんだ。



 ◇ ◇ ◇



 テラが永い眠りについて

 どれくらいの時間が経っただろう。



 村では、新たに移り住んだ精霊と守り人たちが

 静かな日常を送っている。


 ヘリックスはユリアンとの契約が満了となって

 守り人探しのために宿る場所へ帰っていった。


 それから、ユリアンとカリスが遊びに来てくれた。

 二人は数年おきに遊びに来ていたけれど

 数十年が経った頃、カリスが来なくなった。

 ユリアンは何度かひとりで来たけれど

 彼も、来なくなった。



 その後、ファルがリモと共に旅に出ると言い、ここを離れた。


 ファルは守り人と精霊を連れて来てくれた。

 しかし、時々帰って来ていたファルも

 数百年が経った頃、帰って来なくなった。



 村は整い、住人もいる。

 村は機能しているのに――


 いつの間にか

 ぼくは独りになっていた。



 眠り続ける君のそばにいることだけが

 ぼくの生きる意味になった。



『与えてばかりのあなたが辛い時は、私が抱きしめるよ』


『抱きしめてほしい時はいつでも昨日の姿になってね。これからはリーフをたくさん抱きしめるよ』



 いつになったらぼくを抱きしめてくれる?

 眠る君を抱きしめながら

 君の夢を見ることを夢見ているよ。


 どうか夢の中に現れて

 ぼくを抱きしめて――。



 ◇ ◇ ◇



 ぼくが精霊王になってから

 1,000年のときが過ぎていた。


 人間界は飢饉も無く

 天災も無く

 緑豊かな自然に恵まれ

 四季を愉しみ

 人々は何も無い日常を

 退屈そうに謳歌していた。



 ぼくは相変わらず、君の横に座り

 君の変わらない綺麗な寝顔をじっと見ている。



 微笑んでくれたらと

 目を開けてくれたらと

 ほんの少しでも動いてくれたらと



 君が眠っていることが日常ならば

 ぼくは何かが起こることを

 期待していいだろうか。



 何も無い日常が

 どれだけ幸せなのか。


 幸せだったのか。





 ぼくはただ、君の声が聞きたい。


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