表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

前奏

夜は、心と身体を癒すオアシス

心地良い風と都会の喧騒に身を任せアクセルを回す。

ライトアップされた街並みは昼とは違う別の顔を見せる。


街の風情に酔いしれながらバイクを颯爽と走らせる。


護国谷トンネルの入口に差し掛かった辺りで、眼前に謎の光が現れた。


俺は、光に吸い込まれるかのようにそのまま光の方へと直進した。


良くある異世界転生物のような異世界へ転移とかそんな非現実的な事が起こるわけもなく、単に対向車のライトが眩しかっただけだった。


ありきたりな毎日の中で、非日常的な体験を探している自分がいた。


20年以上前に付き合っていた元カノと この場所に良く来たなと過ぎ去りし日の思い出に浸っていると、今度は目の前が暗転した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


目を開けると、そこは俺が高校生の時に住んでいた部屋のベッドの中であり隣には当時付き合っていた元カノが居た。


「何か変な夢でも見ているのか?」というような感覚に陥りながら現在の状況を整理する。


さっきまでバイクで走っていたはずだよな…

なんで俺は部屋の中にいるんだ?

どうなってんだ?

まったく理解が追いつかない…


その時、突如 尿意を感じた俺はベッドから抜け出しとりあえずトイレに行く事にした。


懐かしい、もう10年以上前に引っ越して今は住んでいないはずの当時の家がそこには有った。


まさか、タイムリープとかあり得ないよね…?


トイレで用を足し終え、洗面台で手を洗う。

ふと、顔を上げ洗面台の鏡に映る自分を見た。


「あっ、髪の毛がある…しかも若い…」


とりあえず当時の自分の部屋に戻り携帯電話を探した。


当時は、まだスマホが普及しておらずガラケーの時代だ。


そこには当時使っていたPHSが存在した。


PHSに表示されている日付を確認すると


【1999年7月7日16時48分】


未だ半信半疑の俺は家のあちらこちらを確認する。


そしてベランダから外を見て、自分が今いる場所が当時住んでいた家で間違いない事を確信した。


家にあるカレンダーや時計は全て1999年の物である。


「しちゃったかぁ… 遂にしちゃったかぁ…」


俺はタイムリープしたらしい…

いやいや、それは非現実的であり得ない。


現実的に考えると、俺の記憶にある最後の瞬間以降になんらかのトラブルに巻き込まれて病院のベッドの上で走馬灯のような物を見ているに違いない。


これは夢であり、現実では無い。

こんな事、絶対にあり得ないから!


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


しばらくすれば、夢から覚めて現実世界に戻れるかと思ったのだがそう簡単には戻れないようだ。


いつ夢から覚めるかわからないが、

せっかくだし、過去の俺のベッドで寝ている元カノを起こして少し街をぶらぶらしてみるかな…


俺は、俺のベッドで寝ている元カノの桐畑(きりはた) 七桜(ななお)(16歳)を揺さぶりながら話しかけた。

「お〜い、ナナオ〜、ちょっと何か食べに行こうか〜?」


「ぅ〜、わたしお金ないよ〜?」

七桜は眠気まなこで返事をした。


「大丈夫、俺が出してあげるから」

「アキラ君、優しいね!」


七桜は、よさよさと起き上がり出かける準備を始めた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


俺と七桜の出会いは、数ヶ月前の事である。


地元のとある雑貨屋で暇潰しに商品を眺めていると、そこに七桜がやってきた。


七桜は、セット売りされている商品の中のおしゃれなピックだけが欲しかったようで店主に単品売りは無いかと尋ねていた。


だが、店主は「単品売りはしてない。」ときっぱり答えた。

その言葉に七桜は凄く残念そうにしていた。


別に買う予定も欲しいとも思って無かったが

「俺がセットで買うからピックあげるよ。」と言うと


七桜は「いや、本当に申し訳ないので大丈夫です。」と答えた。


だが、

俺はその言葉を無視して、商品をレジに持っていき「これください。」と言った。


七桜は、その間も「本当に大丈夫ですから」と懇願していたが

俺は「丁度、これ買おうと思ってたとこだし、ピックは使う予定ないからあげるよ。」と答えた。


ちなみに、セット価格は2万4800円である。


地味に高いが、俺は高1の時からバイトをしていて常に財布の中に10万円以上を入れていたので余裕で会計する事が出来た。


店の人には高校生が良くそんな大金持ってるな〜という目で見られたが、

実は当時の俺はたまに札束を眺めてニヤニヤする変な趣味があったのである。


店を出たところで開封し、七桜にピックを渡した。


七桜は「お金払います。」と言ってきたが、


俺はその言葉を断り

「一緒にご飯してくれたら別にいいよ。」と答えた。


「わかりました。ピックのお礼にご飯は私に払わせてください。」という流れで七桜と一緒に初めてのご飯に行った。


それからちょくちょく遊んだり話したりしているうちに付き合うようになったのだ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


話は家から外出の流れに戻る。


この当時は、まだバイクを持っておらず徒歩移動が主だった。


家から出て少し歩くと同級生の家の畑がある。


あと10年くらい経ったら、こことかあそこに新しい建物が出来るんだよなぁ…


もし、仮にこれが夢では無く本当にタイムリープしてたとしたら仮想通貨でも買ってみようかな?


まぁ、仮想通貨が世の中に出てくるのはまだまだ先の話だけどね…


そんな事を考えながら、しばらく歩いていると駅前に着いた。


「何食べよっか?」

「何でもいいよ〜。」


ふと、思ったが「何食べる?」って聞いたら毎回「何でも良い」って言うよな?

定型文かな?


そういえば、俺も母親に「晩飯何がいい?」って聞かれたら「なんでもいい」って返してたっけ…


当時の俺はあまりデートスポットとか詳しく無く、いつも近所で遊んでばかりだった事を思い出した。

せっかくだし、七桜を何処かに連れて行ってあげようかな。


「原宿行こっか?」

「えっ、急にどうしたの???」


「クレープ食べたくなった。」

「そうなんだ…。ぅ、うん、いいよ。行こ♪

あっ、でも私お金無いよ?」

「大丈夫、俺が全部出すから!」

「アキラ君、ありがと!大好き♪」


七桜のテンションが少し上がったようにみえた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


電車に乗り原宿に移動した。

(電車内での会話は省略)


大人になってから表参道にあるIT系の会社で働いていたので、原宿や表参道は言わば庭である。


昔は表参道と青山一丁目の間にある某大手ファストフード店に行って、そこで食べるのがなんか良くわからないけど自分の中のステータスみたいになっていたなぁと懐かしい思い出に浸りながら、


竹下通りを下って行列のできる某有名クレープ屋に到着した。


「好きなの頼んでいいよ。」

「アキラ君、いつもありがと♪」


七桜は、色々迷った結果「ツナチリペッパーチーズクレープ」を注文した。

(おかずクレープですかい!)と心の中でツッコミながら

俺は「いちごバナナチョコスペシャル」を注文した。


クレープが出来上がり、近くにある公園に移動した。


公園の椅子に腰掛け、お互いのクレープを食べ合いっこしながら和気あいあいとお喋りした。


こんな日がいつまでも続けばいいのにな…


しばらくして、クレープを食べ終わったので適当に寄り道しながら家に帰ることにした。

いいねとか感想あれば、続き書きます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ