神話創生 アトラス歴1461年【539年前】3-2
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神聖なる地【神都フリューゲル】にある大聖堂を一人の女騎士が苛立たしげに突き進んで行く。
腰には自分の愛刀を携えて。
「…………」
「──青龍様! そのように急がれて一体どの様なご要件ですか?」
大聖堂の護りを預かる神殿騎士達は失礼のない様に女に問うた。
「まだ、白虎ちゃんは見つからないのか? 僕は言われた通り、各地で武装蜂起している魔族達を鎮圧してきている……。──僕が戻る迄に情報を集めておくと教皇様は言った」
そう言うと静止の言葉を無視し、再び突き進む。
たまたまその日の守護当番だった神殿騎士達には何の話しかは分からない……。しかし【四神】の勇者だからといってこのまま素直に教皇が居る部屋に行かせる訳には行かなかった。
「青龍様! 止まって下さい! それ以上の無法を行うのでしたら武力行使もやむを得なくなります。 ですので歩みをお止め下さい!」
「──僕を止める? どうやって?」
女はそう言うと不敵に嗤う。
そして、その嗤い、言葉、態度に神殿騎士達はプライドが傷付いたのだろう……。職務を真っ当すると言う建前の元に剣を抜いてしまった。
「……我等、神殿騎士は神子にも引けを取らない選りすぐりの騎士です。あまりお舐めにならない方がいいですよ?」
威嚇で少しは大人しくなるかもと言う淡い期待も女の次の言葉によって無駄となった。
「剣を抜いたね? 良いよ、僕が君達を指導してあげるよ」
そう言うと女も愛刀を抜く。
「安心して良いよ。能力は一切使わないであげる。──まぁ、それでも僕には勝てるとは思わないけど……」
その煽りとも取れる言葉に十人からなる神殿騎士は静止は無意味と悟り、一斉に女に襲い掛かる。
「それじゃ、遊んであげるよ」
一人目。上段から振り下ろされる攻撃を必要最小限の動きで見切り、巻き上げで剣を上空へと吹き飛ばす。
その後、刀の柄頭で相手の手を潰し、返す刀の要領で頭を殴り気絶させる。
二人目。仲間の剣が弾き飛ばされたのを見て、一瞬驚愕したが、これを隙だと取り、剣で突きを繰り出す。
しかし、その攻撃を女が素手で軽く受け流す。
流された剣と身体、何も出来ない自分に延向かって延髄へと手刀が落ち、気絶させられた。
三人目。前の二人が倒されたと思った時には既に時遅く、女に懐に入り込まれて顎を掌打され、それと同時に脚も払われ硬い地面へと頭を叩き付けられる。
四人目、五人目。仲間が地面に叩き込まれた。これによって女はしゃがんだ態勢になっている。
二人は同時に袈裟斬りを仕掛けた。
女はこれを左手の人差し指と中指で一人の剣を止め、もう一人は右手に手にしてる刀の切先であっさりと止められる。
そして、
「──三日月」
そう口ずさんだ直後、後方に回転しながら二人に蹴りを浴びせる。
本来ならこの技は蹴りでは無く、斬撃を浴びせる技なのだから、如何に手加減してるかが見て取れる。
あっさりと五人やられたのを目撃した他の神殿騎士は、
六人目、七人目。逃げる為に女に背中を見せてしまった。
「僕に背中を見せるなんて、一番駄目だよ……」
その呟きを耳元で囁かれる様に聞いた二人は脳天に強烈な痛みと共に意識を手放す。
八人目。逃げようとした二人が、いつの間にか左手に手にした鞘で殴られて倒れる姿を目撃する。
そして、自分も逃げられないと悟り、震える身体に鞭を打ち、女に向かい剣を投擲する。
これも女は分かっていたとばかりに頬を掠るか掠らないか程度の見切りで躱す。
神殿騎士は即座に懐に隠し持っている短剣で突っ込むがやはり鞘で頭を殴られ気絶する。
九人目、十人目。「「──炎とは生物の根源に灯される心の火」」魔法詠唱をしていた二人は「詠唱なんて僕の前で出来る訳ないじゃん……」
そうして二人とも鞘で殴られ気絶させられる。
神殿騎士二人の魔法詠唱がまだ一生節しか紡がれてない程に、この戦いは一瞬で決着がついてしまった。
この圧倒的な強さを誇る者、それが【四神】最強の勇者、東原 青龍である。
「それじゃ僕を止められなかったって事で教皇様には会わせてもらうよ」
阻む者が居なくなった大聖堂を女は再び歩き出す。
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