神話創生 アトラス歴1460年【540年前】2-2
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次回更新は七日か八日のどちらかになります。
アトラス歴1460年──。魔王サラサは、失った兵力を補う為にハンターギルドと連携を取り、魔物を集めるべく動き出した。それとほぼ同じくして、出所不明の情報ではあるが【魔将】がイエルバに攻め入ると言う情報も魔王サラサの元に届く。
◆魔王サラサside◇
一体どう言う事だ?
仮面の男であり、魔将を名乗る者がイエルバ攻略に動くだと? 彼処には四神が二人居ると言うのが分かった上で言ってるのか?
「……だが、逆にこれはチャンスかもしれないな」
頭を悩ませていた事の一つ、我が同時に四神二人を相手にすると言う問題……。だが、魔将が噂通りの強さならば四神を一人任せても問題ないだろう。
「ラルフも共に戦わせれば更に勝率が上がるかもしれないな」
あぁ〜、これはダメだ。我が動くとなったら、その間の政務やらの問題がラルフじゃなければ処理できない……。
やっぱり私……我だけでやるしかないのか。
「ラルフ! ここにあるか!」
「ハッ! 此処に御座います!」
「魔将がイエルバに向かったと言う情報の確度を取れ。──それ次第で我もイエルバに攻め入る」
「しかし、危険です!」
何を言ってるんだ? 我等魔族は後が無い以上、常に危険とは隣り合わせなんだぞ。
「百も承知だ! 魔将が本当に動くならばこれは好機となる。──だから直ぐに情報を集めよ」
「……ハッ! 承りました」
そう言うとラルフは矢継ぎ早に色んなところに指示を飛ばし始めた。
「さて、魔将よ……お前はどんな奴なんだろうか? 会えるのが本当に楽しみだよ」
一度会った事はあるのだが、それはまだナギが魔将を名乗る前だった。それにあの時のサラサは力の覚醒直後でハッキリとした記憶も残っていなかった。
◆ナギside◇
ふぃ〜、何とかイエルバに侵入出来た事だし仮面外すか……。
取り敢えず【水神】と【地神】の情報を探るか。
意図的に魔将がイエルバを攻略するって情報も、証拠が出る様に痕跡を残してきたから後から魔王も来るだろう。其れまでにある程度の情報を揃えたい。
「まぁ、情報を探るならやっぱり定番の酒場か? それともこのまま隠密して直接拝みに行っちまうのも手か……」
「……と様! 一人で……危険……!」
ん? 何か不穏なワードが聞こえるな。少し様子を見てくるか。
俺は声のした方向に向かうと次第に会話の内容が聞こえて来た。
「白虎様! お願いです! 相手は朱雀様を退けた可能性がある者なんですよ!?」
そこには二人の女性が居た。
一人はスラッとした明らかな異世界人。
一人は眼鏡を掛けた明らかな日本人。
「だからこそ、四神の一人である私が相手しないといけないのです。他の者に任せたら無用に被害を拡げるだけです」
「しかし!」
「それに、私は朱雀より強いですよ? 能力に頼り切った戦いしかしないアイツと同じ様に扱わないで下さい」
「で、ですが……」
「しつこいです。もしもの為に【水神】である玄武も来ているのですから心配し過ぎです」
「……わかりました。戦う事は止めません。ですので、せめてお怪我だけはしないで下さい」
「えぇ、神子である貴方に心配を掛けさせて申し訳ないとは思いますが、これが私達の仕事ですので理解して下さい」
マジか……【地神】は女かよやりづれぇな! ってか神子まで居るのかよ。もしかしてコレは早まったか?
よし、【地神】は魔王に任せて俺は【水神】と戦う事にしよう! 名前の響き的にもまず男だろうしな。
俺はそう考えると踵を返してその場を離れた。
──そして、そんなナギの後ろ姿を見つめてる女が居たのだが、ナギはそれに気付かなかった。
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さっきは【地神】に運良く……良いのか? 出会えたが、玄武て奴は多分あそこに居そうだな。
俺の視線の先に、厳重な警備で固められた建物が目に入る。
「さて、どうやって中に入るかな……」
「中に入りたいのですか?」
「そうなんだよ……どうしたもん──なっ!?」
俺は咄嗟に振り向くと先程の女、【地神】が居た。
「中に入れてあげようか?」
「……どういうつもりだ」
「えっと貴方って日本人だよね? 髪の色とか眼の色とかは違うけど、私には分かりますよ?」
「それを知ってどうする」
俺の警戒レベルが跳ね上がる。
「どうもしないですよ別に」
「俺にどういう用だ」
きっとこいつの返事次第で戦闘は直ぐに始まるだろう。
俺は戦闘がいつ始まっても良い様に相手の動向に注意した。
「えっ? ナンパしに来ただけです」
「……はぁ?」
ナニイッテンノコイツ。
「えっと、ちょっと何言ってるか分からないです」
俺の気力を削ぐ作戦か? だったら大成功だよこんちくしょう。
「運命って信じますか?」
しかもヤバい系の匂いがプンプンしやがるぜ。
「あっ……そう言うの間に合ってますんで……」
俺はそそくさと逃げようとすると、
ガシッ!!
服を掴まれた。
「あの……すんません。その手を離して貰って良いっすか?」
「え? 嫌です。運命の人にこんな所で逢えるとは思わなかったですし! 絶対離しません!」
魔王助けて! この女、超こえぇーー!
「あの、俺別にイケメンとかじゃ無いんで……その、えっと、ガッカリしますよ……」
俺は何とかして諦めて貰うために必死に自分を下げた。
「そんな事無いですよ! 魔将さんがまさか、私の理想の人だとは思いませんでした!」
「──!?」
この女! 俺が誰か認識した上で話しかけて来たのか!
一度下がった俺の警戒度が再び振り切った。
「お前、俺が誰か分かってこうしてるのか?」
「そうですね! 私達以外に日本人がこんな所に居たら疑いますよ」
魔将と言うより、俺からバレたのか……迂闊だったな。今後はもう少し気を付けないとな。──それにしてもこの状況どうしたものか。
「貴方に会うまで魔将はぶっ殺す気でしたよ? でも気が変わりました。何なら玄武と朱雀なら私が殺しても良いですよ? あっ、でも、その代わりと言っては何ですけど、デ、デートしたいな!」
キャッ! 言っちゃった! 見たいな感じ出してるけど、会話の内容は相当ぶっ飛んでるからな?
「それはつまり、魔族の味方になるって事か?」
「何言ってるんですか? 魔族は根絶やしですよ!」
「すまん……俺は魔族側なんだが」
「はい! だ・か・ら魔将さんがこっちの味方になって下さい! お礼に四神の青龍ちゃん以外を殺してあげます! 今なら私も上げます! むしろ貰ってください!」
アカン、話しが通じない……。
「一応聞くけど、何で青龍は駄目なんだ?」
「えっ、だってあの人に勝てる人はこの世に居ないですよ? 朱雀のカスと玄武のゴミと私が束になっても勝てないんですから!」
色々と突っ込みたい事はあるのだが……今は置いておこう。それより青龍の事を聞かないといけなくなった。
「青龍の事について詳しく聞かせてくれるか?」
その一言で空気が凍り付いた気がした。
「私の事じゃなくて、青龍ちゃんの事を聞きたいんですか?」
あっ、もしかして地雷を踏み抜いたか?
白虎ちゃん、理想の人に出会わなければ割とマトモな筈の娘です……でも、デストロイヤーなんです。




