神話創生 アトラス歴1459年【541年前】1-3
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アトラス歴1457年──。人族は魔族に対し、突如として【人類の敵】と謳い戦線布告をする。
其れ迄、人族と魔族の間に小さな争い等は有った物の、この様に種族全体を巻き込んだ、戦線布告をされたのは初めての事だった。そして攻め入られる理由が理解出来なかった魔族は激しく混乱した……。
その混乱の中、人族側は神星石を用いて勇者召喚を行う。──呼び出された勇者達は直ぐに戦線に投入されると、破竹の勢いで魔族の領土を次々に制圧していった。
アトラス歴1458年──。圧倒的な戦力で阻む者全てを蹂躙する人族に対し、当時の魔子達も抵抗をするが、そのどれもが無惨に命を散らす結果となった。
魔子達を歯牙にすらかけない程、圧倒的な強さを誇る勇者達に魔族からは恐怖と、人族からは羨望を持って両者からはこう呼ばれた。
【四神】と──。
そんな彼女、彼等は其々の能力を駆使し魔族達を鏖殺していくのだった。
【炎神】南條 朱雀。
【水神】北川 玄武。
【風神】東原 青龍。
【地神】西宮 白虎。
神を冠する能力を授かった四人。──そして、当時の神子達も血の気が多く、魔族に対して容赦と言う二文字は存在していなかった。
人族の勢いに一部の魔族達は抗う事を不可能と悟っていた。そしてそんな時、人類側から計ったかのように降伏勧告が行われたのだ……。
当時の魔族達は一方的に戦争を仕掛けてきた人族に対して、理不尽を感じつつも、これを承諾。
魔族は交渉の席に付くのだった。
しかし、この場で更なる悲劇が起こる。
交渉の場にて、魔族達を代表する魔子が三人参加したのだが、その内二人が殺害され、その護衛に赴いていた者達や、会談場所に指定された場所の住人……魔族諸共虐殺されたのであった。
それは人族が罪の無い民の命を奪ったと魔族に罪を着せる為の企みだった。
この戦争の大義名分を掲げ、纏めて魔子達を殺す為に仕組んだ人族による狡猾な罠だった。
しかし、一人生き残った魔子は命からがら【最果ての国カロン】に逃げ込んだのである。──と言うよりかは、逃げ込む魔族の領土が既にカロンしか無いと言うのが正解なのだが……。
この時点で魔族側が確認している魔子はこの男だけとなっていた。
そんな彼、【疾風怒濤】のライルは勇者召喚を行う事を決意する。
敗北に敗北を重ねた魔族は、魔星石を複数精製出来る程に多くの屍が築かれていた。
更に元々持っていた魔星石も併せ六個の魔星石を使い、大召喚を行う事となる。
アトラス歴1459年──。この年、とうとう【最果ての国】カロン領に、人類が攻め入って来る。勿論、王都迄はまだ距離があるとは言え、ライルの耳には近隣の村々が幾つも燃やされているとの報告が入った。
数日後──。近隣の村々が襲われる中、苦虫を噛みながらも、勇者召喚を行う全ての準備を整えたライルは大召喚を行う。
そして、物語は動き出す。
魔王サラサ・クロムウェルが呼び出され、未来を切り拓いて行く。
そして、その影で一人の勇者ナギ・ケルウェルが暗躍したのであった。
◆ナギside◇
「……ん、お、れは一体」
意識を失ってたのか俺は……?
「確か俺は──はっ!?」
状況を確認する為に俺は辺りを見渡すと、
「な、んだこれ……」
血、肉片、血、血、肉片、肉片。
辺りが真っ赤に染まる程、世界は赤色だった。
「これを……俺がやった、のか?」
意識は無かった筈。しかし虫喰いな状態ではあるが、自分がやった事も理解していた。
そして、
「ゔぉぇぇぇぇぇ」
俺は吐いた。
当然だ、暴走していたとは言えこんな惨状を作り出したんだ吐かない方がどうかしている。
それに、俺の手には人間の頭部を握り潰した感触とかも残っていた。
俺の力が増したからか、リンゴを握り潰す様に──いや、リンゴって意外と握り潰すのにハードル高いんだよな……だったら卵を握り潰した時の様な感触が近いか、卵の殻も何となく骨っぽいしな!
「……ハハッ」
吐きつつも、そんな事を冷静に考えれる余裕が有る事に少しだけ笑ってしまった。
「──もしかして、魔王から貰ったこの心臓って諸刃の剣か? ……まぁそうだとしても、感覚崩壊がこうなった以上は俺の使える力は魔王の力だけだし、どうしようも無いけどな」
俺が一人でそんな事をボヤいていると近くから慌しい気配を感じた。
何だ?
咄嗟に俺は隠れて状況を見守る事にした。
「魔王様!! 【疾風怒濤】のライルが救援に参りました!」
一人の爺さんが、魔王を探しているのか兵士を連れて俺が隠れている場所の横を抜けて行った。
「どうするか、今の魔王に会ってもまた踏み絵要求されそうだし……暫くは会わない方が良さそうだな」
なら、此処から離れるか? 未来的にも魔王が此処でどうこうなるって事は無いだろし、その気になれば何時でも会えるだろう……多分だが!
「さて、それじゃ行くか」
俺は返り血で真っ赤に染まった服を脱ぎ捨て、近くに落ちてた誰のものか分からない服に着替えると、足早に此処から立ち去った。
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