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俺のデバフは理を破る!〜俺が強い?違うなテメェ等が弱くなったんだよ!〜  作者: 鋼夜
三章 遥かなる旅路編 〜四神の章〜

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神話創生 アトラス歴1459年【541年前】1-2

更新と報告です。

スマホのデータが吹っ飛んだり(小説データ込み)、職場で人が辞め忙しさに追われたりで修正作業が遅々として進みません!

その為、三月から周3〜4話ペースでUPするつもりでしたが2話位のペースになります。m(_ _)m

本当に申し訳ないです。


 燃え盛る業火の中、炎帝は高らかに嗤う。

 それは、自身の勝利を確信しているからだ……。何故なら、目の前で起こっている変化を自分ならば如何様にも対応出来る自信があるからだった。


 ……果たして本当にそうなのか? 目の前の魔子を──魔将を名乗る男を低く見積もり過ぎではないのか?


 その男は【魔王の心臓】を持ち、能力を受け継いだのだ……つまり、お前が相手をし、侮ってているのは【魔王】そのものだ。




◆南條朱雀side◇


「アァァァァァァァァァ!!」


 魔将が雄叫びを上げる。


 その声には絶望感、虚無感、或いは力を受け入れた事による解放感も含まれているのかもしれない。


 俺の視界に映る目の前の男はみるみる内にその姿を変化させていく。


「…………」


 変化が終わったのだろうか? 魔将は、飢えた獣の様な視線で、炎を司る帝王を射抜く。


「なんだ? クソ生意気そうな眼をしてやがるな……。──今すぐその眼をやめないと、消し炭にするぞ」

「…………」


 炎帝が脅す様に言っても、魔将の眼は燃える様な紅い瞳が冷たく、全てを闇に呑み込む漆黒の瞳が、熱く此方を射抜く事を辞めなかった。


「……成る程、テメェ辞める気は無いって事だな? だったら死ねょ!」


 炎帝である俺が放った焔が魔将を燃やしにかかる。


 しかし、俺のその攻撃は魔将が気怠そうに右手を振り払う動作だけで簡単に霧散した。


「──グルァァァァァァ!!!!」


 魔将が言葉にならない咆哮を上げると、四足獣が疾る様に体を低くし、駆けてくる。


「うぜぇな! さっさと死んどけ。──炎神・滅焔(めつえん)!」


 上級魔法クラスの焔をあっさりと生み出し其れを魔将に放つが、


「シャァォァァ!!」


 その攻撃も手を振り払う動作だけで掻き消された。


 先程の攻撃とは違い、俺が今した攻撃にはそれなりに力を入れた──。だが、それも煩わしそうに払っただけの動作で消された事に俺は少しだけ動揺した。


「──成る程。流石に魔子相手にして舐めプは馬鹿にしすぎだな……だったら、此処からは俺も本気だ!! 炎神・大禍焔(だいかえん)


 周囲の焔が空間を侵蝕し辺りの景色を歪める。


 侵蝕された世界。此処は南條朱雀が有利に戦う空間。

 ここにある炎は全て、南條の手足の様に動く。


「クカカッ! もう俺は止められねぇぞ? そら、行け。炎神・大滅焔(だいめつえん)


 焔が渦となり、地獄の業火が敵の存在を痕跡毎燃やす為にナギを包み込もうとした。


「ヴォォォォァァァ!!」


 ナギが眼にも留まらぬ速度で動く。その速さは誰にも捉えられない。


 しかし、焔は色んな方向からナギに向かって殺到する。

 それ故にナギも回避行動をとっているのだろう──。速過ぎて視認出来ないその動きは方向転換をする度に、その一瞬だけ減速する為、その瞬間だけは残像を捉える事が出きた。


 そして、一瞬だけ見える残像は着実に南條朱雀との距離を縮めていた。


「そこかぁぁ!!! 炎神・大炎上(だいえんじょう)!!」


 残像が残る場所。それと次に現れるであろう場所に向けて焔を放つ。


 しかし、──刹那の時。


 ブシュウウウ!!


 赤い……紅い何かが南條に飛び散る。


「あっ?」


 何が起こったか、南條には理解出来ていないだろう。


 その答えの事実は近く、南條の右手にあった。──正確に言えば右手のある位置には何も無いのだが……。


「あ……あ、ぁ……。──俺、俺の手がぁぁぁ?!」


 南條の右手はナギによって一瞬で切り取られたのだ。


「痛えぇぇ! クソッ! クッソッ!!」


 痛みに悶える南條。


 何時の間にか南條が作り出していた空間は消えていた。──それは自身の手を喪失したショックからか、痛みからくる物かは本人にしか分からない事。


 しかし、これだけは言える。


 眼の前に居る【魔王】がそんな事情では止まらないだろう。


「ヒィ! ま、待て! 俺が悪かった……その女も諦めるから、なっ? 俺を見逃せ、悪い様にはしねぇから」


 そんな事を言うが、果たして理性の無い【魔王】に南條の言葉は届くのか?──答えは否だ。


「クカカッ!」


 理性の無いナギは先程嗤った南條を真似したのか、同じ様に嗤う。

 しかし、その嗤いは南條とは似ても似つかない。──それもそうだろう……ナギの嗤いは、獣の本能から来る純粋で無邪気な嗤いなのだから。


 ここには喰う者と喰われる者しか居ない。……強者によって蹂躙される南條は、弱者として後は無残に喰われるだけだろう。


 そしてそれは真紅と漆黒のオッドアイが自身とぶつかった時に南條はそれを悟った。


『俺は殺される』と。


 きっと、近い未来に起こる光景を想像してしまったのだろう……。


「ウァァァァァァ!!!!」


 恐慌に支配された南條は逃げ出した! 恥も外聞も無く逃げた。


 ──勿論それを逃す【魔王】ではない。

 ──そう、【魔王】からは逃げられない。


 もしも逃げ出す事が叶うとするのならば、それには魔王の本能を満たす為に生贄を差し出す必要があるだろう……。


 だから、南條は走った──。自分の手下達が居る方向に……自分の身代わりとなる奴等が居る方向に走る。


「おっ? 南條さん! さっきの女を見つけたんですか? へへっ、後で俺達にも遊ばせて下さいよ?」


 早速見つけた手下達はそんな事を言うが、そんな手下達を無視してその横を抜ける。


 南條は振り返らない……後ろからは手下達の断末魔が聞こえても、ただ真っ直ぐに前を向いて走った。



 何度か同じ事をして逃げてると、絶望を運ぶ【魔王】は、他の玩具で遊んでいるからなのか南條の事を追い掛けては来ていなかった。


 そして、少しだけ時間が経つとソレをやっと実感する事が出来た。


「……お、俺は、た、助かった、のか?」


 あぁ、良かった……。


 自身が助かった安堵からか、涙の跡で顔をグシャグシャにした南條、失禁しその場で暫く放心していたのであった。

何時も見て頂きありがとうございます。

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