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俺のデバフは理を破る!〜俺が強い?違うなテメェ等が弱くなったんだよ!〜  作者: 鋼夜
三章 遥かなる旅路編 〜四神の章〜

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神話創生 アトラス歴1459年【541年前】1-1

三章開始します。

次回の更新は二日になります。

↑三月一日の予約投稿のつもりが普通に投稿してしまいました。期間が空きますが二話は予定通り二日になりますm(__)m(ストック作りや仕事の都合もありますのでご理解ください)

 仮面の男、魔将ナギは業火に燃える村を疾走し、炎帝を殺す為にその力を振るう。

 対する炎帝は、神を冠する能力【炎神】の使い手。


 もしこの戦いを後世に伝える者が居るとしたら、きっとこう伝えるだろう。


──地獄を見た、と。




◆ナギside◇


「消えろ!」


 ナギの拳が雨の如く炎帝に降り注ぐ。


「はん! テメェの能力がどんなんかは分かんねぇが! 強化系か? だったら俺には絶対勝てねぇよ! ──炎神(朱雀)!!」


 炎帝は自身を炎と同化させ、ナギの攻撃を迎え撃つ。


 迎え撃つ炎帝の攻撃はナギ同様に拳の乱打だった。但しナギとの違いは、その拳が全て、炎が荒ぶるが如く、熱く、厚い焔の嵐。


「チッ!」


 ナギは空中を舞う様に飛来する拳を躱し、時には弾く。


「何だ、今のを防ぐか? ククッ、魔子如きが勇者様に楯突くだけは有るじゃねぇか!」

「ゴチャゴチャと五月蝿ぇな! お前は戦いに来てるんだろ? 口喧嘩したいなら勇者同士でやれ。──疾っ!」


 ナギは炎帝との会話に取り合わず、再び弾丸の様に加速する。


「確かに、お前は強いのかもしれないがな、俺も切り札は出してないんだよ!」

(センスコラプス!×100)


 切り札である感覚崩壊を唱えたナギは、遅くなってる筈の炎帝を、畳み掛ける様に攻撃しにいく。


「なんだぁ? 真っ直ぐ突っ込む事しか出来ねぇのか? 魔将さんよぉ!」


 ナギの攻撃に反応し、カウンターを決める為に攻撃を繰り出した炎帝。


 そして、


「ッッグハッ!」


 やれたと思ったナギは、逆に攻撃を喰らい訳が分からなかっただろう……。自身の切り札、感覚崩壊が効いている気配が全く無かったのだから。


(……何だ? 俺は確かに感覚崩壊を使った筈だ)

「だったらもう一度だ!」

(センスコラプス×100)

「何がもう一度だよマヌケ!」


 炎帝の業火がナギを襲う。


「ぬぁ! あっつ……な、何でだ」


 再び感覚崩壊を掛けたが効いている気配は先程同様無かった。


「お前、やっぱり威勢だけで大した事ないな……興醒めも良い所だ。ツマンネェから後ろの女を渡してさっさと死ねよ」

「……渡す訳ないだろボケ」

(何で、何で感覚崩壊が効かない?)


 現状を理解出来ないナギは過去に移動した事によるデメリットが吹き出していた。


 異世界アトラスに於いて、神より与えられたスキルには、似た様な効果を持つ物、似た様な名前を持つ事は有っても、全くの同名スキルは存在しない。


 どう言う事かと言うと、今まで居た未来では夕凪翔と言う存在が二人居た。

 そう、此処から五百年を旅する夕凪と、五百年後に呼び出される夕凪とで、だ。


 そして、本来有り得ない筈の同一スキルが存在する事により、神のシステムにエラーが起こった。

 これが原因で新しく召喚された夕凪翔の感覚崩壊は文字通り壊れたスキルと化していたのだった。


 これに気が付けば答えは簡単だ。


 感覚崩壊は今、正常に動作している。

 無詠唱は今、正常に動作している。


 今迄が異常だったのだ。


 今のナギは対象を捕捉し、思考するだけで無く、口に出して感覚崩壊を使わねばその力を発揮しないだろう。

 そして、発揮した所で感覚崩壊は重ね掛けが出来ないスキル。加えて効果量極小と言う正常な状態だ。


 つまり、切り札は死にスキルとなっていたのだった。


「何でだ! 何で発動しない!」

「女の様に喚く様になったな、魔将君よ! それとも女みたいに媚びを売ってみるか? まぁ、お前は男だから殺して打ち捨ててやるけどよ!」

「っ、だったら! ──疾っ!」


 ナギは炎帝と超近接戦を繰り広げる。

 その動きは炎帝を大きく上回り圧倒している様には見える……。

 しかし、実際には炎帝が発する高温の熱気によって、ナギの体力は凄まじい勢いで奪われて行く。


「頼む出てくれ、センスコラプス!」


 願う様に口に出した感覚崩壊のワードは、青白い光となって炎帝を包み込む。


「何だコノ光は……テメェ、俺に何しやがった!?」


 多分、その答えを一番知りたいのはナギ本人だろう……。


(エフェクト? 今迄こんな事無かっただろう……何で、何で……ま、まさか!)

「センスコラプス!」


 ある種の答えを見つけたかの様に再び感覚崩壊を使う。

 しかし、先程同様に発した光は炎帝に届く前に霧散していく。


(ははっ、マジかよ……俺がリリーナから聞いてた効果その物じゃないか……)


 漸く自身の身に何が起こったのか理解するナギ。

 今迄頼りにしてきたスキルを失い、喪失感に似た感情がナギを襲う。

 きっと今のメンタルで戦っても炎帝に殺される事だろう。……本来、神を冠する能力に長けた者との戦いは、殺すか殺されるかと言った物なのだから。


 ナギの認識が甘かった。


 きっと、絶望がナギを襲っている事だろう。



 ……確かにナギの感覚崩壊は死んだかもしれない。

 だが、過去に来る事によってメリットも得た筈だ。


 今、ナギが持っているスキルは本当に二つだけだろうか? 否、未来で餞別を貰ったではないか……そして、その餞別は過去と未来に於いて、この先戦う為の力、ナギの心臓となり継承されている。


 そのスキルは……。


 ──魔王化。


 この時代、先に現れた本来の持ち主、サラサ・クロムウェル。

 この時代、後に現れ、継承された持ち主、ナギ・ケルウェル。


 魔王化(状態異常無効化、不老、肉体超強化、超回復、闇魔法掌握、眷属強化の六つの能力を一つにした能力)


 このスキルがエラーを起こしたのならば、


 魔■化(状態異常無効化、不老、肉体■強化、超回復、闇魔■■■、眷■強化の六つの能力を一つにした能力)


 エラースキルな為、全てがプラスに働くかは判らない。しかし、ナギが今必要な力はちゃんと此処に有った。


 ならば、後は力を行使するだけだ。



「アァァァァァァァァァ!!」


 拠り所である感覚崩壊の現状を知り、自棄になるナギ。だが、結果的にこれは正解だったのかもしれない。


 何故なら、彼は炎帝の熱波とメンタルブレイクにより、朦朧とした意識の中、無意識に魔王化を受け入れたからだ。


 魔王の心臓が早鐘を打つ。


 心臓が体中の血液を循環させ、ナギの身体を内側から作り替え始めた。


 身体の変化は外側にも現れ……髪は漆黒の黒髪に純白の白髪が混じり、瞳は片方の色が血を思わせる様な紅眼に変わる


 きっと、ナギは今起こっている事を正しく認識出来てないだろう。

 それもそうだ、今の彼は肉体の急激な変化により、朦朧としていた意識を既に手放していたからだ。


 しかし、敵対者である【炎帝】南條朱雀は、この戦いの事を絶対に忘れる事は無い。

 片腕を失い、プライドを砕かれ、糞尿を撒き散らしながらも逃げたのだから。

何時も見て頂きありがとうございます。

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