五十二デバフ
急に仕事に穴が空いた為、時間的余裕が出来たのだ更新です。
二章はこれにて最後となります。
三章は全話修正、加筆等が終わり次第更新します。
三章では暫く空気だった主人公がメインで動きます。
三章の更新は恐らく3月前後?位になると思います。
翔は世界の理から外れ、過去の扉を開く。
きっと、この扉の先には誰もが望む未来が有ると信じて……。
◆夕凪翔side◇
其処は地獄の様な光景が広がっていた。
「なん、だ……コレ」
村は燃え、辺りからは悲鳴が呪詛の様に響く、その呪詛を肴に嗤う人間の声が辺りに聞こえる。
「…………」
俺は人間に見つからない様に、無言で辺りを探すと、傷だらけの少年がフラフラと歩いていた。少年は限界を迎えたのか、その場にドサっと倒れる。
「だ、大丈夫か!?」
少年に駆け寄り、身体を抱き寄せると小声で何かを呟いている。
「……た、く……ない……」
死にたく無い。ハッキリと聞いた訳では無いが、翔に何を言いたいのかが伝わった。
「……あぁ、大丈夫だ……きっと君は死なない」
それは嘘だった。誰の目から見てもこの少年の命は直ぐに尽きるだろうと判断する。
「…………」
しかし、そんな翔の嘘に応えるかの様に少年は微笑み、その小さな命は静かに消えていった……。
「コレが過去の世界、魔王が見続けていた世界……なのか?」
少年の死体を比較的綺麗な場所でそっと横たわらせると、
「……そうだ、魔王だ。……確か魔王が近くに居るとか言ってたな」
魔王を探す為に少し歩くと、聞き覚えのある声が悲鳴となって俺の耳を打つ。
(この声は……魔王か?!)
俺はこの世界での自分の立ち位置がまだ不鮮明な為、取り敢えず持っていた仮面を付け、急いで声の方に向かう。
そして、現地に到着すると、
「私……いや違うか……我の名はサラサ・クロムウェル。獣の世を終わらせる終焉の魔王也」
其処には未来で見た魔王とは似ても似つかない姿……具体的に言うと衣服がボロボロになっており、とても扇情的な姿をした魔王が数多の屍を築き上げて、其処に立っていた。
・
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「魔王、大丈夫か!?」
「ん? お前は人族か……いや、魔族の気配を感じるが……まぁ良い、お前は人間側か? それとも魔族側か?」
魔王の質問に対して、俺はコレが踏み絵だと瞬時に理解する。
「魔族とか人族とかはどうでも良い……俺はお前の味方だよ」
「人族がどうでも良い? この地獄を作り上げた奴等だぞ? ……こんな獣共は駆逐するべき害……獣だ、ぞ……」
虚ろな表情をしている魔王は力を使い過ぎたからのか、その場で倒れる。
「お、おい! 大丈夫か」
俺は先程の少年の様に危険な状態なのかと思い、慌てて側により抱き寄せると、
「すぅ……」
静かな寝息が聞こえた。
「寝てるだけかよ!」
……まぁ、無事なら良いんだ。
それよりも、
「隠れてないで出てこいよ、居るんだろ?」
魔王の心臓の影響からか、俺の五感が恐ろしい程に研ぎ澄まされている。そして、その研ぎ澄まされた感覚の中で、危険な存在が近くに居るのを察知出来た。
「何だ、バレていたのか? まぁ、良いや、その良い女を寄越せよ」
そう言いながら現れた男は俺の知っている人種、日本人だった。
「お前、異世界人だな?」
「ん? 何だ、俺を異世界人だと知っているって事は……お前、魔子の一人か?」
魔子と言うワードを喋る時、男のプレッシャーが大きく跳ね上がる。
(コレは、そうですって言ったら戦闘が始まるよな……)
本当なら戦闘なんて面倒で嫌だが、俺は魔王を助けに此処に来たんだ。それなのに魔王を寄越せって言う輩に従う訳にはいかない。
だから俺が取る選択は一つ。
「……そうかもな、俺の名は魔将ナギ・ケルウェル。お前達、勇者の敵対者だよ」
「そうか、名乗りを上げてくるたぁ良い度胸だな、だったら俺も名乗ってやるよ。俺は総てを焼き尽くす炎の帝王。【炎帝】南條朱雀!」
此処から五百年を超える俺の戦いが始まる。
遥か先の未来に、俺の仲間達……【逢いの絆】の皆んなと、色んな想いを背負い、全てを救う為に戦い続ける。
誰もが羨むハッピーエンドの為に……。
何時も見て頂きありがとうございます。




