四十七デバフ
ちまちまと空き時間に執筆出来たので更新です。
次回は2月2日か遅くても3日になります。
魔王と勇者達が隔離された世界で戦ってる時、二人の超越者は不満を募らせていた。
◆アト&ラスside◇
「ちょっと! 戦いが見えないじゃない……」
「そうだね〜。魔王ちゃんが魔法を使ってから、神子達からの情報が取得出来ないよ」
「こっちは魔子も居ないから、一般魔族達から情報取得しようとしてるけど、そもそも魔王ちゃんの近くに魔族が居ない……」
幼い容姿の神が二人、一番楽しみにしていた大勝負を何とかして覗こうとアレコレと手段を変えて試す。しかし、魔王が作り上げた結界を突破出来ないでいた。
「ん〜……どうやら魔王と勇者周辺の一定範囲内の情報を遮断する類の魔法だね。それにしても、神である僕達の眼を持ってしても覗けない結界って凄いね」
「ふふん、私の自慢の魔王ちゃんだからね!? でも、私達が覗けない結界を作るなんて何が目的だろ?」
「何だろうね……」
アトの言葉にラスは真面目に思案した。
(単なる傍聴対策にしては効果が強すぎるし……このレベルの結界だと人に使うには過剰だよね? ……だとしたら……。もしかして僕達に対して対策してるのかな? でも、一体何の為に?)
魔王サラサと言う人間の気持ちが分かれば、直ぐ答えに辿り着ける事なのかもしれないが、神である二人にとっては、玩具の気持ち等を理解しようとする事はなかった。
しかし、何か考えが有ってこんな結界を作った事だけは理解した。
二人は頭を捻り色々考えたが、結局の所、現時点で答えに辿り着く事は出来なかった。
◆大神拓哉side◇
大神とリリーナは武器を振り回し、魔王に肉薄していた。
「ハァァァ!!」
「せやぁーーー!」
大神とリリーナの気迫の籠った一閃が魔王を襲う。
「良い加減諦めないか? お前達では我には勝てんよ」
そんな二人の攻撃をあっさりと捌く魔王。
その表情は先程同様、余裕な態度。そんな魔王の顔に苛つきを隠せない大神は、
「黙れ! お前の存在が皆んなを不幸にする!?」
「……女性にそんな言葉を言うとか傷付くじゃないか」
魔王は苦笑いとも取れる微笑みを浮かべながら口にする。
「ならば、我は魔王らしく今度はあちらの大陸で不幸を振り撒くとするとしよう。これも、お前が我に力を貸さないから起こる悲劇だ」
「そうはさせません!」
剣を一閃するが、リリーナの剣は先程迄の精彩差を欠いている。
「どうした女? さっきと打って変わって剣に力を感じないぞ」
ダメージは勿論の事だが、現在リリーナは剣神結界が使えない為、己が研鑽し培ってきた剣技のみを頼りに戦っている。
しかし、幾ら剣技を磨いて来たとは言え、隣で神剣の加護を纏った大神には二手も三手も差があった。
「そうですね……。こんな私ですが、大神さんが貴方に致命の一撃を与える事の一助となる事を願い、この身が朽ちるまで只、剣を振るう迄です」
「そうか……ならば精々足掻く事だな」
「えぇ、覚悟して下さい」
幾十、幾百の剣撃が魔王を襲う。
「気合だけではどうにもならんよ」
魔王がそう言う剣撃の一つをパリィして、返す手でリリーナを吹き飛ばす。
「リリーナさん! 少し休んで下さい」
「お前一人でどうにか出来るのか? 戦力差は歴然なんだが……」
「僕は一人じゃない!」
大神の言葉が真実だと証明する様に萩原からは魔法、更科からは獣魔が魔王を襲う。
「どんなに差があろうと、お前だけは倒してやる! それが散っていった人達に僕達が出来るせめてもの手向けなんだ!」
「圧倒的差を覆せる奇跡等はアニメやゲームと言った物語の世界だけなんだよ勇者君」
「……今、なんて?」
「ん? 地球出身何だからアニメやゲームは通じるだろ……。あぁ、そう言えば夕凪も我が地球人って事に驚いてたな」
どう言う事だ?
魔王が地球人と言う事実に大神は困惑した。
「お前が地球人なら僕達側の人間じゃ──」
「そのやり取りも夕凪としたから面倒だな。……まぁ、簡単に言うと我もお前と同じだよ、但し魔族側の勇者と言う立場だがな」
「つまり、僕等は同じ地球人同士で戦っているのか」
「戦っている? 違うな戦わされてるんだよ、神によってな」
この会話は他の勇者達にも聞こえ、一時的に戦闘の手は止まる事となった。
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「位相をズラしているとは言え、余り口から情報を流すのはリスクが有るのだが……、まぁ夕凪と色々と話してるし今更の事か」
訳分からない独り言を呟く魔王だが、大神は静かに話しを聞く事にした。
「そうだな、過去に召喚された勇者達は皆んな地球人だ。そして、同様に魔族側の勇者……つまり、魔王も魔族から召喚された地球人と言う事だ」
「それじゃ、僕達は同じ地球人同士で……」
「そう言う事だ。そして、どうしてそうなってると思う? この戦いは誰が仕組んだ事だ?」
「それは……」
大神の表情は薄々と気付いている様な表情だったが、認めたくは無いのか、言葉を濁す。
「まぁ、気持ちは分かるがな。此処まで話したんだ、折角だから我の目的も教えてやる。──我の目的は神殺しだ」
「なんだっ……て?」
「神を殺し、今後も続くかもしれない召喚から、戦いへの負の連鎖、同胞である地球人の被害を無くす為だ。そして、その為には神域領域に干渉するスキル、つまりは神を冠する能力の持ち主であるお前の協力が必要だ」
「……具体的に何をするつもりだ」
警戒心を露わにしつつも話しを聞こうとする大神に、魔王は「やっと聞く気になったか……」と小さく呟く。
「新魔法の研究の為に神域領域を解析したいだけだ。それ以上の事は望まない」
「だったら、ここには僕と美幸さん、後はリリーナさんが神を冠するスキル持ちですね」
「ん? ……誰と誰がスキル持ちだって?」
「僕と美幸さん、リリーナさんの三人だね」
その一言を発すると、大神の背筋にゾクリと強烈な寒気が起こる。
◆魔王サラサside◇
……ハハハッ! 何だ同胞を犠牲にしたく無いから新魔法を開発しようと思ったのに、そんな遠回りしないで済むじゃ無いか!
「クククッ……勇者君、今聞いた話しは忘れて良いぞ? 新しい魔法を作らなくても問題は解決した」
まさか今代で、神に冠するスキル持ちがこんなにも居るとは……しかも神子が居るなんて最高だ。
「先ずは暴れない様に女の四肢を捥ぐか……」
「何を言って──グハッ!」
(勇者君には悪いが、今は邪魔だから寝てて貰う)
首を落とさない程度に、手刀で大神に一撃を与えた。
魔王は一撃で大神を気絶させると、先程吹き飛ばした女、リリーナに向かって歩み出した。
何時も見て頂き有難う御座います。




