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俺のデバフは理を破る!〜俺が強い?違うなテメェ等が弱くなったんだよ!〜  作者: 鋼夜
二章 魔族侵攻編

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三十九デバフ

誤字報告して下さった方有り難う御座います!

次回更新は15日になります。


◆八将貴ジェリスside◇


 アガストが撤退を始めた。


 まさか、あの脳筋が"不壊"の言を素直に聞き届けたのが誤算ではあったが、まぁ焦る事は無い。どうせ死ぬのが遅いか早いかの差でしかないのだからだ。


(逃げるアガストより、今は目の前の神子であるルーチェに注力すべきですね……)

「魔法兵達よ、前方に迫る不壊に向け一斉掃射をせよ……」


 ジェリスは指示をする為に掲げた右腕を振り下ろし、魔法兵達に集中攻撃を浴びせる様に指示を飛ばした。


「「「はっ!」」」


 魔法兵達は指示を受けると一斉に詠唱を始めた。


「「「──炎とは生物の根源に灯される心の火」」」

「「「──大地より生まれ出るは始まりの息吹」」」


 魔法使い達が詠唱しているのは中級魔法のアースグレイヴとファイヤーバレットである。中級程度の魔法、ルーチェならば、その鉄の防御力で防ぐ事だろう。二つの魔法を数発食らった位では"不壊"の異名を持つ女は止まらない。だが、それが一つ二つではなく、百、二百ならば? その炎はルーチェと鎧を焼く。例えそれで生き残れたとしても、高温で焼かれた鎧は、どんなに装甲が厚くても融解させているだろう。そこに追加で、石の荊が貫き、"不壊"の異名と共に消し去る。


「「「──其れを扱うは生物の道理、ならば我が歩みを阻む物は、これ即ち生物に在らず、全てを灼く炎の弾丸となりて、此れを貫こう」」」

「「「──芽吹いた生命を仇なす者、大地に反を成す存在よ、これ即ち生命に在らず、全てを喰らい尽くす荊となりて、此れを薙ぎ払おう」」」


 魔法の詠唱が終わる。


 後は呪文を唱える段階、その状況が分かっている筈のルーチェには、微塵も迷いを感じさせない様に迫る姿に、ジェリスは少しだけ怖気付いた。


(貴方はその小さな身体で頑張りました……例え生きて、この私を殺したとしても私は倒せません。つまり最初から私に敗北は無かったのですよ)


 "双身"それはジェリスの能力であり、この能力がある限り、ジェリスは限定的な不死状態であった。一体しか分身は作れないが、本体、もしくは分身体のどちらかが生き残っていれば復活が出来ると言う力だ。


 まぁ、状況的に双身があろうが無かろうが自分に届かないだろう。


 そう考えていたジェリスは、小さく息を吐くと、


「それでは"不壊のルーチェ"よ、サヨナラです……放て!」


 最後の号令を飛ばすと魔法兵達から魔法が唱えられた。


「「「ファイヤーバレット!!」」」

「「「アースグレイヴ!!」」」


 先程とは違い、全ての魔法がルーチェ個人に向けられた。


 一個人に向けられた魔法は、餌に群がる鳥の様にルーチェ目掛けて飛んでいった。


 ドォォォォォン!!!!!


 着弾した魔法の余波が衝撃となって土煙と共に、ジェリス達魔王軍を包み込んだ。


(さて、このままアガストを追うべきか……全体の戦域情報を纏めた方がいいでしょうか?)


 ジェリスが今後の事を思案していると、


 ザシュ!!


 そんな音と共にジェリスは斬られた。

 続いて今度は心臓に馬鹿デカイ大剣が突き立てられていた。


「バァーカ! お前は油断し過ぎなんだよ……」


 混乱した頭に、自身を罵倒する言葉が聞こえたジェリスは、そちらに視線を向けると、其処には下着姿のルーチェが居た。これだけ聞くと破廉恥な状態に見えるが、ルーチェは左腕を喪失しており、全身血塗れ、その顔はかつての可愛らしい顔が分からない程に焼け爛れていた。


 もう助からない。


 一目見たジェリスでも、それは分かり、ルーチェ自身も其れを把握していた。


「ハハッ……私もそうだけど、アンタも致命傷だね!」

「その様ですね……ですが、これで勝ったつもりですか?」

「あぁ、人間は勝つさ! アガストや勇者達が必ず魔王を倒す……。まぁ、勝利の瞬間を見れないのが心残りだけどね。でも、アンタを道連れにしたって事で勘弁して……あげるよ」

「そうですか……。それでしたら、あの世とやらで、また会いましょう」


 何時になるか解らないですがね……。死ぬつもりが無いジェリスはそう言葉を告げようと思ったが、目の前の女は既に息絶えていた。その姿はボロボロだったが、表情はとても美しい死に顔であった。


 そんなルーチェの最期を見届けたジェリスも自身のコノ身体の終焉を感じていた。


(まぁ、向こうの大陸に居る私が生きている限り死なないのですがね……。さて、もう一人の私は今はどんな状態ですかね?)


 ジェリスはもう一つの身体にパスを繋ごうとするが繋がらなかった。


「……なっ!」


 どう言う事か繋がらないパスに焦り出した。


「どう言う事ですか!」


 パスを繋ぐべき存在が存在しない……つまり、双身体もほぼ同じタイミングで死んでいた。


「分からない! 何で……何故!?」


 混乱する頭からサーっと血の気が急速に引いていく。この状況が原因で血の気が引いているのか、単純に血を失い過ぎてそうなっているのかは分からないが、これだけは確かな事があった。


 ジェリスは此処で、その生を終わらせる。


「嫌だ! 死にたく無い! 何故、魔王様の片腕として仕えてきた私が此処で死なねばならない!」


 今迄、死とは無縁だった男は死を自覚させられた瞬間……狂った。


「ハハハハハハハハハハハハッッッ!!!」


 死という恐怖に耐えられなかったジェリスは、その顔に狂気染みた笑みを浮かべて逝った。


 そして、土煙が晴れた戦場には、美しい表情なルーチェの死体と、ジェリスの狂気に満ちた死体が其処にあった。


 勝利を確信していただけに兵士達は、ジェリスが討ち取られた事に激しく混乱した。その混乱は他の兵達に更なる混乱を呼び込む。

 指揮官が不在になり、訳が分からなくなった兵は戦場を撤退する事となった。


 この戦い、結果だけ見れば神子である"不壊のルーチェ"が執念でもぎ取った勝利だ。

何時も見て頂き有り難う御座います。


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