三十七デバフ
新年明けましておめでとうございます!
仕事も少しずつ落ち着いてきたので、更新頻度を緩やかに戻して行こうかと思います。
本年もどうぞ宜しくお願いします。
◆リリーナside◇
私達がオオガミさんを見つけのは毒々しい色彩を帯びた沼に、オオガミさんが飲み込まれた瞬間だった。
「……ッッ……ミカ! 周囲を警戒して下さい!」
「分かったわ!」
私の言葉にミカは素直に反応してくれた。
「私が先行しますので、ミカはオオガミさんが生きてるか確認を! ……そして、生きているなら、彼を連れて戦線離脱をして下さい」
「大神を回収した後はリリーナはどうするの?」
「私はオオガミさんを攻撃した者を倒します」
そう告げた私はミカの返事を待たずに敵陣へと突撃した。
「ちょっ!」
背後からミカの声が聞こえるが無視した。
(ミカならオオガミさんを無事に後方まで送り届ける事が可能です。──しかし、それは敵の追撃を防ぐ者が居れば……の話しですけどね)
恐らく自分は此処で死ぬだろうと言う予感を感じている。だけど、例え死ぬとしても大神を救えれば人類はまだ戦える。そんな想いがリリーナを、この孤独な戦いへと駆り立てた。
(カケルさん……貴方はもう、私達を助けてくれないのですか?)
心の何処かでカケルは死んでいると思い始めている自分に、フッと息を吐くと、
「あの人が簡単に死ぬ筈無いですね」
自分の考えを直ぐに否定した。
「ですが、時間切れです……」
しかし、人類にカケルを待つ余力は完全に無くなった。それ故の時間切れ。
「せめて、カケルさんとの約束……。ミカだけは何としても守ります」
その考えがあったからこそ、更科とは一緒に戦う事を選択せず、大神を回収させた後に後方に下がる為の理由も与えた。
私も一緒に下がれば良いのかもしれないが、先程の敵の攻撃は広範囲の攻撃……。そして、周囲の状況を見るに、毒による攻撃なのは直ぐに理解できた。そして、こんな能力を使う様な相手だ、人類はこの後、籠城戦になるであろう状況で、毒を使う敵を放置してはいけない。
「必ず此処で、この能力の使い手を倒さないと……」
そして、
「──剣神結界」
能力を使い、認識外の悪意に自動で身体を動く様にした。
(次にあの攻撃をしてきた時、必ず見つけて殺してみせます)
その強い決意と共に、敵陣でリリーナは舞った。
◆更科美香side◇
「ちょっ! リリーナ!? 一緒に逃げないの?!」
私のそう返事を返し切った時には、既にリリーナは彼方まで馬を走らせていた。
「くっ! 獣魔よ大神を探して! 見つけ次第、私に教えて」
獣魔達は分かったと言わんばかりに、勢いよく影から飛び出して行った。
(こんな状況で一人で敵陣に行くなんて自殺行為……。だとしても貴方は絶対に死なせないわよリリーナ)
影からは際限なく獣魔が飛び出して行く。
数が減った味方の兵士達にはその光景が頼もしくあった。
そして、蛇口を捻ったかの様に獣魔が這い出す姿に敵は絶望感を覚えた。それもそうだ、魔王軍達が使役した魔物たちより圧倒的に洗練された統率力、足元から延々と獣魔が出てくる光景は、終わりなき戦いを敵に予感させた。
「エスク、貴方はリリーナの援護に行きなさい。彼女が無茶したら何としても止めて。……お願いよ?」
自身の最高戦力であるエスクに、祈る様に、リリーナの事をお願いした。
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暫くすると、獣魔から大神の生存を報告が届いた。
「そう。生きてはいるけど何時死んでもおかしくない状況か……」
生きているなら選択肢は一つ。
「後方にいる天野まで大神を送り届けましょう」
獣魔に指示を飛ばすと、命令を即時遂行する為に獣魔達は疾走した。
(リリーナを本当に頼んだわよ?)
更科はリリーナが居るであろう場所に視線を向けると、既に戦いが始まっているのか、幾つもの戦闘の音が響いていた。
何時も見て頂きありがとうございます。
誰の視点か分かる様にしてみたのですが……。
もう少し時間の余裕が出たら全話直したいと思います。




