三十六デバフ
こんな時間に目が覚め寝れなくなったので更新です。
"死"が迫り来る。
敵が一歩、足を踏み込んでくる度に敵味方の兵士が"腐り溶ける"その光景は大神自身の生に"死"が近づいてきた事を実感させた。
グラの能力そのものは戦いに出る者ならば当然知っている程に有名であり、当然共有されている。
しかし、
「聞いてた情報と規模が違い過ぎる……」
その言葉は大神が発したものなのか生き残りの兵士が発した言葉なのか分からない。だがその言葉は敵味方双方が抱いた素直な感情だった。
「ヒィッ!! 嫌だ! こんな死に方は嫌だぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」
グラの近くにいた両軍の兵士達は自身が腐っていく姿に悲鳴をあげている。人が腐り、風化していく様は一言で言うならば地獄絵図だった……。
大神は神剣の加護によって影響が比較的軽微ではあったが、直接的に"腐敗"を浴びせられたならば、眼の前で死んでいった者達と同じ末路を辿る事となるだろう。
それを察した大神は、
「触れられたら負け……だったら!」
現在は自身の能力を向上させるエクスカリバーとバルムンクを二刀流で装備している大神は、その2本とも神域領域に戻す。そしてそのまま領域内でこの現状を打破する為の剣を探す。大神は頭の中にカチリと嵌るパズルピースを領域内で手探る。
(コレでもない……肉体に触られたら負けなんだ……圧倒的な速さ……もしくは触れられても耐える事が出来る能力)
グラが迫る中、刹那にも満たぬ時間で神域領域内にある神剣が補完された宝物庫を漁る。
その漁り方は野盗の様に荒々しく、観るものがいたら憐れみを誘う様であった……。実際にはそれを見て楽しそうに笑う神二人が居たのだが、それはまた別の話である。
しかし、大神の憐れな姿を見ている者が神以外にもいた。
それは、
(これは! この剣なら……)
本来ならまだ大神が扱える筈のないパズルを大神は強く握っていた。
「我の求めに応えよ! 全てを薙ぎ払う雷霆よ! ケラウノス!!」
手にしたパズルを嵌め込んだ大神は、禍々しくも神々しく、穏やかで荒々しい剣を現界させた。
剣を現界させたと同時に大神は雷霆へと大きく姿を変貌させた。
「これは……」
そう呟くその姿の男を一言で言うならば大神拓哉と言う形をした雷そのものだ。
大きく変貌を遂げた大神にグラは一瞬足を止めそうになった……が止めなかった。それは自分の命が間もなく尽きると言う事を悟っていたからだ。
此処で止まれば次は動ける保証が無い。そんな想いがグラの走りを止めなかった。
そして、
「…………見事だオオガミよ」
一瞬だった。
一瞬で間合いを詰めた大神はグラに致命の一撃を浴びせた。
「僕の勝ちです"破滅のグラ"。人類はこのまま勝利して破滅を回避させますよ」
お互い一言ずつ声をかけるとグラはその体を風化させて果てたのであった。
戦いが終わるとケラウノスは大神を拒絶する様に神域領域へと戻った。
そして、かなりの力を持って行かれた大神はその場で膝をつく……。
「ダメだ……。戦場のど真ん中で膝をつくなんて……早く次の神剣を出さないと……」
自分の膝に喝を入れて立ち上がり辺りを見渡すと、"沼"が大神の周囲を呑み込んでいた……。その沼はそのまま大神を攫っていった。
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