三十五デバフ
時間が取れたので更新です。
次回更新は年内何処かで出来ればいいな?って感じです。
僕とグラは剣と拳を激しく交差させていた。
「グラァァァァァァ!!」
ユキさんの直接的な仇ではないが僕の怒りはグラにぶつけている。
本当はクラウソラスを使って遠くから魔王軍の数を減らすつもりであったが、両軍が接敵するや否やグラはクラウソラスを使わせない為に敵味方入り乱れる乱戦へと戦闘を変化させた。
こうして乱戦になった事により、クラウソラスの様な範囲攻撃は誤射の危険性が高い為に使えなくなった。グラはこの展開を想定していた様で、その後直ぐにオオガミの元に現れて因縁の戦いが始まっていた。
「フンッ!」
グラの剛腕がオオガミの頬を掠める。
「今の僕はあの時の僕じゃ無い!」
迷いの無い動きでグラに剣閃を浴びせる。しかし、グラは八将貴でも圧倒的な経験と実力に裏打ちされた相手だ、当然オオガミの攻撃も流される。
「その様だな……。しかし速いだけならば前と同じく俺を倒せんぞ?」
「そんな事は分かっている。だからこそ僕は此処で自分の限界の壁を超えてみせる!」
そう言ったオオガミは以前とは違うと言わんばかりに気迫……いや気魄を込めた攻撃を叩き込んでいく。
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どれだけ攻防を繰り広げただろうか。一時間? 二時間? 或いはもっと経っているかもしれない。
だけど実際にはまだ三十分程度しか経ってはいないのだが……。それ程に濃厚で濃密な戦いを両者が繰り広げていた。
両者の決着は未だ付かないが、戦争に限って言えばほぼ決着がついていた。圧倒的な数の不利……アガスト王国軍はもう千に満たない数しか生き残りがいない。
しかしオオガミの中では此処でグラを倒した後にクラウソラスを振るえば逆転出来ると踏んでいる。だから、最悪グラを倒す間持ってくれれば守ると誓ったアトラスの戦士達に対して勝利と言う形で報わせるつもりだった。
「「…………」」
両者は幾度目かの激突を終えた時、お互いが不意に距離を取った。
「勇者よ名乗れ……」
既に名前を知っているグラではあったが、一人の武人としてこの勇者の名前を知りたくなった。
「僕の名前は大神拓哉だ……」
そして、以前はゴミの様に扱った自身にグラが名前を聞いて来た事に、大神はほんの少しだけ口を釣り上げて笑う様に応えた。
「そうか。以前貴様に述べた数々の暴言を撤回しよう。そして、改めて勇者よ……いや、オオガミよ俺は此処で貴様を倒す男、グラだ。……此処からは俺も命を燃やして相手にさせてもらう」
そう言うとグラの着けていた手甲が錆び溶けていく。それと同時に其処に立っているグラの足元の大地も次々に腐り枯れていく。
『腐敗』とはグラの魔子として発現した能力。万物全てを腐り散らかす死の能力であった……。この力は消耗が激しい為、滅多に使わない能力だ。例え使うとしても、ほんの少し使う程度である。しかし、今は制限無しで能力を使い始めた。
それは何故か? その理由は戦いで大神拓哉の凄まじい成長速度を目の当たりにしていた為だったからだ。
もし、このまま戦いを続けたならば確実に自身が敗れる事を察知したからだ。ならばと此処を自身の死に場所と定めたグラは、真の勇者と見込んだ大神拓哉を必ず仕留めるべく能力の全力解放を行った。
「俺の能力は死の力"腐敗"。オオガミよ! 俺の全てを貴様にぶつける! 死にたくなければ貴様の全力をもって俺を止めろ!」
大気を震わす程の咆哮を上げると、グラは己の命を使って"勇者"に挑んでいった。
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