二十九デバフ
執筆時間が取れたので更新です。
あぁ〜〜腹立つ! あの勇者! 神託まで使って引き込んだファリスちゃんを引き抜いてったぁぁ!! 魔王ちゃんも、あの勇者を理由にファリスちゃんを追放したって部下に説明する気の様だから他の奴に神託で誘導しても押し切られちゃう……。
「何かイライラしてるね?」
解って言ってるラスに少しだけ腹が立った。
「理由を知ってて言ってるよね〜? 酷い!」
私はプクゥ〜っと頬を膨らませてラスに文句をぶつけた。
「ゴメンゴメン。まぁ、でもあの勇者君とファリスちゃんはもう戦いには戻れないでしょ? そっちの魔王ちゃんに恩を感じてるみたいだし……。それに敵対したら潰すとまで言われちゃってるしね」
「折角こっちが有利になると思ったら、また不利になっちゃったよぉ」
「ハハッ、こっちの本命勇者君が吹っ切れたみたいで急成長したからね? 僕の勝利が近そうだよ」
「それはどうかなぁ? 八将貴はまだ五人残ってるし! 最悪魔王ちゃんが出てきて全てをひっくり返すよ」
「そこなんだよねー。そっちの魔王、ちょっと強過ぎない?」
フフン! 私の自信作だからね!
「伊達に541年の間、魔王してないからね!」
「あぁ、彼女が召喚されてから、もうそんなに経つんだね〜」
「そう言えば最近はイレギュラー君も現れないね……神子でも魔子でも無い謎の男」
そんなのも居たね〜? 最近は音沙汰無いし何処かで死んでるのかもね。
「それはそうと人間が二人、神域領域の玄関に入って来たみたいだけど、あれはどうしたの?」
先日私達の庭に侵入者が現れた。そしてその対応はラスに全て任せたのを思い出した。
「あぁ〜、そうだった。その二人は処理しておいたよ。少し勿体無かったけどね〜、ついでに玄関も弄っておいたよ」
ラスがそう言うなら問題は無さそう。
「そうなんだ! だったら続きしよっか!」
「そうだね〜」
私達は、やってるゲームの世界を再び覗き込んだ。
◆◇◆
大神やリリーナ達の活躍によって、どうやら八将貴率いる魔王軍の大攻勢を一時的に凌いだみたいだ。
リリーナが八将貴と交戦してる間、私も人手が不足しているエリアに援軍として戦っていた。
別の所では大神も神剣を振り回し、大活躍していた様だ。
ヒーラーの天野も後方で回復を頑張っていたらしい〜。その甲斐あってか、ルーチェさんも戦線に復帰が出来るとの事。
萩原は先日の封印指定魔法を放った後、軽い魔力枯渇症で休憩中だ。
「そんな、やっぱり僕も一緒に行くべきだった……偵察に徹すると言っていたので、それならばと折れて行かせるべきでは無かったんです」
そして今、自分のパーティーメンバーである七瀬雪の死亡を知らされ、大神は悲しみに嘆いていた。
「申し訳ありません。私とアガスト王が到着した時には既に手遅れでした」
「……リリーナさんが謝る必要はありません。悪いのは全て魔王軍なのですから」
そんなやり取りしている大神達には申し訳ないが、私もカケルとファリスの事で頭が一杯だった。
もしもカケルが生きてるならば、ファリスを連れて戻ってきてくれるとは信じている。だけど、それも時間が経つにつれて私の心も不安になっていく。八将貴の二人を倒せたとは言え、被害としては人類側の方が遥かに多い。このまま戦いを続けたらハルケ平原は放棄して城まで戻る事になる。そして、そうなったら再び奪還する事は、今の人類にはほぼ不可能になるとアガスト王が言っていた。
そうなると敵地にいる二人は戻る事も絶望的になるらしい。
全ての要因が私の不安を煽った。
「あぁ、日本に帰りたいな……」
どうやら私の呟きは、話し合いをしている皆んなには聞こえなかった様だ。
陰鬱とした気分を切り替える為に私は天幕を出て外の空気を吸いに行った。
「スゥ〜ハァ〜」
何度か深呼吸をして天幕に戻ろうとした時、一瞬だけ見覚えのある顔が視界に入った気がした。
「えっ? カケル……?」
私のカケルに会いたい想いが強過ぎて幻覚を見たのかと思い目を擦ると、やはり幻覚だったらしく、其処にカケルは居なかった。
「ハハッ……幻覚まで見ちゃうとか、私も相当疲れが溜まってるのね……」
私は暫く外の空気を吸って、気持ちを切り替えてから再び天幕へと戻った。
◆◇◆
我の眼下には頭を垂れる二人の男女がいる。
「ククッ、ハルケ平原奪還も間も無くだな。だが今、あの地にはジークとシャーリーが倒れ、ジェリスとグラしかいない……。だから、貴様達二人を援軍として送る事にした。異論は無いな?」
「ハッ! 八将貴が一人、毒沼のラルフ。謹んでお受けします!」
「同じく八将貴が一人、石化のリネ。謹んでお受けします!」
さて、歩く災厄の二人を送り込んだ。
これでアガスト王国まで一気に押し込んで、大陸制覇までリーチだな。
もしも、八将貴達が失敗する様ならば我が直々にアガスト王国を堕とすのも一興だ。
「では行け。良い報告を期待している」
そう言うと二人は「お任せ下さい!」と言い残し、我が作り出したゲートに入って行った。
何時も見て頂き有り難う御座います!




