八デバフ
明日は全く執筆時間が取れなくなったので今日頑張って更新。次回更新は2〜3日後です。
「あの子の魔法、凄かったね〜」
男の子は興奮した様に女の子に話しかける。
「うんうん! 魔神の泉から遠慮無く引っ張り出してて、見てるコッチも楽しかった!」
そして、満面の笑みで女の子もそれに返事を返した。
「あの魔法って、そっちの魔王ちゃんオリジナル魔法、奈落に沈む希望と同等なんじゃない?」
男の子は魔王が過去に使った魔法を思い出していた。
「流石にまだ、あの魔法には届かないよ」
「そうかな? 結構良い線行ってると思うんだけどなぁ〜」
満面な笑みの女の子に男の子は頬を掻きながら言った。
「それに、君があのタイミングで神託を下すなんてね……流石に僕も予想できなかったよ」
「フッフッフ、あの子は冴えない勇者君にご執着だったからね〜! 今は魔王軍が捕らえてるよって教えてあげただけだよ」
女の子の笑みが途切れないのは、ずっと欲しかったオモチャが手に入ったからだった様だ。
「彼女にそんな事言ったら尚更敵として動くんじゃないかな?」
「うん。だからね、もう一つ彼女にアドバイスを送ったんだよ」
「何を言ったの?」
「彼が大切なら、希望の無い人類より魔王軍の方が良いよ〜! あそこなら君と彼を邪魔する人は居ないよ! って教えたんだ」
「それって、そっちの魔王ちゃんが許すのかな? 勇者と彼女を招き入れる事を……」
男の子は腑に落ちない感じだった。
「そう思って、生き残ってる八将貴全員に別の神託を下したよ。魔王ちゃんが反対したら何としても説得しなさい! ってね」
「八将貴って……あの魔法で一人死んでるじゃん」
「狡猾のディランね。アイツは別に死んで良いよ〜。アイツ、下品で嫌いだったし! 元々、神託で死ぬ戦いに送り込むつもりだったしね」
「君もずっと愚痴を言ってたしね。神託は聞くけど、それだけの下品で下衆な男ってね」
「うん、だから今回の戦いも魔子に空きを作って貰うつもりで送ったんだ〜」
「そっか〜、でもそっちの戦力かなり過剰じゃないかな? こっちは期待してた勇者君がまだ凹んでて参っちゃうよ……。折角スキルリストに有る秘蔵なのを与えて上げたのに……」
男の子は頭を抱え、本当にショックが強そうだった。
「まぁ、頑張るよ。アトには負けてられないしね」
アトと呼ばれた女の子は笑顔で返事を返す。
「そうだよ! ラスだってこれからだよこれから! もっと楽しもうよ!」
ラスと呼ばれた男の子は乾いた笑いを浮かべてアトに応えた。
「……そうだね」
アトとラスはそうして、再びゲームに興じ始めた。
◆◇◆
どうしてこうなった……。
「何故、我が魔王城に勇者パーティーの一人が居る」
本当に意味が分からない。
事情を聞く為、此度の戦に参加したグラに問いただした。
「ハッ! それが我が魔王軍に入りたいと言う事です。戦力としてはかなり期待出来ると思います」
何故、お前が答える……ジェリスよ。
あぁ、アガスト王国に潜入させてた時に会ってるからか?。だとしても此処まで我の前まですんなりと案内する等……まさか、クソ神共の差し金か?。
そう思った私は率直に要らないと判断した。
「要らぬよ。我が魔王軍に、不安の種を抱え込む等出来ぬ」
「しかし、私達に神託が降りました。神託によると、彼女が居れば我が魔王軍は人族に対して、より有利に動く事が出来るそうです」
やはり神の仕業か……だが、神が態々差し向けたんだ、戦力は高いのだろう。
さて、どうするか? 戦力次第では考えてもいいか。
下手に反対すると、神託が降りた魔子の反発も有るかもしれんしな……。
取り敢えず、先の戦いに参加したグラに聞いてみよう。ジェリスよ今度は邪魔するなよ?。
「グラよ、直にその女の戦いを見た者として率直に聞く。そいつは使えるのか?」
「ハッ! その娘の魔法は太陽と思わせる程に巨大な火球を生み出しておりました。そして、その魔法により人族と魔族の両陣営に甚大な被害を出す程です」
太陽? 上級魔法のフレアドライヴか? だが太陽を思わせるなら更に上の特級魔法や封印指定魔法の一つかも知れないな……。
まぁ、スキルを聞いてみれば分かる事か。
「成る程な、それでは娘よ貴様のスキルは何だ? そこまで巨大な魔法を扱えるんだ、神子なのだろ?」
我が国の魔子は全て把握している。総勢八人、過去に何度か調査してもそれ以上の人数は見つからなかった。
多分だか、神共のルールで両陣営八人ずつとか決まりが有ると我は予想している。
そして、その通りだとすると、この娘も人族側の神子と予想出来る。
それはそうと、何故直ぐにこの娘は我の問いに答えない。
「…………」
「何故答えぬ? 魔王軍に入りたいと言うなら、我に情報を流すのは当然の事だぞ」
何を考えているのだ?。
「……それが、私はスキルが分かりません。神石の儀を受けられなかったので……」
そんな事ってあるのか? 人族も魔族も神から力を授かってる奴を探す為、毎年やってるだろ……。
まぁ、神石の儀もやる条件が有るからな……次の時に受けさせればいいか。
「ふむ、ならば来年の神石の儀は強制的に受けてもらう。そして本題だ、何の為に我が魔王軍に降った? 本当の事を述べよ」
さて、どんな言葉が聞けるかな?。
「此方にカケルさんが捕らえられたと聞きました」
あぁ、同胞を追いかけてきたのか? アイツも中々モテるじゃないか。
「あぁ、居るぞ。我が軍に被害を齎す勇者だ、簡単に殺すつもりはないさ。我の楽しみとしてゆっくりと拷問に掛けるつもりだよ」
嘘だがな。こう言って置けば魔族達も下手にアイツを害さないだろう。
「お願いがあります。私が魔王様に忠誠を誓う報酬として、カケルさんを私に下さい! そして安全を保証して下さい!」
…………そういう事か。
確か、ヤンデレって奴だったけ? 厄介なのに好かれたな。
だが、逆にそこ迄の執着なら約束さえ守れば裏切る事は無さそうだな……。
まぁ、元々無かった物として考えれば此方の不利益も無いな。
それにディランも死んだし、戦力補充もせねばならんしな。
「良いだろう、勇者の待遇も客人として扱う。部屋は勇者と同室で良いか?」
「あ……ありがとうございます!!!」
我の言葉に娘は嬉しそうに返事を返した。
「っと、そう言えば名前を聞いて無かったな。名乗れ」
「はい! ファリスと言います! 宜しくお願いします!」
元気だな。
「そうか、ファリスと言うのか。……そうだな、貴様には魔将の称号を与える。我に忠誠を誓い励めよ?」
「はい! 魔王様に感謝です!」
さて、ファリスの部屋の用意と勇者の移動指示を出さねばな。
あの勇者も完全な魔力枯渇症だったそうだからな。後、数日は目を覚さないだろう。
何時も見て頂き有り難うございます!。
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