二十六デバフ
何も無い空間で男の子と女の子が会話をしていた。
◆??side◇
「そう言えば、僕と君がスキルを一杯持たせて作った人族と魔族の子、僕の陣営側に付いたよ」
男の子は女の子に語りかけると、女の子は頬を膨らませて文句を言ってきた。
「えぇ〜〜! ズルいなぁ。ゲームを面白くする為のキラーキャラとして作ったのに、そっちの陣営に行っちゃったか〜」
「うん」
「でも、あの子、私達が神託を下しても全部無視するんだもん。想定外も良い所だよ」
「まぁ、毎回神託下してるのが僕と君で替わってたら疑うのもしょうがないよ」
「まぁね〜。あぁ〜でも羨ましいな! あの子は絶対にこっちに引き込むつもりだったから、かなり良いスキルを上げちゃったんだよね」
女の子は本当に悔しそうに愚痴を漏らしている。
「どんなスキルだったけ? 僕のリストも見せるからそっちのリストも見せてよ」
「いいよ〜。ちょっと待ってね、今送る」
二人はお互いのリストを共有し合わせてみると、共有したリストにはこう書かれていた。
ファリス・アナライズ・リューリア(神魔子)
US
魔神の泉
注入魔力上限突破
連続魔法
合成魔法
魔神の泉=魔神に愛されし者に魔力を与える
注入魔力上限突破=一つの魔法に対して込められる魔力量に制限を無くす
連続魔法=一つの詠唱で同じ魔法を連続で放つ事が出来る
合成魔法=既存の魔法を組み合わせて新しい系統の魔法を生み出す事を可能とする
「あはは、君も随分と大盤振る舞いしたもんだね? 君の作った魔王と良い勝負が出来るんじゃない?」
「中立キャラには私達が与えるスキル制限も緩く出来たからね、調子に乗って良いの与えちゃったんだ……だからこそ引き込みたかったのに!」
「知ってるよ〜。じゃなきゃ【魔神域領域】から魔力を取り出せるスキルなんか与えないでしょ。しかも、そのスキルを腐らせない為に注入魔力上限突破も与えるとか、僕の陣営に来た時のリスクを考えて無さすぎだよ」
男の子は呆れた口調で女の子を嗤う。
「だって! 絶対に神託で引き込めると思ったんだもん!」
「まぁ、まだチャンスあるんじゃない? 君は後何回彼女に神託を下せるのさ?」
「えっと、ちょっと待ってね。彼女のリスト探す! っと……あった! 後3回だね」
「ならまだチャンスあるよ。僕からはもう彼女に干渉出来る回数を使い切っちゃったからね。本当に話しを聞いてくれなくて泣きそうになったよ……」
「アハハ! それじゃ彼女が精神的に弱ってる時を神託で狙っちゃおうかな〜」
その言葉に男の子は苦笑いをする事しか出来なかった。
◆夕凪翔side◇
重いわ! ファリスがハーフって分かってから空気重すぎだろ。リリーナも何で気まずそうにしてるんだよ……ファリスは仲間だろ。
「なぁ、何でこんな空気になってるのか分からんけど、別にハーフでも問題ないだろ? アンタ達は心を通わせた奴でも忌子ってだけで差別するのか?」
もしそんな事を言うなら幾らリリーナでもグーパンだな。いや、怖いからお尻ペンペンにしよう。それなら俺にとってもご褒美だしな。
「いぇ、そう言う訳ではないのです。……忌子と言われてる者の大半は、当然ながら罪など有りません。有るとしたら、それは彼女の母親か父親にあります」
あれ、違うの? ん〜、どう言う事だってばよ……問題無いなら何故にこんな空気なんよ?
「彼女の年齢を考慮すると18年前の戦い……【ゲルガ戦役】の犠牲者だと思われます」
「その戦いで何かあったのか?」
話しを聞くと、十八年前にゲルガ王国と言う国が有ったみたいだ。
そしてその国は当時、最前線の国だったらしい。
「当時はゲルガ王国の女王、セイラル・アナライズ・リューリア指揮の元、魔族進行を抑えておりました」
「あぁ、余も良く覚えている。とても勇敢で民思いの女王だった……」
へぇ〜、アガストのオッさんにして勇敢って言わせるって相当だな。
「ですが、先日ハルケ平原でも有った様な、大規模な侵攻がゲルガ王国を襲ったのです」
あぁ……この流れ、答えを聞かなくても展開が分かる気がする。
「ゲルガ王国は、民の一人一人が逃げずに戦ったそうです。そして、女王も最後迄抵抗したみたいですが、結果はハルケ平原まで敵に取られている事からも……説明しなくても分かりますよね?」
やはりそうだったか。
「あぁ、理解したよ」
戦争で敗北した国の者はつまり……魔族の慰み者になったって事か。そして、そこで何とか逃げ出せた者のお腹の中にファリスが居たって事だな。
あぁ、こりゃ確かに気まずくもなるよな。
リリーナ達は差別とかじゃなくて、単純にどう接して良いのか分からなくなっただけか。それならまだ良かったぜ。
でも、口に出して言わないと分からない事もあるからな。
だから俺はハッキリと口にする事にした。
「まぁ、ファリス! お前の居場所は逢いの絆だからな、俺達は仲間なんだから変な遠慮するなよ?」
「ハイッ! 有り難う御座いますカケルさん!」
過去一良い笑顔だな!
◆ファリスside◇
私は物心が付いた時には既に戦争孤児として教会で育てられていた。
当時、幼い私が育ててくれたシスターに話しを聞くと、赤子だった私をある女性の頼みによって預けられたとの事だった。
シスターはその時に私の名前と出世を聞いたと言っていた。
出世に関して、シスターからは詳しい事は何も聞けなかったけど、お母さんと思われる人と話した時の内容を少しだけ教えてもらえた。
「ファリスは人族と魔族の間に出来た子です。ですが望まれて生まれて来なかったとしても、この子には何の罪もありません」
シスターは母から、"この子には何の罪もありません"の言葉で私を引き取る事を決めてくれたみたいです。
「最後まで私が育てて上げたかったのですが、私の命もそう長くはありません。ですから、この子をどうか助けてあげて下さい」
そう言い残して母は去っていったそうです。
月日は流れて私は10歳になった、シスターからは近日中に何とかの儀をすると聞いた。
だけど、私が何とかの儀をする前に教会が有る村が、盗賊達によって滅ぼされてしまいます。
私とシスターは一足先に一緒に逃げましたが、盗賊に追い付かれてしまいました。そして、私だけでも逃す為、シスターは盗賊達の囮になり犠牲となりました。
その日、私は初めて野宿の経験をした。
寒さと寂しさ、飢えと、何時襲われるか判らない事に激しく恐怖しながら眠った。
その晩の夢には、自分の事を神と言う女の子が現れて何か言ってきた。
女の子は「私は神だから、貴方を助けてあげられるよ? だから私のお願いを聞いてよ」とか言ってきました。
話しを聞いてると疑問が浮かび上がった……神様は盗賊に襲われる私達を見ていたの? 見ていたのに助けてくれなかったの? そう考えた時、神を自称する声を信用する事が出来なかった。
その後も私の周りには色んな事があった。その度に神と名乗る男の子の声や女の子が夢に出てくる。──信用出来ない声を全て無視してたら、その内、夢に現れる事も無くなりました。
一人で生きてきた私は、お金を稼ぐ為、冒険者になり【紅の絆】に入れてもらいました。
逃亡生活のお陰……っと言って良いのか分かりませんが、私には魔法の才能が有ったみたいで割とすんなりと冒険者になれたのです。
色々と常識に疎い私は、【紅の絆】の皆さんに迷惑を掛けていましたが、ある日、雰囲気が何処となくシスターに似ている男の人と一緒に仕事を受ける事になりました。
今思えばシスターに全く似てないですけどね! まぁ、それが翔さんです。
私はこの出会いに今でも感謝してます。
何時も見て頂き有り難う御座います。




