二十一デバフ
翔とファリスがデートしている時、二人を追う不審な女の姿が有った。
◆更科美香side◇
カケルとファリスが一緒に出掛けて行くのが見えたので、つい隠れて追っかけてしまった……。
何で私は隠れてるのかしら……別に堂々と行けばいいわよね?
そんな風に思ったけど、ファリスからは何か近づいてはいけないオーラを感じてしまうのよね。
もしかしてだけど、私の存在に気付いてる?
私がそんな事を考えてる間も二人は楽しそうに街の露店を回っていた。
あれ…………?
私はファリスの嬉しそうな表情を見ていてある事に気が付く。
えっと、もしかしてだけどファリスって翔を狙らってるの? ……どうしてあんなアホが良いのよ。
顔も普通だし。優しくないし。スケベだし。アホだし。謎に自信に溢れてるし。まぁ、仲間想いではあるけど……。
同じ女として、コイツはヤメておいた方が良いって伝えた方が良いのかしら? ……でも、人の好みに口を出すのも良くないのかな。
……違うわね。色々と言い訳を考えているけど、結局の所は、私が翔を取られたくないだけね。でも、私はファリスにも幸せになって欲しい。
一体どうすれば良いの?
まぁ、今、悩んでても仕方ないし取り敢えず二人に話しかけよう。
「二人とも、こんな所で何やってるの?」
自分で言ってて何だけど、白々しいわね。
「あっ……更科さん。どうして此処にいるのですか?」
「そうだな、何でロリは一人なんだ? リリーナは居ないのか?」
二人は私だと気付くと話し掛けてきてくれた。
「別に……一人で町をブラブラしてただけよ? 何か問題あるかしら?」
「いや? 何も問題ないぜ。まあ折角だし一緒に来るか?」
カケルがそう言うと、後ろでファリスが頬を膨らませていた。
やっぱりそうなのね……。
「ん〜、今は一人でブラブラしたいから遠慮しておく」
「そうか、それじゃ俺とファリスはもう行くわ」
翔はそう言うと、ファリスを連れて再び人混みに消えていった。
「ハァ〜。何してるんだろ私……帰ろ……」
◆大神拓哉side◇
僕はどうすればよかったんだ……。
ベルザ王を支援しにきた僕達は、フォーストクライム王国の最前線である、レバック渓谷で戦っていた。
「破滅のグラが現れたぞ〜〜!!」
安息な場所が無い戦場で、一人の兵士の言葉が僕の……いや、僕達の耳に届いた。
僕達はグラと戦う為、この戦場に来たんだ。
だから僕は仲間達と視線を交わせ、全員が同じ気持ちだったを認識したかの様にコクンと頷くと、グラが現れた方に急いで向かった。
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この国の兵士はベルザ王の言う通り、かなり精強な者達が多い。その証拠にかなりの強さを持つ魔族や魔物を相手にしても引けを取っていない。
だけど、それも"破滅のグラ"が現れた事により戦況は大きく魔王軍に傾く事となっていた。
僕が見た限りでも戦況をなんとか抑えてる状態に見えた。
だから、
「皆! 僕達でグラを倒すよ!」
「「「分かったわ!!」」」
僕の言葉でパーティー全員、グラが暴れている部隊に援護しに行った。
「グラァァァァァァ! 僕達、勇者が相手だ!!」
僕はグラの興味を引く言葉を選び、お互いの射程距離に入った。
◆八将貴グラside◇
「ほぉ、ジェリスの言う通りに勇者が来たか。つまり、こちらの勇者は"ハズレ"って事か……。まぁ、これはこれで少しは楽しめそうではあるがな」
俺は現れた勇者達に視線を巡らせると、重なった瞳の先には彼等の恐怖の色が見えた。
「さて勇者よ、お前たちは別世界の人間だ。この戦いに介入する理由はなんだ? これは遥か昔に迫害されていた、我ら魔族の正当な怒りを人類に返してるだけだぞ?」
「……昔はどうでしたか知りませんが、今人類は苦しんでいます! 貴方達魔族に手によってです。話し合いの場を作り話し合うべきだと思います」
成る程、青いな。……何時迄経っても人類側の意思統一が出来ていないのか? 自分達が魔族を迫害し、魔族を怒らせた事を棚上げにして話合いに付けと? ……全く理解出来ないな。
「勇者よ、話合いと言う段階はとっくに終わっているのだよ。過去に我等魔族が疲弊し、苦渋の末に降伏を決断し、選択した場で、人族は醜悪な策略で我等を欺き、多くの魔族を虐殺したと言うのにか? 勿論その話を持ってきたのも人間側だぞ?」
「なっ……。人間がそんな事をしたと言うのか?」
「おや? 勇者様は人間が綺麗な者だと思っていたのか? これは傑作だ! ここまでヌルい小僧が育つ異世界は余程平和なのだな!」
「くっ……それでも、今の貴方達を行いを見過ごす事は僕には出来ない!」
「そうか、ならばここから始まるは殺し合いしかない。……行くぞ異界の勇者よ、我は魔王軍八将貴が一人、"破滅のグラ"! 我が魔子としての能力は"腐敗"。触れた物全てを腐らせる能力だ!」
そして、八将貴と勇者の戦いが幕を切ったのだった。
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