表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺のデバフは理を破る!〜俺が強い?違うなテメェ等が弱くなったんだよ!〜  作者: 鋼夜
一章 出会い編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/213

十五デバフ

更新です。

 俺達が船に乗り込んだ時、既に魔王軍は動き出していた。しかし、それは魔王の意図しない方向で起こった出来事だったのだ。



 ──私は魔王様の命令により、今日もファーラスト王国とアガスト王国間に有る海を荒らしていた。

 理由はアガスト王国に補給物資を送らせない為だ。


 そして、いつもの通り私は、海流を操って物資の到着を遅らせている。


 個人的な意見を言うならば、直接船を沈めれば良いとは思っている。

 しかし、魔王様が「船を沈めれば、勇者や人族がお前を滅ぼす為に大挙してやって来る」と言って禁止してきた。


 ──確かに先程迄は、それでも良いと思っていた。

 ……だが、眷属達がシャークフライの死を報告してきた。


 その報告を聞いた私は、怒り狂い、破壊衝動に身を任せた。


 そして、それは仕方の無い事ではある。


 タイラントオクトとシャークフライは昔からの親友であり、半身とも呼べる存在。


 そんな半身を失って冷静でいられなかった。


 視界に映る船に全て八つ当たりをした。


 暫く暴れる事によって、激情に刈られた頭は次第に冷静になる。


 冷静になった事により、私の思考は変わった。


 ──そうだ、やはり人間は直ぐに滅した方が良い!


 そんな感情に塗り潰される。


 魔王様の命令を無視する事になるが、例え、この身が滅ぶ結果になったとしても、下賤な人間を乗せた船を襲う事にする。


 次の標的を見つけ、襲撃すれば甲板には何人もの人間が直ぐに集まってくる。


 その人間達の顔は誰もが恐怖で顔を歪ませていた。


 ──そう、何も恐れる必要なんて無い。

 人間等と言う下等生物は私達の前では無力なのだ。


 きっと、シャークフライも何か別の理由で死んだに違いない。


 私は自慢の脚を振り回して人間の恐怖を煽ってやる。


 何度目かの攻撃の時、急に世界が加速を始めた。


 波の動きは速くなり、人間達も高速で動き出している。


 下賤な人間達にこの様な動きが出来る訳が無い。

 ──何処かに原因が有ると判断した私は視線を彷徨わせて原因を探る。


 すると視線の先で一人の女と視線が交差した。


 直ぐに直感からこの女が原因だと察する。


 きっとコイツがシャークフライを倒した勇者の一人かもしれない。

 そうなのだとしたら女の直ぐ近くに居る奴等も勇者の一味なのだろう。


 そんな事を考えている間に、女は私の脚を足場にして突き進んで来る。


 ──ご丁寧に私の身体を切り刻みながらだ。


「■■■■■■■!!!」


 刻まれた痛みに私は咆哮を上げる。


 この強さ、魔王様が言っていた言葉の本当の意味を知った。


 ならば、私はきっと此処で死ぬだろう。


 無論、無駄に死ぬつもりも無いが。


 恐らく、勇者の能力は対象の時間干渉、もしくはそれに類する物、そうでなければ波や船まで加速等しない。


 ──嗚呼、私の身体が解体されていく。


 これ以上の情報収集は無理な様だ……。


 私は今得た情報を魔王様に伝える為、眷属を生み出して魔王城へと向かわせた。


 やるべき事はやった。


 それでは最後の悪足掻きをしよう!


「■■■■■■■■■■!!!」


 私は船を沈める為、この巨体を船にぶつけに行く。


「無駄です、憎き魔王軍! 貴方達の悪行も此処迄です」


 女勇者が体当たりをする私を切り刻みながら、私の命の根源へと突き進む。


「貴方には見えないでしょ? 逢いの絆が織りなす幾千もの剣の煌めきを……」


 勇者が放った、その言葉と共に私の意識は闇に沈んで行く。


 ……今から私も其処に行くよシャークフライ。


 あの世で、また遊ぼう。



 流石、俺達の頼れる聖女様!


 さっくりと魔王軍を倒すとか痺れるぜ。


 しかし、海上でバラバラにされたタコちゃんは、残念ながら回収出来なさそうだ。


 ……つまり、タコの刺身はお預けだ。


 俺がそんなどうでも良い事を考えていると、リリーナが帰ってきた。


「お疲れさん。悪いな一人で戦わせてしまって」

「「お疲れ様!」」


 待機組三人がリリーナを労った。


「気にしないで下さい。ミカの獣魔では敵まで届かないですし、ファリスの魔法は船で使うには火力が大きすぎますしね。……適材適所ですよ」


 そこに俺の名前が呼ばれてないのは、ちゃんと戦いに参加してたからって認識で良いんだよな?


「そうだな、俺が"デバフを入れて"リリーナが倒す。完璧だったな!」


 念の為、仕事したアピールを忘れない。


「そう言う事です」


 ふぅ〜、さっきの認識で合ってたか。


 良き良き。


 そんなやり取りをしてると俺達の周りも騒がしくなってきた。


「おぅ! あんた達のお陰で船が沈められずに済んだぜ。本当に感謝する」


 爽やかなオッちゃんが俺達に話しかけて来た。


「気にしないでください。困った時はお互い様ですよ」

「そう言ってくれて助かる。──多分、他の奴等も直ぐに礼に来ると思うから宜しくな!」


 そう言い残すとオッちゃんが何処かに行ってしまう。


 その後も水夫の人達が変わるがわる御礼を述べて行く……そして、何故か海産物を俺達に握らせて。


「これどうすっか?」

「どうしましょうかね」


 イヤ、嬉しいんだけどね。


「食べる?」

「流石にこの量を俺達だけじゃ無理だ」


 この量、どうするか……。


 俺達の周りに、とても食い切れない量の食べ物が溢れていた。


「うし、俺達だけじゃ食い切れないからオッちゃん達も一緒に食おうぜ!」

「オイオイ、それじゃこれから酒盛りだな!」

「「「「ガハハハハッ!!」」」」


 無理矢理に海産物を持って来た奴を巻き込んでいくと喧騒は次第に宴へと変わっていった。



 ──余の名前はアガスト・レイ・ジルファード。

 武人の国の王である。


 余はこの国で育ち、幼き時から戦ってきた。


 当然ながらに滅茶苦茶に強い。


 その理由は余が神子であるのだからな。


 愛用の斧を握れば、一振りで敵を蹴散らし、その衝撃で大地を削り取る。


 それなのに最近では、配下が余を戦場に立つ事を許してくれない。


 確かに魔王軍が攻勢に出ていると聞いて王が最前線に出るのはおかしいだろう。


 そんな事は理解している。


 しかし、こんな状況だからこそ余が戦いに出て兵士を鼓舞するべきだと思うんだが。


「ジェリス、最前線はどうなっている! 余の兵士達は無事なのか?」


 側近の一人、ジェリスに前線の状況を聞いた。


「現在、魔王軍の攻勢が激化しております」

「ならば今こそ、余が出るべきでは無いのか! 魔王軍等、余が蹴散らしてくれる」

「兵の損耗は激しいですが、何とか戦線は維持出来てますので、王の出る幕はありません」

「……何とかならんのか?」


 この"大暴風のアガスト"が出れば有象無象の魔物等どうと言う事はない! 


 それなのに、


「駄目で御座います」


 このジェリスと言う男は、余の強さが信じられないのか頑なに出撃を許してくれない。


「何故だ」

「本当に分からぬのですか?」


 また始まった。


 この後、ジェリスが言う言葉は決まっている。


「それは、貴方が王だからで御座います。……確かに貴方様は大変お強いです。──しかし、それで生き残れる保証が戦場の何処にも有りません」

「……んむぅ」


 こんな風に言われてしまえば余には何も言えなくなってしまう。


「……分かった。だが、余は何時でも戦える。その事を頭に入れて今後の作戦も立ててくれ」

「御意!」


 ジェリスが返事をすると、そのまま踵を返して部屋を出て行ってしまう。


「ハァ〜、やっぱりダメだったか。ジェリスの言い分もわかるが……余が行く事を何故、頑なに反対するのだ?」



 アガスト王国が管轄する領地、カニムに着いた俺達は、世話になった水夫のオッちゃん達に挨拶し、そのまま船を降りた。


「さて、此処がアガスト王国か」

「そうみたいね」

「それで、これからどうするんだ?」


 この後の予定をリリーナに聞いてみる。


「はい、これからアガスト王国の首都ブージンに向かいます」


 武人の国だからブージンってか?


 エビザとかカニムもそうだけど、異世界アトラスのネーミングセンスってギャグ路線かよ。


「まぁ、今回は観光って感じでは無さそうね……物価も高いし、エビザ見たいに賑わってもないし」

「そうですね!」


 ロリの言葉にファリスも同意した。


「物資がまともに届いて無かったので仕方ありません」

「まぁ、タコに海路を大分邪魔されてたみたいだしな」

「しかし、魔王軍のシャークフライ、タイラントオクトを倒した事によって、これからは補給物資も届く筈なので活気も直ぐに戻る事でしょう」

「そうだな」


 因みに後で知った事だったが、あのタコ野郎はタイラントオクトとかって名前らしい。


 あれだ、魔王軍ってデカくないと就職出来ないのか?


 今迄会った奴等、皆んなデカかったし……。


「それじゃ、多少高いのはしょうがないとして、必要物資を整えて首都ブージンに向かうか!」

「「「おぉー!」」」


 俺達は準備を整えてブージン直通の馬車に乗り込んだ。



「タイラントオクトもシャークフライもやられただと? ……つまり、エビザからの補給が戦線に届く様になると言う事か」


 我はジェリスからの報告を受けていた。


「その通りで御座います」

「まぁよい。ところでジェリス、貴様の分身が潜入しているブージンはどうなっている?」

「ハッ! "大暴風"を戦線に出ない様に抑え込んでおりますが、そろそろ我慢の限界……と言った所です」


 成る程、何時迄も抑え込める等とは思っていなかったが、どうやら頃合いの様だな。


「わかった。ならばジェリスよアガスト王国に展開している部隊の突撃に合わせ、アガスト国内を混乱させよ」

「それは暗殺等も視野に入れて……と言う事で宜しいでしょうか?」

「ヤレるのならやってみろ」


 アガストが暗殺如きで死ぬ様な奴では無いだろうがな。


 ──だが、出来るならばやらない手も無いだろう。


「では、次の攻勢を掛ける時に暗殺を仕掛けてみます。……それでは以上で報告を終わりとさせて頂きます」


 いや、終わるな! 肝心の勇者情報が聞けてないだろ。


「シャークフライやタイラントオクトからは何か情報は流れてきてはいないのか?」

「あぁ〜、そう言えばタイラントオクトから勇者の情報が届いておりました」


 オィ、それは我が求めてた情報だろ……。

 真っ先に報告すべき事だと、我は思う。


「情報によれぼ、勇者は女三人、男一人の四人構成で出来ております。そして、勇者の一人に時間干渉系の能力と思われる者が居る様です」


 時間干渉系か……中々と強力な能力だが、それでも我には問題は無い。


「ふむ、他には何かあるか?」

「タイラントオクトからは以上で御座います」


 終わりか。


 今迄のアホな報告よりかは有用であった。


「そうか、ならば今後も情報収集に励め」

「畏まりました。それでは、アガストを混乱させた後、私の半身を彼方の大陸に渡らせ、情報を集めます」


 ファーラスト王国の剣の聖女とか言う神子が、勇者召喚の中心人物と聞いている。

 本当なら真っ先に欲しい情報だったが、送り込んだ奴等は全員音信不通になってしまった……。

 ならば我が右腕、"双身のジェリス"に任せればよかろう。


「うむ、ならばその様に動け」

「ハハァ!」


 クククッ! 我が魔王軍に敵無し。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ