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俺のデバフは理を破る!〜俺が強い?違うなテメェ等が弱くなったんだよ!〜  作者: 鋼夜
三章 遥かなる旅路編 〜絆拾いの章〜

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神話創生 アトラス歴1490年【510年前】2-5

更新です。



 兵士達は命からがら逃げきった者、大地に呑まれた者、そんな状況の中で戦いは一時中断される。


「何で、絆絶を使わなかったの? 使えばこんなに苦戦しなかったでしょ……」

「……」

「アレを使えばやり過ぎてしまうから? それの所為でアベル君を殺す可能性があったから?」

「……そうだ。アイツが死んだらお前が悲しむ」


 その言葉に白虎は喜び半分、悲しみ半分といった表情をしていた。


「それで貴方が死んだら意味がないよ」

「そうか……それよりも、それ大丈夫なのか?」


 腹に刺さる剣、それに指を指して問いかけるナギはやはりズレている。


「大丈夫な訳ないじゃん。……でも、正直に言えば思った程痛くない、かな?」

「……すまない」

「謝る位なら最初から私を置いて行かないでよ」

「そう、だな」


 段々と白虎の顔から血の気が失っていく。


「お前がこんな状態なのに、俺は泣けない……悲しいって感情は有る筈なのに」

「悲しいって思ってくれるなら、それで良いよ。……貴方はコレから先、色々起こるけど、その色々な事に私は一緒出来ない。だからね、約束して? 絶対に死なないって」

「分かった」

「だったら……」


 そう言って白虎は小指をナギに絡めると、


「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲〜ます、指切った……今の貴方には訳が分からないだろうけど、約束は守ってね?」


 そうしてナギに絡める指から力が抜けた。


「……」


 白虎は物言わぬ身体へと成り果てる。


「……本当にすまない」


 そんな彼女の仮面に数粒の水が垂れた。

 雨なんかは決して降っていない。


 だとしたら、それは?


「そうか、俺は泣けるのか……」


 白虎と過ごし、白虎から貰った人間の感情、最後に命すらも頂いてしまった。


「出ろ、絆絶」


 白虎に別れの挨拶(口付け)を済ませると絆絶を顕現させる。


「──シロを喰らえ」


 その命令に絆絶は白虎を優しく取り込んだ(喰らった)


「コレでこれからもずっと一緒だ」


 白虎を取り込み終える頃、人族の混乱も大分収まっていた。


「俺にはもう、守りたい者も居なくなった。だから……死にたい奴から前に出ろ。お前達の終焉は俺だ」


 絆絶はナギの意思を汲み取り、その姿を、かつて風間と戦った時同様、漆黒の鎧に形を変えた。

 そして、以前と同じく妖しい紋様が血管の様に脈動していた。


 いや、その紋様は以前の様な禍々しさが薄れていたのだった。


「魔将がこんな装備を持っているなんて……」


 情報に無かった魔将の姿に本能的な恐怖で震えてしまったアベル。


「お前はカケルなのか?」


 対して、勇者ヨヤミは友に逢えたかもしれない喜びに震える。


「……誰だソイツは……俺の名は魔将ナギ・ケルウェルだ。それ以外の何者でもない」

「だったら、その仮面を剥いで確かめてやる!」

「やれる物ならやってみろ、雑魚がっ!」

「上等ぉぉぉ!!!」


 ヨヤミは拳を構えるとナギへと向かっていった。


「──重力増加(グラビティ)!」」


 再び重力という名の重しをナギに嵌める。


「温いな。── 氷焔螺旋・魔王戯曲(レクイエム)


 ナギの背中から蔦が剥き出しとなり、勇者ヨヤミやその周囲に居た兵士達に襲い掛かる。


「っ! 舐めるな!」


 重力を纏わせた鉄拳でヨヤミは蔦を払う。


「ほぉ? 少しはやる様だな……」

「伊達に勇者じゃないんでね」

「そうか、ならば次はこれだ。── 氷焔螺旋・大華炎(メテオ)


 数多の流星が戦場を絨毯爆撃していく。


「── 重力反転(リバースグラビティ)!」


 ヨヤミはそう告げると、流星とナギは遥か上空へと弾き飛ばされる。


「からの! ── 超重力増加(フルグラビティ)!」


 一気に上昇した身体は一転、激しく大地へと叩きつけられる。土煙がモクモクと拡がり、ナギの姿は見えなくなっていた。


「やったか!?」


 もし、ここに夕凪翔が居たならば『おまっ! それフラグゥ!』と言ったであろうとヨヤミは妄想して笑う。

 しかし、ヨヤミは能力をフルに活用して叩きつけた。普通ならばマトモに戦える状態では無い。そんな自信の所為か、ヨヤミは気を抜いてしまった。


「その程度で終われると思うなよ勇者」

「っ!?」

氷焔螺旋・魔焔砲(バーストキャノン)


 土煙が晴れぬ中、熱線が辺りを薙ぎ払った。


「最終局面だ、死にたくなければ活路を開いてみろ勇者!」


 ナギからは異常な程の魔力の集積をヨヤミ達は感じた。


氷焔螺旋・地風滅界(ラグナロク)


 戦場に終焉を齎す暗黒の光が煌めいた。

見て頂きありがとうございます。

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