神話創生 アトラス歴1490年【510年前】2-4
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「ぐぅぅっ!」
魔将の身体に重力という枷を嵌めた。
無論、魔将がこの程度で止まる様な男では無い事はこの戦場にいる誰もが知っている。
だからこそ勇者と仲間達は、この一瞬で決断した。
「今こそ魔将を討つのです! 今こそ……今こそ、この男に過去の罪を清算させましょう!」
「「「うぉぉぉぉぉ!!!!」」」
魔王軍との因縁が有ったアベルの声を聞き、そこに居た兵士達、超越者達、神子は勇者とアベルに続いた。
「この程度で俺の歩みを阻めると思うなよ」
魔将はその言葉の通り止まる事は無かった。
先程迄、誰もがその動きを捉える事が出来なかった。しかし、今は辛うじてその動きを補足出来る者達がいる。
人族は勝ち筋が見えなかった戦いに一条の希望をみた。
「勇者ヨヤミが告げる! 今こそ魔将を討伐せしめる!」
勇者、人々を導き希望を魅せる者。
勇者、魔を討ち総ての闇を払う者。
勇者、夢を見せる勇者には多くの者が付き従う。
「── 剣聖乱舞」
アベルや他の超越者の攻撃によって魔将はその動きを一瞬止めた。
「── 重力拳」
その拳を魔将はその手で受け止めようとする。
数多に荒れ狂う重力空間を圧縮し、鉄の意志で放たれる鉄拳によって魔将の手を粉砕した。
「っ!?」
粉砕した魔将の腕は即座に再生を始める。
「止まるなっっっ!! 好機の今こそ攻めろっ!! 魔将に一部の隙すら与えるな!!」
アベルの咆哮に応える様に全員が魔将を襲う。
「氷焔螺旋──」
「──させるか! 重力乱打」
「ぐっ……」
防御を一切無視する拳の雨が魔将の身に降り注ぐ。
「あ啞ぁァ婀あぁぁ!!!!」
魔将の断末魔が戦場に響く。
「これでお終いだぁぁぁ!」
勇者は魔将に大きな隙を作り、アベルがトドメを刺そうと魔将に剣を突き刺す。
ドスッ!
肉を刺す感触がアベルには有った。
但し、それは魔将の肉では無い。
「 ──さんは殺らせない!」
女の登場によって刺した剣を咄嗟に放したアベルは、直ぐに乱入者から距離を取った。
魔将の周りに居た者達もアベル同様に乱入者から距離を取る。
何時の間にか現れた女は、アベルに刺された剣が腹に刺さる中、静かに立っている。
その仮面の女は魔将の相方として確認されている存在なのは人族には知っている情報だった。
「あっ……」
そんな彼女の登場に魔将は小さく呟く。
「な、んで、来た!」
「言ったでしょ? 私が貴方を守るって……だから、少しだけ待ってね。この戦いを終わらせるから」
仮面の女は全ての慈愛を魔将に向ける様に、そっと彼を抱きしめた。
その目の前で繰り広げられる光景に、人族思わず手を止める事になった。
そして、それとは別の理由で一人の男も手を止めていた。
「今……何て言った?」
勇者は女が言った言葉が聞こえていた。
魔将を助けた女は確かに言った。
カケルさん……と。
こんな異世界で、明らかに異質な日本人の名前。
そして、その名前を当然彼を知っている。
こんな狂った世界に召喚されてなくて良かった。
そう安堵したのをヨヤミは喜んだ程だ。
それが何故……こんな所に。
それが何故……敵としているのか。
そんな想いがヨヤミを襲う。しかし、そんな感傷を今この場で浸るのは愚か者だ。
「サヨナラ、地神・大崩壊」
大地は鳴き、周囲の地形は崩れていく。
何時も見て頂きありがとうございます。




