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俺のデバフは理を破る!〜俺が強い?違うなテメェ等が弱くなったんだよ!〜  作者: 鋼夜
三章 遥かなる旅路編 〜絆拾いの章〜

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神話創生 アトラス歴1490年【510年前】2-2

更新です。


「ベスティア砦攻略をやめてくれないか?」


 魔将の一言に魔王は唖然としていたが、直ぐに正気に戻る。


「無理だな。我等に利が無い。"取引"と言うのなら我に利を提示せよ」


 当然の事だろう。現状、時間は数年程掛かるだろうが、問題無く陥落させられる戦力を誇る魔王軍に、ベスティア砦を諦める理由は一切無かった。


「利益か……そうだな、俺が敵対しないというのはどうだ?」

「……それは脅しか?」

「どう取って貰っても構わん」

「我が今ここで貴様を始末してもいいんだぞ」

「お前程度が俺を殺せるのか?」


 空気が張り詰める。

 お互いの空気が殺気だっているが、


「ふんっ……それで本当の目的はなんだ?」


 こんな挑発をすれば戦いに発展するのは必至、魔将が最初から戦いに来たのなら、秘密裏に魔王と接触なんて回りくどい事をする必要はない。

 四神を倒せる実力があるなら正面から乗り込んでも、魔王以外全てを薙ぎ倒せる事だろう。


 だからこそ別の目的があると魔王は判断した。


「目的はさっき言った通りだ」

「だから貴様の提案では我らに利が無いと言っておる」

「ならば俺が今代の勇者を殺してやるよ」

「ほぉ? つまり我等魔王軍に代わり、矢面に立つと?」


 魔王は頭の中で計算をする。


 勇者に当てる戦力。それに対してどれくらいの兵士や兵糧、戦争資金が必要になるかを考える。


「成る程、あながち悪い話しでもないか……しかし、それでもベスティア砦を陥落させる利を上回るとは思えない。あそこは人族、魔族両者にとって重要な拠点なのだぞ」

「そうだろうな、だからずっととは言わない」

「ほぉ」

「100年……いや50年で良い。その期間、人族に猶予を与えてくれれば、それで良い」

「何とも中途半端な期間だな。理由を聞いていいか?」

「単純に生きていて欲しい人族が居るだけだ」

「成る程、その人族が天寿を真っ当する為の期間と言う事か……だとしても、まだ我等への利益がまだ薄いな」

「──この話しが呑めないと言うなら、俺は要求した50年、人族を守護する」

「……」


 この一言でメリットとデメリットの天秤が大きく傾く。


 四神を倒せる魔将が完全に敵となれば、魔王軍に甚大な被害が出る。水神、風神と戦った魔王だからこそ魔将が魔王軍に齎す被害を容易に想像する。


「ふむ、やはり脅しか」

「そうだな、だがちゃんとお前にも大きい利益があるだろ?」


 50年ベスティア砦を諦めるだけで勇者によって出る被害が減る、それどころか魔王軍を強化、魔王が中心となって動く内政への時間も取れる。


 ならば、


「いいだろう……その話しを呑んでやる」

「あぁ、お互い無駄な血を流さずに済んで良かったな」

「──だが、契約の履行は貴様が勇者を殺した時とさせてもらう」

「まぁ、そうだろうな」

「しかし、契約で攻めないとはいえ人族がこちらに牙を向くなら自衛はさせてもらうぞ?」

「それでいい」


 話しが纏まるとヒリついた空気も和らぐ。


「あぁ、そうだ貴様に聞きたい事がある」

「なんだ?」

「神永教会の教皇と炎神を殺したのは貴様か? これ位の事なら答えても問題なかろう」

「……奴等は俺が始末した」

「そうか、それは大義だったな。貴様の事は気に食わないが感謝はしているさ」

「さて、俺はそろそろ失礼する。数日以内に勇者を倒しに行く。約束は守れよ?」

「貴様も約束は守れよ」


 そう言うと魔将は夜の闇へと消えて行った。




◆ユウナギ・カケルside◇


 さて、魔王の気が変わらない内に勇者を倒しに行くとしよう。


「戦場にはアベルも出てくるだろうが……彼女の為にもアベルを倒す訳にはいかないな」


 勇者だけ殺すなら容易いだろう。

 しかし、実際にはアベルや他の神子、超越者を相手取りながらだから難易度は跳ね上がる。


「ふん、自分で言った事とはいえ縛りがある状態での戦いか……中々面倒だな」


 それではベスティア砦に向かおうじゃないか。




◆白虎side◇


 私が起きた時、彼はもう居なかった。


 薄々とは勘付いていた。


 青龍ちゃんの子供が砦に居ると分かった時、私の心はザワついた。

 アベルと戦いになった時どうするべきかも当然頭に過ぎったりもした。

 隠し通していたつもりだが、きっと彼には私のそんな苦悩も見えていたのだろう。


「私は貴方が居ればそれだけで良かったのに……」


 貴方が居れば、苦悩はすれどもそれだけで前に進めた。


「私は互いに幸せになるって青龍ちゃんと約束したんだから」


 アベルが生きる事は、亡き親友である青龍の幸せにもきっと繋がる。


「だから……だから……」


 左手の薬指に嵌められた指輪の宝石を光に透かすと、私は覚悟を決める。


「必ず私がカケルさんとアベル君を助けてみせる」


 私の全ての力を注いでも彼の……彼等の未来を紡ぐ。

何時も見て頂き有難うございます。

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