神話創生 アトラス歴1488年【512年前】1-2
お待たせしました更新です。
◆ユウナギ・カケルside◇
かなりの月日が経った。
俺は白虎から人間性や色んな知識を共に学び培ってきた。
そして、魔王の政策によって神石の儀を毎年行う事となった魔族は、その甲斐もあってか無事に八人の神子を見つける事となった。
これによって魔王の戦力は整った事だろう。……統一した魔族領の自治等も最近は安定しているとの情報も挙がっている。
それに対して、人族は内乱等も激しく中々荒れた環境との事だ。
それの影響からか、次なる勇者が召喚されるのも時間の問題だった。
ならば、魔王もそろそろ動くだろう。
◆レイシア・アーザルside◇
私は後悔している……。
あの時、白虎様を止めていれば……。
あの時、青龍様を止めれていれば……。
私には、ある程度の未来が視えていたのに。
私の神子の能力は未来映像化──私が持つ情報から未来を計算し、起こり得る未来を映像化する能力。
的中率は半々って所だけれど、過去の実績的に外れた時は私が持つ情報が圧倒的に足りてなかった時だけだった。
そして、そんな能力の所為で、私は人族から色んな情報が寄せられ……頭がパンクする勢いで知識を蓄えさせられる。
そんな私が密偵からのある情報によって未来が書き換えられたのだった。
その情報とは、魔王が神子達を集め、八将貴なる存在を作り出したとの事だ。
「しかも、魔族領の治安は良好だとの情報も密偵から入ってきている」
そんな中、今ある情報から得られた未来視──それは、ゲルガ王国、グラム王国といった大国に繋がる重要拠点、ベスティア砦まで魔族が押し寄せて来る未来だった。
見えた未来、地獄の様な光景が私には視える。
その地獄はかつて、青龍様や援軍の兵達を見送った時にみた、神都フリューゲルを中心とした周辺国家が為す術もなく蹂躙される光景だった……。
「あの時、せめて青龍様を助け出せてれば展開は変わったかもしれない……」
私は頭を抱え、どうするべきか考えていると、
コンコンッ。
執務室のドアを叩く音が部屋に響いた。
「どうぞ」
暗い考えばかりをしてはいけない、そんな頭を切り替える為に部屋の外に居た者に問いかけると、ゆっくりとドアノブが回った。
「失礼します」
「──君か……」
非常に顔が整った青年、彼の名は──。
「アベル君……キミがこんな所に来るとはな」
彼は青龍様の忘れ形見であるアベル・フォン・ローゼンボルクと言う青年だ。
「母を失った父が失意の元、先日他界しました」
「……すまない。君には彼女の分まで幸せになって欲しかったんだがな……」
「気にしないで下さい。私は……母との記憶も殆どありません。悲しいって思える様なものでは無いです。──しかし、父が母を思い出し、辛そうな顔をしている時は見ていて辛かったです」
「……」
「──ですが、それも此処までです」
「行くのですか?」
「はい、それが神子である私の……勇者の息子である私の役目だと思いますので」
「──そうか、それにしても君が【剣聖】の能力とは……」
アベルが得たスキル【剣聖】は彼女を思い出させる物だった。
「母も武術にかなり精通していたみたいですね……」
「君なら経験を積めば青龍様とも肩を並べる事が出来たさ」
これはお世辞じゃない。
彼は母である青龍様に似て、非常に眼が良い。いや、もしかしたら彼女を上回るかもしれない程だったのだ、だからこそもっと経験を積んでから戦線へと向かって欲しかった。
「そんな時間は人族にはありません。そんな事はレイシア様が一番理解している筈です」
アベルの言う通りだ。
勇者を呼び出す為の死星石はもう少しで神星石へと成る。
しかし、それでも今直ぐにと言う訳にはいかない。
だからこそ、人族の現状を維持する為には戦線で抑える人間が必要だった。
「すまない、君たち一族には迷惑を掛けっぱなしだな」
「気にしないで下さい。──それでは積もる話しをしたいですが、私はそろそろ向かいたいと思います!」
「──あぁ、君の未来に明るい希望が照らす事を祈っている」
「はい!」
そう言ってアベルは執務室から出ていったのだった。
「君の未来に明るい希望か……ハハッ笑うしか無い」
そんな未来が彼に訪れる事は無い。
それは私の未来視が言っている。半々なんて生優しいレベルでの出来事ではなくほぼ確実にだった。
「情報に無い事象が起これば或いは……」
そんな細く垂れ下がる糸に縋る様に私は祈ったのだった。
仕事が激務期間に突入しております。
いついつ更新などのお約束は出来ませんが今後もチマチマとやって参りますので、お付き合いをお願い致します。




