神話創生 アトラス歴1468年【532年前】1-1
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アトラス歴1466年──。占領した都市、【神都フリューゲル】を【魔都フリューゲル】として復興宣言を魔王サラサは魔族領全体に発信。
同年──。【魔王城パンデモニウム】の建設が神永教会跡地にて開始される。建設にあたり、フリューゲルのスラム街の人達が優先的に雇用されると街が活性化し経済が回り出した。
アトラス歴1467年──。魔王の功績が魔族全体に認められ、魔族共通の通貨が発行される。通貨の名前は魔王サラサ・クロムウェルから文字を取り、クロムに切り替えられる。
同年──。魔王サラサによって【神石の儀】を毎年度行う事が決定される。此れは次世代の魔子を探すと言う建前であったが、真実は魔王のみが知る事となる。
アトラス歴1468年──。フリューゲル周辺が魔王軍によって平定される。
魔王サラサは魔族領の地盤を固める為に魔王軍の進軍は止めた。
人族にとって、しばしの安寧が得られる事となった。
そして、時代に暗躍していた男もしばしの休息の中で記憶を探しているのだった。
◆ユウナギ・カケルside◇
俺は誰だ……。
いや、夕凪翔と言う名前だと言うのは妻の白虎から聞いている。
彼女から俺について色々聞いているから俺が何をするべきなのか、何をしようとしていたのかは知識として知ってはいる。
「白虎……」
ベッドの中、俺の隣で寝てる女に声を掛けた。
「……んっ、どうしたの?」
「お前は夕凪翔が好きなんだろ? 今の俺は夕凪翔の入れ物に入った別人だ……そんな俺で良いのか?」
「ハァ〜。……ナギさん、貴方は貴方だよ? マルチだって言ってたでしょ。記憶だってそのうち戻るよ? もし、今思い出せなくても貴方の仲間である【逢いの絆】の人達に会えば絶対に思い出せる。そう信じて未来に向かって行こう!」
「……そうか」
「その旅路に私は最後迄付いて行けないけど、貴方なら出来る。──だって、私の最高の旦那様だしっ!」
そう言うと白虎は俺の頬に口付けをしてきた。
「あっ、でも私が生きてる間は浮気駄目だよ? 流石に死んだ後までは束縛しないから……今だけは、ねっ?」
「わかってる」
俺は白虎の唇を貪る様に奪うと、そのままベッドへと押し倒した。
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翌朝、俺と白虎は拠点の近くにある【妖精亭】でご飯を食べる事にした。
カランカラン。
俺達は扉をくぐるとこの店の看板と言われている娘が出迎えてくれた。
「よいっす! カケルさんこんにちは!」
「あぁ……」
「もうっ! カケルさん髪の毛染めてからクールキャラ気取りすぎですよ!」
「ビアンカちゃん、あまり旦那様を虐めないでね?」
「奥さんもよいっす!」
「よいっすぅ〜!」
「虐めてないよ! ただ、前と大分変わ──んむっ!?」
ビアンカの口を人差し指で閉じさせる白虎。
「うん、それ以上は言わないでね? 私でも怒るよ」
「ご、ごめんね」
「わかってくれれば良いよ。──それじゃいつもの席は空いてる?」
「空いてるのでご案内しますね! 食事もいつもの持っていけば良いですか?」
「うん、それで宜しく!」
「はぁ〜い! それじゃご案内します!」
そうして俺達はいつもの席へと案内される。
「それではごゆっくりどうぞ! 今は他のお客さんも多いので食事は少しお時間頂きますねっ」
「ありがとね、ビアンカちゃん」
パタパタとこの場を後にしたビアンカ。──居なくなったのを確認した俺達は今後の事を話し合う。
「さて、俺はどうすれば良いと思う?」
「まずナギさんの目的をおさらいしましょう」
「頼む」
以前、夕凪と行っていた事を白虎が俺に説明してくれる。
「カケルさんの最終目標は未来で起こる終末を乗り越える事です」
「……あぁ」
「その為に絶対にミスしてはならない事、それは魔王サラサが死ぬ事」
「……魔王、か」
俺の呟きに白虎は軽く頷くと話しを続けた。
「何故死なせてはいけないかと言うと、魔王が何処かの時代で神域領域に干渉する魔法を作り出すからです。──その干渉する魔法で神がいる領域に行き、神を止める事……それがカケルさんの最終目標です」
「そうか」
この話しも何度かされたが、何度聞いても他人事の様な感覚だ。
「いつも思うが、俺が魔王サラサに直接協力すれば早いんじゃないのか?」
「それは駄目です」
「何故だ?」
「今の貴方が積極的に協力をすると、人類はあっという間に滅亡します。今のナギさんは四神クラスの勇者が現れても蹴散らせる力を有しているんですよ? ──そして、魔王サラサも青龍ちゃんを倒した事から、かなりの力がある筈です」
「勇者共を蹴散らせる事の何が駄目なんだ?」
「……えっと」
そんな悲しそうな顔をするって事は、俺は選択肢を間違えたか……。
「すまない……いまいち人間的な機微を察する事が俺にはまだ出来ない」
「いぇ、大丈夫ですよ。私と一緒に取り戻しましょう」
「……あぁ」
本当に良い女だ。
記憶が失った別人の旦那に此処まで尽くしてくれるとは……。
「話しを戻します」
「頼む」
「次にカケルさんはナルゥ大迷宮で最深部を目指してもらう事なのですが……これは恐らく数百年は先になるかと思うので、頭の片隅に留めておく程度で良いです」
「わかった」
「──ですが、最深部でもしかしたら神と対峙する可能性も考慮して、カケルさんは自身の鍛錬は欠かさないで下さいね」
「了解した」
「それから──」
その他にも俺がやるべき事を白虎はわかりやすく説明してくれる。
話しが一区切りした所でビアンカがご飯を持ってきた為、ご飯を食べる事にした。
何時も見て頂きありがとう御座います。




