神話創生 アトラス歴1465年【535年前】5-16
更新です。
これにて四神の章が終わりとなります。
魔王サラサが不在の中、疾風怒濤のライルは目標である都市を制圧していた。
「ふむ、これで神都フリューゲル迄は何も遮る者達は居なくなった」
これで魔王様の捜索に参加出来る。そんな思いの中動こうとすると、頭の中に声が響いたのだった。
(よくやりました、ライル)
「こ、これは、まさか!」
(そうよ、これは神からの神託です……)
「あぁ! 私にも貴方様から神託を頂けるとは……光栄の極みで御座います」
(ふふっ、そうですか。貴方は魔王サラサの召喚に加え、忠臣として彼女をよく支えてくれたね。そんな神の忠実な僕である君に私から神託を与えよう)
「有り難き幸せ! 是非に宜しくお願いしますっ」
(……では、今すぐに魔王が消えた地へと一人で向かいなさい。そこで貴方にはやるべき事があります)
「やるべき事? ……私は一体何をすれば良いのですか?」
(アハッ、行けばわかりますよ。──兎に角、今直ぐ向かいなさい)
「わ、わかりました! 神託に従い、この疾風怒濤のライル、魔王様の救出に向かいます!」
(フフフッ、寄り道しちゃダメだよ)
そう言い残すとライルの頭の中に一切の声が聞こえなくなる。
「おいっ!」
──ライルは部下達に神託の事を告げると、早々にサラサの消息が途絶えた場所へと向かったのだった。
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魔王と勇者が激しい死闘を繰り広げた地へとライルは到着する。
「確かここだった筈なのだが……まぁ、この惨状をみれば一目瞭然か」
魔王と勇者の戦いによって地形が大きく変わっている場所に立つライル。
この場にあった勇者の死体は既に回収され、残っているのは戦いの爪痕しか此処にはなかった。
「しかし、私は一体何をすれば良いのだろうか……行けば分かると言われはしたが……」
暫く頭を悩ませていると、周囲の空気が揺らぐ──いや、歪んだ。
パキッ!
歪みに亀裂が走ると次々にその罅を広げていく。
そして、
パリンッ!
そんな音が周囲に鳴り響くとそこから見慣れた女性、魔王サラサがボロボロな状態で出て来たのだった。
「ま、魔王様! ご無事ですかっ!?」
ライルはボロボロの魔王に近寄って行く。
「ライルか。──ククッ、そうか、我は風神を殺せたか」
「えっ? えぇ、魔王様は勇者を討伐せしめました」
一瞬、何の事を言ってるのか意味が分からなかったが素直な反応を示すライル。
「あぁ……それはそうと何故お前は一人で此処に居る? 魔王軍はどうなった」
「──はっ! 説明致します」
ライルは勇者の事や神都フリューゲルを堕とす為の重要都市の制圧、魔王が不在の間の事を説明した。
「そうか、我が不在の期間は僅か五時間か……フフフッ随分と長い五時間だったな」
「は、はぁ……」
僅かと表現した後に長いと言う魔王に、ライルは疑問が浮かんだが深くは聞かない事にした。
「状況はわかった。それで再び問う。何故お前は魔王軍で我が不在の中、此処に居る? 兵を指揮する様に伝えていた筈だろ」
「し、しかし! 私に神託が下りまして……」
「神託だ……と?」
「はっ! 神から此処に来る様に言わ──」
ライルは最後まで言葉を発する事が出来なかった。
何故なら──言葉を発する為のライルの頭がこの世界に存在しないからだった。
「フンッ、神の差し金かよ。……お前は使える奴だっただけに残念だ」
そう言い残す魔王の眼は暗く淀んでいた。
あの異常世界で何を見て、何を感じたかは魔王にしかわからない事だろう。暗い瞳のまま魔王軍へと魔王は戻って行ったのだった。
──そしてこの時、神都フリューゲルで密かに暗躍するナギ達は今の魔王軍の状況を知る由も無いだろう。
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アトラス歴1465年──。魔王サラサの直接指揮の元、神都フリューゲルが陥落。
世界最大宗教である神永教会の教皇が何者かによって殺害されるが、魔王サラサは此れを自身が行ったと喧伝する。
魔王サラサの右腕にして大幹部であるライル将軍が人族に暗殺されたものの、魔王軍の圧倒的な大勝に魔族達は更なる勢いに乗ったのだった。
対して人族は、神都フリューゲルの陥落、教皇の殺害、人族の希望であった青龍の見るも無惨な死体を送りつけられる等と言った行為によって、大幅に士気を削られたのだった。
人族は暗黒時代に突入したのであった。
何時も見て頂きありがとう御座います。
遅い夏休みに調子にのって風邪を引いてしまいました……。
何話かストックは作れたものの、予想より少なくなってしまうと言う誤算orz
次章、絆拾いの章では何話かお話しを挟んだ後、大きく年を進めます。
それでは、次章からも宜しくお願いします。




