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俺のデバフは理を破る!〜俺が強い?違うなテメェ等が弱くなったんだよ!〜  作者: 鋼夜
一章 出会い編

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十二デバフ

更新です。


 エビザの街は昨日と比べ【逢いの絆】に、イヤ、俺に対しての態度が急変していた。


「なぁ、今日は空気重く無いか?」


 今日は街の人からの視線が、何だか妙に感じる気がする。


 ふむ、俺はこの街で何かしただろうか?


 全く心当たりが無い! ──と言うよりかは昨日この街に来たばっかなのに何かを仕出かし様が無いんだが。


 街の状況としては今日もフカヒレパレードが行われてるのに、街の人は俺だけに冷たい気がする。

 昨日は要らん物を買わせようとする位に積極的だったのに、今は俺だけハブってる感が凄い。


「なぁロリ……俺って昨日は何か仕出かしたっけ?」

「翔は何時もやらかしてるでしょ?」

「酷ぇな!」


 まぁ、否定はしないが流石にこの街ではまだ粗相をしてない……筈。


「確かに、今日は翔さんに対する当たりが昨日と違いますね!」

「そうですね、昨日もこれと言って何かしたとは私も記憶してませんが……」


 ファリスとリリーナは何処かのロリと違って勘付いてくれたようだ。


「やっぱりそう思うよな? 何か様子がおかし──」


 俺がボヤいてるとドンっと一人の男がぶつかって来た。


「おっと、悪いな」


 フードを深く被っている為、顔は良く見えないが声からして男だ。


「いえ、こちらこそすいません」


 俺もよそ見してた部分も有ったし、取り敢えず謝った。


「あ、あぁ別に気にしないでいいぜ? それじゃ俺は失礼する」


 何処かで聞いた事ある声な気はするが、思い出せない……。

 まぁ、思い出せないって事はその程度の記憶なんだろ。


「大丈夫?」

「あぁ、これ位問題ない」

「ちょっと、少し血が出てるわよ?」


 ロリは俺の手を掴んで確認してきた。


「少し待ってて!」

「別に良いって……っていっちまった」


 ロリは凄い勢いで何処かに走って行った。


「別にこれ位、舐めときゃ治るから別に良いのにな」

「美香が優しい子って言うのは、短い付き合いですが良く分かりますからね」


 リリーナよ、お前は俺が普段蹴られてる光景をどう見てるんだ?

 あれを見て何処からその言葉が出るんだよ、その目は節穴かっ!


「そうですね。更科さんが良い人って言うのは翔さんも分かってますしね!」


 お前もか!


 しかし、まぁ……。


「まぁ、仲間想いではあるな……」


 俺が本当に嫌なら、そもそもパーティーを組んでないしな。


「それにしても、アイツは何処まで行ったんだ?」

「どうしたんですかね?」

「何も無ければ良いのですが……」


 その後、俺達はロリを暫く待ったが、俺達に合流する事は無かった。



 油断した。


「離しなさい!」


 私は捕まってしまった……。


「完全に油断してたわね」


 此処が何処かは分からない。


 そして、両手両脚が縛られていて身動きが取れない以上、自力の脱出はほぼ絶望的だ。


「それにしても、アンタが目を覚ましていたとは思わなかったわ」


 私は視線の先にいる人物に話しかけた。


「フフフッ、美香さんご無沙汰してます! 僕が迎えに来たよ」


 ──鈴谷康介。

 人心掌握スキルを持つこの男を相手に正攻法から対応したら駄目だ。


「そんな事、頼んで無いわよ」


 常にコイツを否定しなきゃ心が持ってかれてしまう。


「何で私を捕まえたのよ?」

「捕まえる? フフフッ何を言ってるんだい。──あの悪魔から美香さんを助けだしたのに……何でそんな事を言うんですか」

「…………」


 どうしよ、パーティーに居た時よりも話が通じなくなってるわ。


「オッさん、話しは終わったか?」


 それにコイツの後ろにいる奴等も翔と一緒に居た勇者達じゃない?

 これだけよ数の勇者が居たら、ここで獣魔を全部出してもコイツ等に倒されちゃうわね。


「約束通り、アイツの横にいた聖女ともう一人の女はちゃんと俺達に寄越せよ?」


 この下衆共が! ファリスとリリーナに何かしたら絶対に殺してやる!


「アンタ達! あの子達に手を出したら許さないわよ!」

「うるせぇ! ガキは黙ってろっ!」


 ドゴッッっと鈍い音と共に私のお腹に衝撃が走った。


「ゴフッ!」


 息が……出……来な……い。


 蹴られた私は、乱れる呼吸を何とか整えようとした。


「あ、あんた……女を……蹴る……なん、て最低、ね」


 コイツ、女を……しかも動けない私を本気で蹴ってきたわね。


「お前、更科さんに何してんだよ!!」


 私が蹴られた事に激昂したのか、ロリコン組がチンピラ組と口論を始める。


「あぁ……美香さんに手を出すとか許さない」


 鈴谷康介の身体から黒いオーラが見えそうな位に怒りが見て取れる。


 そしえ、


「直人君、その屑を殺して(海沼豪 ・・・)!」


 康介のその言葉を聞いた直人はチンピラの一人、豪に向かって闇魔法を詠唱し始めた。


「──我が心の闇を世界に写す。光と闇は相反した……」

「俺達が呑気に魔法を詠唱させると思うか?」

「ゴミが……動くな(・・・)!」


 詠唱をさせまいと動くチンピラ達に康介は命令(・・)する。


「アンタ達……は仲間じゃないの……?」

「違うよ更科さん、こんなゴミが仲間な訳無いよ」


 そして、詠唱を終わらせた直人は躊躇無く闇魔法を豪に向けて放つのだった。


 闇魔法が豪に飛んで行く光景を、私は痛みに堪えながらも静かに見ている。


「そんなもん、俺の金剛に効くかよ! ──金剛!」


 確か、身体を硬くする能力だったかしら? それを使って耐えるつもりかしら……でも、


「ギャァァァァ!!」


 私の視界には闇に喰われる豪が映った。


 あの闇魔法に防御なんて関係無い。


 一緒に居た時に散々見せつけられたもの。


「な、何だよ、オィッ! 何で豪を殺ったんだよ!」

「そうだ、オレ達は正当な報酬を要求しただけだろ!」


 ロリコン二人が私に蹴りを入れる事を報酬とするかしら?


 恐らく、貴方達は選択肢を間違えた。


「正当な報酬? 美香さんに暴力を振るう事まで正当な報酬って言うのなら勘違いも甚だしい! そうだよね直人君」

「そうですね、康介さん」


 私は状況を静観しながら、気付かれない様に小さくゲートを開く。


「ニャァ〜」


 最小サイズの獣魔を呼び出すと、直ぐに翔達の元に向かわせた。


 私がこんな事をしてても気付かない位、アイツ等の頭は血が昇っているみたいだ。


「君達二人は、あの悪魔を苦しませる為の能力を持っているから今回は特別に許すけど、次は能力関係無く殺す」


 確か、あの二人の能力は気配遮断と感覚増加だったかしら?

 そして、翔を苦しませるって事は碌な使い方をしないわね……早くどうにかしなきゃ。


「……あぁ、分かった」

「肝に銘じておく」

「分かればいい」


 康介から放たれるプレッシャーにビビった様ね……。


 正直な所、今のアイツには私も恐怖しか感じない。


「それじゃ、君達も望んだ、あの悪魔に嫌がらせしてきなよ。感覚増加ってスキルもぶつかった時にちゃんと掛けてきたんでしょ?」


 あのぶつかったフードの男はコイツだったのね。


 そうだとすると最初から全て計画して動いていたって事になる。


「あぁ、ちゃんと感覚増加は掛けてきた。後は秋斗が気配遮断でチマチマと小さな傷を付け、激痛を与えて行くだけだ」


 やっぱり、碌な使い方じゃなかったわね……。


「そして、散々地獄を味合わせて動けなくなった後にアイツの目の前で女二人を滅茶苦茶にしてやる」


 ……そんな事は私が絶対にさせない!


 ──隙を見つけたら、獣魔でコイツ等を奇襲してやる。


「それじゃ、俺達は行ってくる」


 私がそんな決意をするが、決意虚しくチンピラ組は翔を狙う為に私の前から居なくなった。


「さて……美香さんも怖がらせてゴメンね?」


 チンピラが居なくなった後、康介は優しい表情で近寄って来た。


「安心して、直ぐにその怪我を治療してあげるからね。僕って優しい(・・・)でしょ?」


 康介はそう言いながら蹴られた私のお腹を摩ってきた。


「やめて……」


 ──しかし、私の言葉とは裏腹に、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。


「騙されるな私っ!」


 ……違う、これはコイツの能力だ! 何が優しいだ! 触るな気持ちが悪い!


「フフフッ、美香さんも直ぐに僕達が正義(・・)だって分かってくれるよ……」

「…………」


 頭に染み込んでくるコイツの言葉に私は何時まで抗えるかしら……?


 早く助けて……翔。



「ニャア〜」


 ロリよ、この獣魔を俺達に差し向けて何を示したいんだ……。


「どないせいっちゅうねん」


 俺の目の前に、何度か見たことある犬みたいな見た目の猫、名付けてワンニャンが尻尾を元気に振っていた。


「何か意味があるのかもしれません」

「そうだろうな」


 意味は分からんが、ロリ本人では無く、コイツだけが来たって事はトラブルに巻き込まれたのだろうと理解出来た。


 そして、このメッセージを受け取った俺は、


「リリーナ、俺達に近づく奴に警戒してくれ。多分、何か良くない事が起こってる筈だ」

「承りました」


 俺がそう指示を飛ばすとリリーナは直ぐに対応してくれた。


「ファリスもリリーナからは離れるなよ?」

「はい!」


 ファリスも直ぐにリリーナの援護を受けられる様な立ち位置に移動した。


 そして、


 ヒュッ! っと飛来音が聞こえると、


「ハッ!」


 リリーナが即座に飛来物を切り落とす。


「これは……」


 俺は切り落とされた飛来物を手に取って確認する。


「何の変哲もない吹き矢か……こんなオモチャみたいな吹き矢で攻撃してくるのか?」


 俺達を暗殺する為に使うには、余りにも粗末な吹き矢だ。


 毒を塗られてる形跡も特に無い。


「一体、目的は何だ?」


 全く分からん。


「次が来ます!」


 リリーナの言葉通り、ヒュッ! っと二射目が放たれた。


「何が目的なのでしょう?」


 リリーナはそう言いながらも飛んでくる吹き矢を余裕を持って切り落としていた。


「分かんねぇな」

「少なくとも、この攻撃は全て翔さんに向かって発射されてます」

「俺だけ?」

「はい」


 何故に俺だけ?


 そんなに恨み買う事したっけか……。


「吹き矢を撃ってる奴が、どいつか特定出来るか?」


 人がそれなりに居る中、襲撃者を見つけられるかリリーナに聞いてみた。


「いえ、吹き矢を撃ってる位置を気配で探ってみているのですが全く分かりません」


 リリーナ程の強者が全く分からない……その言葉で俺は誰が襲撃者か分かった気がした。


「あぁ、俺を狙う程に恨んでる可能性がある奴いたわ」


 アイツ等ならこの状況も納得だ。


「もしも、俺の予想通りなら……。──リリーナ! 気配が無くても吹き矢が発射された場所にいる筈だ! 次はそれごと斬ってくれ」


 俺がリリーナにお願いしたタイミングと同時に吹き矢が飛んできた。


「承りました!」


 リリーナは吹き矢を切り落とし、凄まじい速度で発射地点と思われる場所に切り込んでいった。


 その圧倒的な斬り込み速度に、


「ヒィ! わ、分かった! も、もう何もしないから許してくれ!」


 自分達が助けて貰う為に呼びこんだ勇者が、突如として現れた事にリリーナは剣を止めてしまう。


「やっぱりお前等か……」


 俺の前には栗林秋斗が居た。


 タイミング的にロリが居なくなった事とも無関係な訳が無いな。


「何でこんな所でこんな事してるんだ? 正直に答えろよ?」

「あ、あぁ、分かった」

「まぁ、その前に……当然お前だけじゃないよな?」


 コイツが此処にいると言う事は……散々俺を苔にしてきたんだ……性格的にそこにいるんだろ? ヤンキー1。


「感覚崩壊」


 俺はヤンキー1が居ると思う場所に居た人全員へ感覚崩壊を掛けた。


「悪いな、俺もちょっと苛立ってるから顔を確認して違ったらちゃんと解除してやるからな」


 俺は感覚崩壊で動きが遅くなった奴ら一人一人確認すると、やっぱり居た。


 そのまま、ヤンキー1を捕まえて2と一緒に縛る。


「さて、ロリが何処に捕まってるか……当然教えてくれるよな?」


 俺が秋斗達を脅すと、ペラペラとロリを攫った事や、それに付随する計画を喋り出した。


「お前等は本当に糞だな……」


 ヤンキー1と2は半泣きになりながら場所を教えてくれた。



 俺が二人の尋問を終えると、


「オィ、場所を教えたんだ! そろそろ解放してくれよ!」

「そうだそうだ!」

「……何様だよお前等」


 コイツ等は自分の立場が分かっているのか?


 まぁ、此れからの事を考えれば立場何てものは関係が無くなるな。


「リリーナ、ファリスを連れて少しだけ此処から席を外してくれ」

「……良いのですね?」

「あぁ、これがケジメだからな」

「分かりました。──ファリス、行きましょう」

「えっ? あ、はい」


 リリーナも俺が何をしようとしているのか察し、ファリスを連れて此処から離れた。


「な、何だよ早く解放してくれよ!」

「そうだ! 早くしてくれ!」

「何を言ってるんだ? 俺は以前言ったよな。次は無いぞ(・・・・・)ってな」


 俺は此処でコイツ等を殺す。


 人を殺したく無いって俺の甘さが今回の事件を起こしロリや仲間に被害を出した。


 さっきも言った通り、これはケジメだ。


 異世界と地球とは違う(ことわり)がある以上、避けては通れない道だとお前達のお陰で悟れたよ。


「なるべく痛くない様にはしてやるから安心しろ」

「な、なにを!」


 センスコラプス×100。

 俺はコイツ等の感覚を壊した。

 これで幾分か痛覚も壊れただろ。


「嫌だ死にたくない! お願いします! 何でもします!」

「お前は鬼かよ! 同じ日本人だろ! 頼むよ!」


 …………。


「俺が鬼? 何を言ってるんだ、俺にこんな手段を取らせたのはお前達自身だろ……」

「や、やめ──」


 俺は助命を懇願する秋斗の首を刎ねた。


「ひ、ひぃぃぃっ!!」

「安心しろ、直ぐにお前もその恐怖から解放してやるよ」


 俺は隆の首も刎ねた。


「…………最悪だ」

 

 首を刎ねた時の嫌な感触が手に残った。


「くそ、くそっ!」


 二人の首は恐怖の表情のまま死んでいた。


「……もう戻れない、か」


 …………。


 ……。



 俺は二人を殺した後、リリーナとファリスの元に戻り合流する。


「待たせたな」

「……もう、大丈夫ですか?」

「問題無いとは言えないが、今はそれどころじゃない」

「そうですね……それと、今回の件は私が証人となります。後で警邏の者達には暗殺者を返り討ちにした、と伝えておきます」

「悪いな」


 やはりリリーナはこの先で俺が何をしたのか全て解っているらしく、そんな言葉を言ってくれた。


「顔色悪いですけど大丈夫ですか? 何か私でも出来る事は有りますか?」


 ファリスは本当に元気やな……。


 ──だが今の俺には、その元気な姿が見れるのが本当に救いだ。


「これからロリを助けに行くぞ……場所は聞き出したんだ直ぐに向かう」

「「はい!」」


 俺達はロリを救出する為に、ロリコン共が居る場所へと走り出した。



「ここか」

「はい、そのようですね」


 ヤンキー達から聞き出した場所は港のデカい倉庫だった。


「ニャア!」


 ワンニャンの反応からしても此処で間違いないだろう。


「この中に居るのは人心掌握スキル持ちの鈴谷康介と闇魔法持ちの深道直人が敵だ」

「そうですね」

「だから、リリーナとファリスは闇魔法持ちの直人を倒してくれ……康介は俺がやる」


 俺は二人に直人を任せる事にした。


「翔さんは大丈夫なのですか?」

「問題無い」

「……分かりました」


 何故この組み合わせにしたかと言うと、康介の掌握範囲内に二人をいさせない為だ。


 ファリスやリリーナが敵になったら、確実に手に負えなくなる。


 それじゃ、俺は大丈夫なのか? きっと、リリーナはその事を言ってるのだろうが──俺がアイツに人心掌握される事は100%無い。


 根拠は無いが、この俺の完全な怒りを言葉程度で掌握出来るならやってみろって感じだ。


「それじゃ行くぞ」

「「はい!」」


 俺達は扉を開け放ち、倉庫に突入すると早速、歓迎の闇魔法攻撃が飛んできた。


「っ!?」


 しかし、その攻撃は俺とリリーナ達がいた場所に大きな溝を作っただけだ。


「俺達を分断するのが目的か……」


 その通りと言わんばかりに、攻撃はリリーナ達に向かい出した。


「好都合じゃねぇか、二人とも此処は任せたぞ!」

「承知しました!」

「翔さん、此処は任せて下さい!」


 此処は仲間に任せ、俺はそのまま倉庫の奥に走った。



 翔さんが更科さんを助けに奥へと向かった。


 この場に残った私とリリーナさんは、直人さん? って人の相手をします!


 この人は大事な仲間である更科さんを誘拐した人なので全力で倒します。


「ファリス、前に出ますので援護をお願いします!」

「分かりました! ── 透明な世界は始まりにして終わりの世界。その世界に生きる生命は大気に生かされているだろう。なれば、大気を使いて汝を貫く棘とならん。氷の棘(アイスニードル)!」


 短い詠唱をした後、何時もの様に連続魔法を起動して敵に向かって氷の棘を何百発も発射します。


「はぁぁぁぁぁっっ!!!」


 私の魔法に合わせてリリーナさんも誘拐犯に突撃して行く。


「剣神結界!」

「無駄だよ……僕の闇の前には全て無駄なんだ」


 誘拐犯がそんな事を言うと、彼の周りに漂っていた黒い霧がアイスニードルは覆う。


「えっ、そんな!」


 黒い霧に包まれ、氷の魔法が消える。


 ──そしてその闇はそのままリリーナの方向に向かっていった。


「あの魔法……危険です」


 私はその闇に嫌な予感がして、直ぐに別の魔法を起動させる。


「──大地より生まれ出るは始まりの息吹。芽吹いた生命に仇なす者、大地に反を成す存在よ、我は反を成す存在から全てを守ろう……大地からなる要塞(アースフォートレス)!」


 土の要塞でリリーナに盾を作ったが、その要塞もアッサリと闇に呑み込まれてしまう。


「リリーナさん、その闇には絶対に触れちゃ駄目ですよ!」

「その様ですね……」


 リリーナは真っ直ぐと直人に向かっていたが、直人の魔法を警戒し、平面の動きから立体的な動きに変えた。


 そして、その緩急がついた動きに直人は困惑している。


「くっ! ちょこまかと動きやがって……」


 どうやらあの闇魔法は対象認識型の様ですね……。


「──だったら……リリーナさん! 絶対にこっち側を見ないで下さいね!」


 リリーナからの返事は無かったが、伝わったと感じたファリスは次の魔法を詠唱する。


「──炎とは生物の根源に灯される心の火、其れを扱うは生物の道理、ならば我が炎で道を示す為の光を照らそう……太陽が照らす道標(サンフラッシュ)


 魔法は倉庫内を一瞬で真っ白な空間へと染め上げた。


 その白い閃光はファリスから発せられた為、それを背にしていたリリーナは眼を焼かれず済む。

 そして、対象的にファリス達と対峙していた直人は眼を焼かれる結果となった。


「ぐあっ! 目がっ!! クソッ何も見えない……」


 誘拐犯が苦しんでいる。


「私の作戦勝ちです!」

「くそがっ!!」

「此処迄です」


 ドンッと音が響く。


「ぐはっ!!」


 リリーナが戦いは終わりと言わんばかりに直人を気絶させた。


「流石ファリスですね。敵が使うあのスキルは私に相性が悪すぎました」

「や、役に立てて良かったです!」


 褒められてしまいました!


 嬉しいです!


「さて、この方を目隠しして縛り上げましょう」


 リリーナはそう言うと直人を縛り上げていく。


 翔さん、此方は無事に終わりましたよ!



 俺は倉庫の奥に進んで行くと、問答無用で街の人達に襲われていた。


「マジかよ!!」


 あの野郎は無関係な人まで人心掌握で戦わせてるのかよ!


「邪魔なんだよ!」


 俺は目に映る奴等に片っ端からデバフを掛けて行き、その攻撃を掻い潜っていった。

 只管に人を無視して進んで行くと、かなりの広さがある空間へと辿り着いた。


「良かった、無事だったか……」


 そして、其処には助けにきた筈のロリが虚ろな瞳で待ち構えている。


「ロリ、待たせたな! さっさと帰って飯でも食おうぜ」


 俺がロリに声をかけると、ロリの足元から獣魔が続々と這い出てきていた。


「マジかよ……まさかお前があれだけ嫌悪してたロリコンの術中に嵌められたのか、笑えねぇな?」


 気が付けば俺の視界には大量の獣魔と巨大獣魔、エビルスネークのエスクが現れた。


「エスク君のリターンマッチってか? ──でもな、俺も今はプッツンしてるから手加減出来ないぜ」

「行きなさい獣魔達、悪魔を殺すのよ!」


 洗脳されたお前には悪いが、負けて貰う。


「うおらぁぁぁぁぁっっ!!!」


 俺は視界に映る全ての獣魔に、感覚崩壊を掛けてから突撃した。



 私は康介の敵である悪魔(カケル)と戦っている。


 何で私は、コイツのパーティーに入っていたのか全く分からなかった……。

 康介が言うには、私は悪魔に騙されていたと言っていた。

 私を騙すとか、ふざけた事をする悪魔を私は許さない。


 だから、


「行きなさい獣魔達、悪魔を殺すのよ!」


 私の合図に獣魔達が悪魔に群がる。


 悪魔は物凄い速さで私の獣魔を倒していくが、これは悪魔の能力の影響だ。


 既に私達が術の影響下にあるのは想定済みよ……。


 悪魔の能力は対象認識型。


 その為に身体のデカいエスクを出して悪魔の死角を作り、その死角には脚の速い獣魔を配置したのだ。


「行け、エスク!」


 私は脚の遅くなったエスクをアイツの視界を塞ぐ様に動かし、そのタイミングでエスクの背後に配置していた獣魔を突撃させる。


「遅い速さに慣れた貴方の眼に、これが対処出来るかしら?」


 私の獣魔が悪魔にダメージを与える。


「ぐっ! 痛ぇなロリ! あんまり調子に乗るなよ!」


 私の予想通り、死角から現れた獣魔に対処出来てなかった。

 ──でもね、顔を出した時点でそれも直ぐに対処されると私は想定してる。


「ふふっ、良い様な」

「舐めんなよ!」


 顔を出した獣魔は悪魔によって速攻無力化された。


「舐めてないわよ」


 そう、舐めてないからこそ私は本気だ。


 ──だから、もう少し私に近づいてきたら、まだ影の中に隠している獣魔を全て吐き出し、そのまま獣魔の餌にしてやる。


「流石ね、でも限界が大分近いんじゃない? 大人しく死んでくれるなら楽に殺してあげるわよ?」


 気が付けば、エスク含む私の獣魔が殆ど無力化されていた。


 しかし、悪魔も満身創痍状態、最後の策は確実に嵌る。


「──今、お前は近づいてきた俺を、まだ影に隠している獣魔で攻撃させる事を考えてるだろ?」

「えっ?」


 私はその言葉を聞き、軽く血の気が失せた。


「何を言ってるのかしら?」


 バレてる……いや、これはハッタリ! 騙されては駄目だ。


「何だ、ハッタリだと思ってるのか? 舐めんなよ……お前が俺を把握してるように、俺もお前を把握している」

「…………」

「俺はお前と一緒に獣魔を捕まえて来たんだ。この戦いの中、捕まえた筈なのに未だ見てない個体が何体か居るのは分かってんだよ」


 ……どうやら本当にバレている様だ。


 しかし、バレてるならしょうがない!


 悪魔も限界寸前なのだから、このまま押し切ってやる!


 私は影から残りの獣魔を即座に出して突撃させた。


「それは悪手だぜ……」

「えっ?」


 顔を出した獣魔は刹那の間に無力化されてしまう。


「俺はまだ影の中に獣魔いる事は分かっててもどうにかする手段は無かったんだぜ? それを態々出してくれるとか、何時ものロリならしないミスだな……」


 そう言った悪魔は私の目の前から消えた。


 そして、


 ムニュッ。


「そんで、これはお仕置きな?」


 私は悪魔に乳を揉まれていた。


「分かっちゃいたけどヤッパリ無乳だなお前!」


 ……ハッ? 翔は何を言ってるの? 勝手に人の乳を揉んで勝手に批評してガッカリしてるの?


 そう理解した時、私は怒りで頭が真っ白になった。


「何してんのよぉぉ!?」


 私は翔に回し蹴りを放つ。


「ぐはっ!」


 その蹴りは見事にカケルのボディーに突き刺さる。


「ナイスキック……」

「ナイスキックじゃないわよ! 何してんのよ!」


 本当にに翔はアホね!


「だが、元に戻った様で何よりだ」


 元に戻る? 何言ってるんのよ、私は私よ。


 あれ? でも、何だろこの感じは……さっきと違って翔に何の悪感情も出てこないわね。


「お前はアイツのスキルで心が掌握されてただけだ」


 翔はそう言うと私の後ろの方を指を刺した。


 指刺す方を見るともの凄く気持ち悪い顔で逃げようとしているロリコン(鈴谷康介)が居た。


 そしてその動きは以前もみた状況で物凄く遅い。


 どうやら翔がもうデバフを掛かっている様だ。


「さて、俺はアイツに用事が有る。ロリは向こうの倉庫に居るリリーナ達と合流してくれないか?」


 お願いする様な言葉で言って来たが、その言葉には有無を言わせない迫力があった。


「……分かったわ、直ぐに戻って来てね?」

「あぁ、直ぐに行く」


 私はその言葉を聞くとリリーナ達が居ると言う場所に向かって歩いて行く。



 俺はゆっくりと康介の元に歩いて行く。


「よっ、ロリコン! 元気してっか?」


 俺は康介に話しかけた。


「お前、絶対に許さないぞ! 絶対に殺してやる!」


 何で自分の事を棚に上げて俺にキレ散らかしてるんだコイツは……。


「おぅ、許さないで良いぜ。俺も最初から許さないつもりだから、お互い様だな!」


 俺はそう言って康介の顎に本気の蹴りをお見舞いした。


 グシャッ!? っと顎を砕く感触が俺の足に伝わった。


「い、いびゃい!」

「どうした? 得意の掌握術で俺の心を揺さぶってみれろよ……俺の手が止まるかもしれないぜ?」


 まぁ、顎も砕いたし、人心掌握する為の言葉を喋る事は出来ない。

 そもそも、こいつの根性じゃ苦痛で喋る気概も無いだろう。


「まぁ、でもお前に構う時間が勿体ないから早々で悪いけど終わらせるわ」

「ーーーーッ!」


 俺はロリコン1の反応を待たずにコイツを殺した。


 ハァ〜、分かっちゃいたが気分悪っ……。

何時も見て頂きありがとうございます。

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