神話創生 アトラス歴1465年【535年前】5-8
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風間と名乗る男にナギは困惑させられる。
「風間って確か……」
「──そう、私は神永教会創始者にして、この世界で最初に呼び出された勇者だ」
「最初の勇者? 嘘も大概にしろよ……一体何百年前の事だと思ってる」
「あはは、ごめんごめん。正確に言うと、風間英智と言う奴はとっくに死んでいてね。──だけど、その意識、記憶、精神は継承されているんだよ」
「継承だと? つまりは何らかの方法で風間が生き続けているって事か」
「そう言う事だよ。── 俺はね、この会話をするのが好きだから教えてあげる」
「?」
「私が呼び出された時、人類は劣勢だった。……しかし、勇者である俺を呼び出した事によって戦況は大きく人類側に傾いたのさ。今の魔王軍の様にね」
記憶を掘り起こすと言うよりかは知識を掘り起こす様に語る風間に少しだけ違和感を覚えるナギ。
「俺は思考誘導をフルに活用使して魔王軍と戦い全てを倒したよ。その結果、私は数々の功績を讃えられ、神の代行者である神永教会を立ち上げる事が出来たよ」
「どうせ、それも思考誘導で周りを洗脳し勝ち取ったもんだろ?」
「まあ、そうだけど。……そんな言い方しないでも良いんじゃないかな?」
「フザけんなよ。話しを遠回りしてんじゃねぇよ! 思考誘導じゃ今お前が存在してる理由にならねぇんだよ!」
「ガタガタとウルセェな! 焦るなよ雑魚がっ! おっと失礼失礼。……それの説明もちゃんとしてあげるよ。言った筈だよ、私はこの話しをするのが好きだと」
南條朱雀の顔で、朱雀以上に気味悪く口角を上げて微笑む風間。
「元々持っていた俺の能力は思考誘導だけじゃない」
「マルチ能力者か……」
「そう言う事だ。そして、もう一つの能力はね【継承】って能力なんだよ」
「【継承】だと? それはそのまんまの意味と取って良いのか?」
「勿論そのまま取って良いよ。私の記憶、知識、経験、能力、その全てを次の私に成り得る者に渡す能力。──まぁ、この能力はクールタイムが数年〜数十年程あるのが難点だけどね」
「つまり、今は南條朱雀に継承したって訳か……また随分と悪趣味な能力を使って、悪趣味な奴に入ったもんだな」
「そう言うなよ。第一候補の玄武君は死んでしまったし、第二候補の白虎君も君の側なんだろ? そして第三候補の青龍君はガードが硬いしで第四候補の朱雀君しか居なかったんだよ」
やれやれと言った顔で肩を揺らす風間。
「つまりは全ての黒幕は初代勇者様って事だろ? だとしても、俺のやる事は変わんねぇから問題無い」
ナギの身体から戦気が立ち昇る。直ぐにでも風間を殺すつもりの様だ。
「落ち着けよ。何か勘違いしてる様だから教えて上げるけど、お前じゃ俺には勝てねえぞナギ」
その言葉でナギの感情を一瞬で爆発させた。
「上等だぁぁ!!!!」
左手に絆絶を顕現させると一息で風間の懐へと飛び込んだ。
しかし、ナギは訳も分からず吹き飛ばされる。
「──っつ!?」
「逸るなよ雑魚が。ちゃんと話を聞けよカス! おっと……南條朱雀は本当にゴミの様な思考の持ち主だったんだね。それで君が私に勝てない理由を説明するとね」
教皇の間を焔が侵蝕し、空間を、景色を歪ませる。
「過去に呼び出された勇者、神子、魔子から継承し続けた結果、私の能力の数は既に二十を超えている」
「なん……だと?」
継承は風間の記憶、知識、経験、能力を丸ごと移動させる能力。当然の如く継承するルートに能力者が居れば、その能力すらも持ってくるのであった。
「継承だと? そんなの略奪じゃねぇか!」
「はははっ、言い得て妙だね。全くその通りだと思う。──そして、私がこの話しをするのが好きな理由はね、今の君の様な反応が見れるからだよ。過去に居た勇者達からも身体を奪う時、皆んな必ず絶望の顔を私に見せてくれるんだ」
「……悪いな、お前は朱雀以上にどうしようもないわ」
「……過去の継承ルートではそこそこ使えるスキルは在る物の、今代の勇者みたいに飛び抜けたのは無かったんだよ。──そして、最近になってクールタイムが終わり、待望の四神の力を手に入れたんだ。……そんな私に唯の超越者である君が勝てる道理なんかないだろ? ハハハハッ!!!」
ナギの勘に触る様な嗤いを、焔で侵蝕された空間に響き渡らせるのだった。
何時も見て頂き有り難うございます。




