神話創生 アトラス歴1465年【535年前】5-2
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◆青龍side◇
魔王軍の侵攻が予想よりも早かった……。
魔王軍から逃れる為に街から街に流れる避難民が街道に殺到し、各地から集めた軍は遅々として進軍が進んでいない。
だからこそ、少しでも魔王軍の侵攻を阻む為、僕は単身で空から強襲する事にした。
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「……凄い数」
今迄も数多の魔族を屠って来た……しかし、今回はそんなのが生温い位に魔王軍の数や、何よりも勢いが違っていた。
「まずは数を減らす。── 風神・志那都比古神」
突如として戦場に暴風が吹き荒れる。
ただ、それだけの行為で敵は僕の存在を認識したのか、直ぐに目の前の兵士達は散開しはじめる。
「流石に指揮をしてるのが魔王だからか、直ぐに──」
対応してくる。
そう言おうとしたが、
ヒュン!
そんな音が僕の耳に響くと、同時に僕に向けて大量の大岩が殺到してくる。
「!?」
大岩が飛んできた方向は、敵兵が散開した所の中心部。
そこを注視した時、僕は思わず唾を大きく飲み込んでしまった。
「デストロイ……オーガ?」
いや、デストロイオーガが居る事は分かっていた事だ。
なら何に驚いたのか? 理由は単純だった。
「20体もどうやって……」
神子達すらも食い殺せる暴力の塊が20体、大岩をまるで野球ボールを投げるかのように僕に投げつけてくる。
正直、デストロイオーガだからと言って、空に居る僕には何体居ようが問題は無い。──しかし、ここに魔王が居る以上はそんな事に意識を取られたくは無いのも本音。
だからこそ、速攻で潰させてもらう!
「── 風神・総てを喰らう嵐!!」
暴風が明確な意思を持ってデストロイオーガ達に向かう。
空に居る僕に届かせる攻撃手段は、この投石や弓か、もしくは魔法に依る物しかない。
確かに敵の中に魔法を詠唱している術者達や矢を射る者はいるが、優先度は圧倒的に低い。
この投石を止めれば、後は僕によって総てが薙ぎ払われる。
「無駄だよ!」
尚も投石を飛ばしてくるデストロイオーガ達。
その総てが僕には視える。
ナギの動きに比べたらこんな奴らの攻撃なんて欠伸が出てしまいそうだ。
僕は自分に当たる軌道を取る大岩だけ破壊し続けた。
──しかし、それを僕は直ぐに後悔する事になってしまう。
「あぁ、お前が強いだけの愚か者って事がわかったよ」
「えっ?」
僕が破壊した大岩の影から魔王が現れた。
魔王はデストロイオーガが投げる大岩に乗って此処までやってきたのだった。
完成に意識外の魔王登場により、僕は総ての反応が遅れてしまう。
そして、それは致命的な隙だった。
「── 血で彩られた世界」
魔王の右手に有った深紅の球体が大きく膨れ上がると僕を呑み込もうとした。
なまじ自分の眼が良いだけに、その動きは総てスローモーションに見えてしまう。しかし、体は反応が間に合わない。
あるいはスローモーションなのも走馬灯なのかもしれない……と冷静に考えてしまった。
嗚呼、僕の世界は赤に染められた──。
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