神話創生 アトラス歴1462年【538年前】4-14
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◆ナギside◇
「ん……ここ……は?」
どうやら俺は試合の最中に意識を失った様だ。
「目が覚めました?」
「あぁ……お前が居るって事は、もう大会は終わったって認識でオッケー?」
「オッケーです」
「そうか……まぁ、最後のアレは無理ゲー過ぎだよな」
風の刃に身体を切り刻まれながら、意識を刈り取るレベルの弾丸の雨、むしろ俺だからあそこまで頑張れた感じはするが、普通の奴なら青龍を相手にするのは無理過ぎる。
「……ナギさんって青龍ちゃんとの試合は何処まで覚えてますか?」
「ん? 跳弾を数発頭に受けてからの記憶は無いぞ?」
「そうですか。……だったら最後のは無意識なんですね。──覚えてないですか?」
「無意識? 何の事だ……いや待て、何か思い出せそう」
確認する様にそう言われると、シャットダウンされた意識の中で確かに俺は夢を見ていた気がする……。
深く意識を集中させると、あの時の映像が頭に過る。──それは嗤いながら青龍の攻撃を無力化し、青龍に肉薄する為に距離を詰めようとした時の記憶が呼び起こされた。
「もしかして、俺……力の解放しちゃった?」
「はい……しちゃいましたね」
「……そうか」
今回の解放でどれ位魔王の心臓に侵蝕された? ──感触からして25%ってところか……。
「俺はまだ人の形を保ってるか?」
「……」
えっ何で黙ってるの? 不安になるから何か喋って欲しいんだが。
「何故に黙る……正直に言ってくれ」
「そう、ですね。一見した見た目としては白髪化が進んでますね」
「何だ、それ位なら──」
「──ただ、隠れてる部分は少しエグい事になってます」
そう言った白虎は俺が着ているシャツを捲ってくる。
「何して……えっ?」
シャツの下、心臓がある部分の位置から異常な程に血管が浮き出ている。
「侵蝕が目に見えて出てます。これ以上の力の解放は少し考えて下さい……」
本当に心配してるのだろう、白虎の顔はとても哀しそうだった。
「解放する必要が無いならやらないさ」
正直な話し、解放しないとは断言出来ないからな! だから、軽く濁す程度に返事した。
「……だったら、私が解放させる様な状況にはさせません」
「そうか、スマンな」
「いぇいぇ、妻の役目ですから!」
俺は結婚した記憶が1ミリも無いんですけど!
「それはそうと、教皇は洗脳系能力【思考誘導】の持ち主と判明しました」
「へぇ、良くそこまで調べたな。……どうやって調べたんだ?」
ゴーレムのツーちゃんを街に放ったとしても能力名迄は調べる事は出来ない。だとしたら一体どうやって?
「青龍ちゃんに聞いて来ました!」
「……はっ?」
何でお前が直接会いに行ってんの? 只の敵情視察だったのに、青龍に会ったら偵察の意味無いだろ。
「いやいや待て待て。お前が生きてるって分かったら、お前を奪いに現れるんじゃないのか……」
「あっ、それは大丈夫です。事情は青龍ちゃんも把握してくれてます。──それに」
白虎が青龍とのやり取りを俺に詳しく教えてくれた。
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「つまり、青龍は敵では無いって認識で良いのか?」
「私達には、ですけどね。魔王にとっては完全な天敵です」
そりゃ、災難だ。未来の魔王なら青龍相手でも問題無いだろうが、この時代の魔王はどうやって魔王を退けるんだ? 現状の実力では青龍にはどうやっても勝てない……筈だ。
「まぁ、青龍がファーラスト王国に戻り再びこっちに来て魔王との決戦……って事は俺達や魔王達にも時間的な猶予が出来るな」
「そうですね。色々な準備はしっかり出来そうです」
「あぁ、その準備の為に少し気になる人物に会いたいんだが……」
俺は試合で戦った一人の男を思い出す。
「マルチですね?」
「そうだ……アイツが持つ魔法呪が刻まれた武器やオリジナル魔法についても色々聞きたい」
もし話が聞ければ、俺が持つ絆絶や自身の強化に繋がるかもしれないしな。
「マルチはとっくに街を離れてしまってます」
「そうか、随分と早くに街を出たんだな!」
「いぇ、そもそもの話しとして……もう大会から一週間経ってます」
どうやら俺は一週間寝込んでいたらしい……。
何時も見て頂きありがとうございます。
次の話より時系列が進みます。




