神話創生 アトラス歴1462年【538年前】4-11
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暴風が吹き荒れる中、観客席で観ている者達には何が行われているのか理解出来なかった。
「氷焔螺旋!」
絆絶の魔法呪に焔と氷が二重螺旋を描く様に流れ出す。
「此処からは完全なゴリ押しだからな……死にたく無いならお前も手を抜くなよ?」
「ナギを相手にそんな事しない」
その言葉を皮切りに両者が人外の領域へと再び踏み込んだ。
「うおらぁぁぁ!!!」
「!?」
ナギが放つ剣を先程と同じ様に受け流そうとしたが、嫌な予感に支配され、青龍は咄嗟に回避行動を取る。
「ククッ! 流石に今の俺の剣を受ける事はしないか!」
「……そんなの受けたら流す前に武器が壊される」
ナギがゴリ押しと言った意味を直ぐに理解した青龍はやはり戦いのプロだったと言う事だ。
「だとしても、何時まで俺の攻撃を躱せる?!」
「……」
ナギは受ければ即死させられる程の攻撃を十八連撃放つも、その全てが空を切る。
「五月雨一閃」
その連撃を紙一重の見切りで躱すと、その隙間から人間の急所全てに雨の様攻撃を繰り出した。
「──いっ!? マジかよ……」
カウンターで放たれた攻撃に、無傷では無かったが何とか躱せた。
「ハァハァ……コレも躱す。やっぱりナギは凄いよ」
「そうかよ。──俺もお前の一番怖い所が分かったよ」
ナギは察する。
青龍の強さは全て、その眼に合った。
「お前は異常過ぎる」
「ナギも大概……」
「俺は──いや、何でもない」
「?」
俺は魔王の心臓のお陰だと言いそうになったが咄嗟に踏みとどまる。
「お前、俺の動きが全部視えてるだろ? そうじゃなきゃ、俺を捉える事も難しいし……剣もそんな紙一重の見切りなんて出来ない」
そう、青龍の一番の強みはその動体視力にあった──その一点に限ればナギやサラサをも圧倒的に上回る程に……。
「うん、視えてるよ?」
「やっぱ、お前は異常だよ……」
「女性に向かって異常って言うのは失礼」
「……女性じゃなくても失礼だろ。まぁ、でもそうだな。それはスマンな」
「いいよ。それより続きしよ?」
「イヤ、もう俺の勝ちだわ」
「えっ?」
何を言ってるのか訳がわからない青龍は、ナギの次に発した呪いを聞く。
「感覚崩壊」
ナギが夕凪翔だった時に一番頼っていたスキル、感覚崩壊によって青龍に異常が起こる。
「お前レベルの達人なら微妙な感覚のズレはって致命的だろ? まぁ、達人だから直ぐに合わせてくるかもだろうが……」
「何を言ってる?」
「まぁ、こういう事だ」
その瞬間、ナギが超速で動く。
そして、視えてる眼でいつも通り動いた──つもりだった。
「!?」
「コレでも当たらないか……でも、やっと緊張感漂う顔をしたな?」
ナギの言う通り、青龍の顔に一筋の汗が垂れる。
「何をした……の?」
「さてな。それを態々説明する程、俺は優しくない」
ナギが使う感覚崩壊。相手の感覚を極小破壊するデバフだ。
何故こんなスキルが青龍には致命的かと言うと、それは青龍が達人だからだった。
凡人の能力が百とし、それに感覚崩壊を使えば九十九になる。
だが達人の能力……極端な話しだが、この場合は青龍を十万とし、それに感覚崩壊を使えば九万九千となる。
この失った千と言うのはナギと戦うには致命的だった。
そして、再びナギが動く。
それは青龍には先程より速く感じた。
「緩急つけた動きって面倒だろ?」
「くっ!?」
ナギの連撃を躱すのに先程までの余裕は一切無くなった。
「どうした? 力を見せてみろよ勇者!」
「──僕は負けない! 負けたくない!」
感覚が狂った中、緩急を付けた動きに翻弄される青龍……それでもまだ躱せてるのは流石だった。
しかし、
「貰った!」
「くっ!?」
パキンッ!
ナギの剣を思わず刀で受けてしまい、青龍の刀が砕ける。
「あ……」
「俺の勝ちだ!」
刀が砕けた青龍の喉元に絆絶を突きつけた。
「降参しろ」
「……そう……試合はナギの勝ちかもね」
会場を包む暴風が流れを変えた。
「でもね……やっぱり僕が勝つよ?」
「──おい、やめ」
やめろと言いかけた時、青龍が風神の力を本気で解放した。
「風神・総てを喰らう嵐!!」
会場を包む暴風は明確にナギへと向かい、そして呑み込んだ。
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後2.3話で年表が進みます。




