神話創生 アトラス歴1462年【538年前】4-10
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試合が開始したと共に、闘技会場には暴風が吹き荒れる。
しかし、この暴風は観客席には一切届かず試合会場を包み込む様に展開されている。
「──風神・志那都比古神」
ナギも先手必勝で攻め込んでいたが、青龍が起こす暴風によって動きを阻害されていた。
「マジかよ!」
それは動きを制限されたからか? それとも先手必勝により試合のペースを掴めなかったからか? 恐らく両方だろう。
「……まずはコレから」
そう呟いた青龍は、今迄の試合で見せた指弾の構えをとると、
「──指弾」
青龍の指から何十発もの指弾が放たれる。
「っ!?」
ナギは移動速度が落ちた自身の身体を動かし、会場を駆け躱す。
「俺をそこいらのモブと一緒にすんなっつーの! ──あがっ!」
弾丸を全て躱し、青龍に一撃を与えようと間合いを詰めたが、ナギの身体に大量の弾丸が浴びせられ、ナギは吹き飛ばされる。
「躱した筈なのに何で……」
「──跳弾」
躱したと思った弾丸は実の所、何一つ躱せていなかった事にナギは此処で気付く。
「……味な真似するじゃねぇか」
「偉い。これだけ僕の指弾を受けて立ってられるなら、もう少し本気出しても良いね?」
「……偉いだぁ? 上からナマ言ってんじゃねぇー!」
青龍からしてみれば素直な称賛だったのだが、言われたナギにしてみれば馬鹿にされた様にしか思えなかった。
そして、
「焔拳! 凍拳!」
正体がバレるなんて考えはもうナギには無い。
無詠唱によって自身の魔法を唱えると、自身の身体能力を活かして大きく動きながら青龍に迫る。
「動きが阻害されようが、お前に俺の動きを捉え切れるか?」
阻害されて尚、マルチ戦の最後に見せた様な超速の動きで青龍の跳弾の雨を掻い潜ると、
「貰った!」
身体能力で大きく勝るナギは自身でも完璧なタイミングで攻撃を仕掛けた。
だが、これは大前提として相手が格下ならば成功しただろう──しかし、相手は格上の青龍だった。
その証拠に、
「風神・加速」
簡単にナギの領分へと踏み込んで来た。
「なっ!? ──舐めるな!」
超速のナギに風速で迫る青龍。
ナギも少なからず自身のアドバンテージを奪われてショックを受けるが、朱雀、白虎との戦いを経た結果、驚きはした物の、青龍の動きがあり得ない事では無いと直ぐに切り替えられた。
「オラオラオラッ!」
ナギの拳打による雨が青龍に降り注ぐ。
「静流」
静かに呟いた青龍は自身が使う古流武術による闘法によってナギの攻撃を総て外へと受け流した。
そして、
「不知火」
腰に刺した刀をこの大会で初めて抜き放つと、その刀身による左右からの斬撃が同時に繰り出された。
ナギは咄嗟にバックステップで青龍との距離を離すが、彼女はこれを読んでいたのか更なる技を放つ。
「避けるなら上か後ろしかないよね……── 霧月」
「まずっ!?」
青龍は姿勢を低くし、刀を隠すかの様に不可視の攻撃を放った。
キンッ!!
甲高い音が二人の間で起こる。
「僕のこの技を防ぐのは本当に凄い……」
「──ったく……剣って俺の趣味じゃないんだけどな」
ナギの手には先程迄は持っていなかった黒い刀身の剣を握っていた。
「魔剣・絆絶」
絆絶……ナギが白虎の協力を経て作った魔法呪の刻まれたナギ専用の剣。
これを魔剣と名付けているのは所有者の身体を貪る物だからだった。
何故自分で作った物にそんな機能を詰め込んだかと言えば、理由は簡単だ。
代償を対価とする事によって強力な効力を発揮させる為だった。
「レベル2……解放」
魔剣に魔力を流し込むと、それに呼応するかの様に柄から大量の蔓が生え、ナギの腕に出血する程に深く食い込む。
文字通りナギを喰うかの様に魔剣は貪る。
「超回復が有るとは言え……痛てぇもんは痛いんだよな。──まぁ、お前みたいに俺は出来が良くないから、強い武器に頼らせてもらうぜ?」
ナギを喰らい、刀身には血管の様に魔法呪が走る。
「問題無い。それで僕を倒せる位になるのなら歓迎」
「……そうか。それじゃ行くぜ?」
「──来て」
暴風が吹き荒れる中、二人の闘いは次のステージへと昇った。
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