神話創生 アトラス歴1462年【538年前】4-7
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◆ナギside◇
「さぁ! Bブロックも残すところ、この戦いだけとなりました! それでは早速紹介したいと思います。──1回戦であのジン選手を降した男! ダークホースであるマルチ選手が西門より入場です」
「「「うぉぉぉぉ!!!!」」」
Bブロックも決勝とあってか、歓声が俺のいる東門迄響く。
「続いてこちらもダークホース! 何と此方も神子であるレスター選手を降したオッズ最下位男ですが、何とこの試合では圧倒的な人気を誇っています! ──東門よりナギ選手の入場です!」
俺は一気に加速して門をくぐった瞬間に跳躍。空中で何回も身体を捻り、回転を加えてカッコよく着地を決める。
「「「わぁぁぁぁ!!!!!」」」
恐ろしい程に盛り上がっている。
やはりパフォーマンスは大事だな!
「さて、両者で揃ったところで早速始めて行きたいと思います。どちらが勝ち登り、あの圧倒的な強さを誇る勇者に挑む事になるのか……それではBブロック最終試合!! ──ファイッ!!!」
開始の合図と共にマルチが俺の射程内に入って来た。
「せい!」
俺がパフォーマンスで見せた動きから、毒何て効いてないのはわかっている事だろう。それなのにマルチの動きには戸惑いや焦り等といったものは見えなかった。
「──へぇ……姑息な事する癖に良い動きするじゃねぇか」
観客の声援で気にする必要は無いのだが、マルチだけに聞こえる声量で話しかけた。
「ふん。お前の余裕っぷりを見てたら、効かない可能性も視野に入れていたってだけだ」
「そうか。──それにしてもこれだけ戦えるなら、ジンとの試合も普通に勝てたんじゃねぇのか?」
「だろうな……だが100%勝てる訳じゃない……俺は勝利の確率を100%に近づける為にこういった手段を用いてるだけだ」
「ふーん……まぁ、勝利への執念は認めるけどお前だって今俺と打ち合って自覚してるだろ?」
「……そうだな。俺はお前に勝てないかもしれない。だが100%じゃない! だったら俺が取る行動は──」
マルチは懐から2本の短剣を取りだすと、そのまま俺に切りつける。
──更に。
「──我、勝利への渇望は無限大……」
聞いた事無い詠唱を始めた。しかもその間、短剣で俺への攻撃も続けながらだ……無詠唱がある訳でも無いのに器用な奴だ。
「──勝利への欲望は無限大……」
「何の呪文を唱えてるのか知らないが、潰させて貰うぜ!」
詠唱を止める為……いや、ついでに試合も終わらせる為に一息でマルチの意識を刈りにいったが、
「──何!?」
俺は明後日の方向に吹き飛ばされる。
訳も分からないままマルチの方を見ると、2本の短剣が怪しい紋様が浮かび上がっていた。
「くっ! 魔法呪か! この時代だとかなりのオーバーテクノロジーだろ……いや、この場合はロストテクノロジーか?」
そんな事を冷静に考えてしまったが、それどころじゃ無い。こんな物を所有している奴が聞いた事も無い詠唱をしているのだから止めない訳にはいかない。
だから俺はマルチから一度大きく距離をとり、
「──炎とは生物の根源に灯される心の火。其れを扱うは生物の道理。ならば我が拳は道理となりて敵を撃ち抜こう……焔拳」
オリジナル魔法を詠唱した。
全力が出せない縛りがある中で無詠唱を見せる訳にはいかない為、しょうがないから詠唱し、そして終えるとマルチはまだ詠唱している。
「──我の欲望に呑まれて狂え」
「そんな長い詠唱、ヤベェ魔法を使うつもりか?」
もちろん俺はその詠唱を完了させるつもりは無い為、再び距離をつめて攻撃を繰り出す──今度は短剣に注意を払いながらだ。
「せいっ!」
俺の拳がマルチを捉えた時、2本の短剣に再び紋様が浮かぶと、俺は再び吹き飛ぶ。
「──くっ!? 成る程……反射か。なかなか面倒くせぇな」
制限がある中、しかも謎魔法の詠唱中の時間中にこれを攻略は難しい……。
「どうするかな……」
いっそ、本気出すか? いや、ダメだ……そんな事したら俺の正体が疑われる。
もっと情報がいる……とにかく攻めろ俺!
「オラオラオラオラ!」
焔拳を纏った拳を只管に叩き込もうとするが、先程同様に短剣に紋様が浮かぶ。
この瞬間だ! よく観ろ!
紋様は薄い鏡となって俺の姿を写し、俺を殴り付けてくる。
「そう言う事かよ! だったらこれならどうだ!」
俺は殴りつけて来た鏡の攻撃を踏ん張り耐えながら、紋様が消えた短剣に向かって再び攻撃を繰り出した。
「!?」
マルチの手から短剣が弾き出された。
そして、そんな中でも驚きはしている様だが詠唱を止めなかったマルチ。
「どうやら反射が発動した直後はクールタイムで発動出来ない様だな! そして、これでお前を守る物は無くなっただろ? だったらこれで終わりだ!」
俺はトドメを刺す為に拳を振るう瞬間……。
「そうだな、これで終わりだ。── 勝者なんて居ない」
その瞬間、俺の心臓がドクンと大きく高鳴った。
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