表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/6

3、勇者パーティーとの遭遇


 転移結晶でミランディアについた俺らは、せっかくパーティーを組んだのだからと、正式にギルドでパーティー申請をする話になった。


「実は私ね、こうやって正式にパーティーを組むのウグルとが初めてなんだ〜なんだかドキドキするな〜」


「まぁ、確かに獣人の人達はあまり大きな国には来たりしないからな、今でも異端(いたん)な目で見てくる奴はいるしな……」


 ギルドに向かう途中にも、何人かが俺たちに冷たい視線を送るものがいた。

 まるであの追放された時のみんなの目と一緒だ。


「でもいいんだ〜ウグルってすっごい強いし!頼りがいあるし!そんな人とパーティー組めるなんてミアは幸せ者です!」


「おいおい、それは言い過ぎだろ」


 実際は嬉しさのあまり、顔が赤いのを悟られないように、照れ隠しする。


「よーし!着いたぞ!ここがミランディアが(ほこ)る数多の冒険者が集う冒険者ギルドだ!」


「わぁ〜大きいね〜早く行こっ!正式にパーティーを組んだら早速クエストだ〜!!」


 子供のように俺の腕を引っ張り胸躍(むねおど)らせながらギルドの建物の中へと入っていくミア。

 そんなミアを見ていると、不思議と元気が湧いてくる。

 オウマ達に追放されたことは、とても辛かったが追放されたおかげで、ミアと出会うことができたのだ。

 そう、ポジティブに考えるようになっていった。


 しかし、ドアを開けた先にはあの勇者パーティーオウマ達の姿が目に入る。


 そのオウマ達の周りには大勢の人だかりができていた。

 どうやら、魔の森のキュクロープス討伐クエストを終えた報告をしていたようで、みんなから称賛(しょうさん)の嵐が飛び交う。


「さすがオウマさんだ!あのキュクロープスを討伐するとは恐れ入った!」


「きゃ〜〜!オウマ様ぁ〜!!素敵ぃ〜!!」


「うぉぉおお!!こいつはすげーぞ!!こりゃ魔王討伐も目前だな!!」


 そんな盛り上がりを見せる中、唯一1人だけ納得していない者がいた。


「なにあれ、どうゆうことウグル?キュクロープスは確かにウグルが倒したはずだよね?なんであの人達が倒したことになってるの?」


「わからない……けど多分、【インフェルノポーション】で致命傷(ちめいしょう)を受けて弱ったところを……でもまぁいいんだ、あの時はクエストも受注(じゅちゅう)していなかったしな……」


「でも……」


「そんなことよりちゃちゃっとパーティー申請して新しいクエスト受けに行こう!」


 なんだか俺よりも元気のないミアを見て、本当に優しい子なんだなと、改めて実感した。


「ウグルがそう言うなら……」

 

「ミア……ありがとな!ミアと一緒ならなんでもいいや」


 咄嗟(とっさ)にとても恥ずかしいことを言ってしまったんじゃないか?と不安になり、ミアの方を見ると顔を赤らめ下を向いてるのがわかった。


「こ、こちらこそありがとう……」


「と、とりあえず受付するのにあそこの溜まり場まで行かないといけないし、まずはクエストでも確認するか」


 話を紛らわせようと、クエストを確認しに行く。


「そういえばミアって、冒険者登録はしてるんだろ?ランクはいくつなんだ?」


 冒険者にはランクがあり、ランクを基準にクエストを受けたり、パーティーに勧誘したりするのが基本。


 ランク分けとしては、

 SSSランク

 SSランク

 Sランク

 Aランク

 Bランク

 Cランク

 Dランク


 で、ランク分けされており、SSSランクの冒険者はそうはいない。

 ちなみに、あのオウマでさえSSランクだ。


「私はね、こう見えてSランクなんだよ!」


「おっ!さすがだな!実は俺もSランクなんだ、まぁ実際は勇者パーティーに居座ってたおかげなんだけど」


「ウグルは最低でもSSランクの実力はあると思うんだけどな〜」


 そんな話をしていると。


「おいおいもしかしてお前、人様の真似事をする獣人とパーティーを組んだのか?ははは!笑わせてくれるな〜お前は!」


「うっわ〜獣臭がすごいんですけど〜」


「もう〜勘弁してよ〜」


 突然後ろからオウマ達が俺らに絡んできた。


「ウグル?もしかしてあそこにいた人達がウグルの言ってた勇者パーティーだったの?」

 

「ミア、悪い……今すぐここを出よう」


 ミアがひどいことを言われているのが我慢できない俺は、ミアの手を引っ張り外に出ようとした。


 だがミアは、動こうとしない。


「私には何を言っても別にいいよ!でも、ウグルとはもう関わらないでよ!」


「ミア……」


「それに!キュクロープスはウグルが致命傷を与えてたんだよ!そのおかげで勝てたこと忘れないで!」


「「「……ぶっ、ぶわっはっはっはは!!」」」


 3人の笑い声がギルドを響き渡らす。


「おいおい、ウグルがあのキュクロープスに致命傷を与えただって?ぷっははは!!やめてくれ!腹が(よじ)れるじゃないか」


「ほ、本当だもん!笑っていられるのも今のうちなんだからね!」


「ミア、もういいんだ……」


 俺は早くこの場を去りたかった。


「わかったよ、ウグル……でも1つだけお願い!」


 ミアはクエストカウンターに張り出されていた1つの紙を手に取り


「そこまで言うならこの【ベヒーモス】の討伐依頼!どっちが先に討伐できるか勝負だよ!!」


 ベヒーモスは、キュクロープスと同じく【野薔薇平原】(のばらへいげん)で注意喚起されている凶悪な魔物だ。


「はっはっは!いいだろう!あのキュクロープスを余裕で倒した俺らに勝てると思ってる馬鹿どもには現実を見せてやらないとな!負けた方が勝った奴らに土下座、追加ルールだ!」


「いいよ!ウグル、勝手なことしてごめんね……でもウグルの強さを証明したかったの……」


「大丈夫だよ、ありがとなミア、俺もいちいち暗い顔して悪かった!ミアの期待に応えるよ!」


 こうして、勇者パーティーと俺達、どちらが先にベヒーモスを討伐できるかの勝負が始まった。



お手数ですが下の方をスクロールすると☆☆☆☆☆がありますので面白ければポチッと押してくれると嬉しいです。

ブックマークのボタンもポチってくれるともっともっと喜びます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ