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2、君のそのアイテムSSS級品だよ?!


 叫び声が聞こえた方に向かうとそこには、ボロボロな体で木にもたれかかっている『女獣人(ビースト)』と注意喚起されていた凶悪な魔物『キュクロープス』がいた。


 1つ目でツノの生えた巨大な魔物が、女獣人にとどめを刺そうと近寄る。


 俺は咄嗟に【全道具召喚】(オールアイテムコール)を唱えた。


【筋力増強薬 超】

【防御力増強薬 超】

【速度増強薬 超】


 3つのアイテムを取り出し自分に【バフ】をかける。


 そして、速度が増した俺は一瞬のうちに『キュクロープス』の前に立ちはだかった。


 筋力が増加している俺は、『キュクロープス』の顔面に全力で拳を突き上げる。


 しかし、さほどダメージは与えられておらず、大きな棍棒で俺の体を()ぎ払い、大きな木に俺の体が打ち付けられた。


「くっそ!いってぇ〜!防御力めっちゃ上げてるのにこの痛さかよ!」


 どうしたものかと考える。

 1つだけこの状況を打破(だは)する方法がある。

 いままでサポートに徹していたため、攻撃用のアイテムを使ったことがないのだが、【インフェルノポーション】

 この攻撃用アイテムを取り出す。

 

「どんな威力かわからないけど!くらいやがれ!」


 俺は【インフェルノポーション】をキュクロープスに投げつけた。


 その瞬間、轟音とともに眩い青白い炎がキュクロープスを包み込む。


「グォォオオーー」


「すんげー威力だ!ってこのままだと俺らも巻き添え食らうんじゃ?」


 ボロボロの女獣人を抱き抱え急いでその場を離れることにした。


♦︎ ♢ ♦︎ ♢ ♦︎


「ーーふぅ〜ここまでくれば大丈夫かな?」


 とりあえず、一難去った俺は女獣人に【完全回復薬】(エリクサー)を振りかける。


「おい!大丈夫か?!しっかりしろ!」


「ん……ゴホッゴホッ!はぁ……はぁ……」


 意識を取り戻し、息は整えだしているが未だに苦しそうな表情だ。

 よく見ると、身体中に斑点模様(はんてんもよう)の痣があった。


「これは……まさか呪いの効果か?」


 キュクロープスには、呪いを付与する能力があることを思い出す。


「待ってろ!すぐ治るからな!」


 すぐさま【呪い除去薬】を取り出し彼女に振りかける、すると。


「こ、ここは……?キュクロープスは?!それに君は……?」


 いきなりのことで困惑しているのか、何があったのか質問責めをする彼女。


「え〜と、何から話したらいいのかな……たまたま君が危ない目に遭っているのを見かけたから気付いたら助けてた、って感じかなっ」


 一から説明すると長くなるので、単純な説明を彼女にしてあげた。


「で、でもあのキュクロープスは?それに私呪いを付与されたのに……」


「ああ〜呪いに関してはこの【呪い除去薬】でーー。」


「呪い除去薬?!そんな高価なものを私に使ってくれたの?!ありがとう……君は命の恩人だよ、何かお礼をさせて」


 とても驚いた様子で俺の手を握りしめる彼女。

 よく見ると、ほかの獣人よりも綺麗な顔立ちで、虎の耳に黄色と黒のシマシマな尻尾。

 そしてたわわに実った果実が俺の腕に……


「お、お礼なんていいから!!と、とりあえず元気そうでよかったよ……」


 俺は恥ずかしさのあまり腕を振り払う。


「そういえば!キュクロープスは?!」


「一応、この【インフェルノポーション】で足止めぐらいならできてると思うんだけど……」


「インフェルノポーション??!!君、今インフェルノポーションって言ったの?!」


「そ、そうだけど……」


「インフェルノポーションて言ったらSSS級品のアイテムだよ?!極大魔法をも凌駕(りょうが)する威力があるとかないとか!」


(これそんなすごい威力のアイテムだったの?!でも確かに一向にキュクロープスは追ってこないな……)


「あー実は【全道具召喚】(オールアイテムコール)っていうユニークスキルでいろんなアイテムを自由に出せるんだ、でもアイテムなんて買えばいい話だし、実は魔法も使えないんだ俺……」


 追放されたことを思い出し、なんだか胸が苦しくなる。


「すごいよ!!だってお店じゃ普通買えないよ?!そのアイテム!てか私も見るの初めてだし!それに恥ずかしいけど私も魔法使えないんだぁー」


 てへっ、とベロを出したお茶目な姿を見て少し元気をもらえた。


「それに私、魔法が使えないのを仲間たちに馬鹿にされたの……それで、悔しくて1人でキュクロープスに立ち向かったんだけど……」


 どうやら俺と似たような境遇(きょうぐう)だったらしく、彼女に親近感(しんきんかん)を覚えてしまった。


「実は俺もなんだ……アイテムを無限に出せるってだけが取り柄でさ、さっきパーティーを追放されちゃったんだ……お前はただの便利な道具だって……」


 初めて遭ったばかりなのに弱音を吐く自分がいた。

 こんなこと初めてだ。


「そんなひどいパーティー抜けて正解だよ!君の力を見誤りすぎでしょ!そうだ!!お礼の代わりに2人でパーティー組まない?それで私たちのことを馬鹿にしてきた奴らを、驚かせちゃおっ!」


 俺も小さい頃の夢だった冒険者をこんなことで辞めたくはない。

 それに彼女は信用できそうだ。


「わかった!これからよろしくな!俺の名前は『オールド・ウグル』ウグルって呼んでくれ!」


「私は『サエル・ミア』虎の獣人(タイガービースト)なの!魔法はダメだけど近接戦に関しては自信あるんだよ!よろしくね!」


 こうして、虎の獣人(タイガービースト)の『ミア』とパーティーを組んだ俺は【転移結晶】を使って俺の住む国【ミランディア】へと転移した。





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