1、ただの道具と言われ追放されました
世界には魔法以外にもスキルというものが存在する。
その中でもユニークスキルは珍しい。
そんな俺は、ユニークスキル【全道具召喚】を扱うことができるのだが、魔法は一切使うことが出来なかった。
しかし、サポートアイテムを無限に呼び出し有効活用することで勇者の『スボラス・オウマ』に認められ、勇者パーティーに入ることができた。
小さい頃からの夢だった冒険者、しかも勇者パーティーに入ることができた俺は、喜びと嬉しさで舞い上がっていた。
しかし数年後……
勇者のオウマに呼び出された俺は、とある酒場に足を運んだ。
オウマの他にもパーティーの仲間たちが俺を見ている。
「どうしたんだ?大事な話があるって……」
俺が口を開いた瞬間、一斉に笑い声がとんできた。
「キャハハハ、大事な話ってことで呼んだの?まじウケるんですけど」
「こいつにとっては大事かもねぇ〜うちらからしたらどぉ〜でもいいけど」
何を言ってるんだ?この2人は。
『マリナ』と『アリス』最近やけに俺に突っかってくる。正直少し苦手な奴らだ。
けど、オウマはそんなことない、昔から俺を大事に扱ってくれていた。
「俺らもだいぶ金に余裕が出てきた、だから『ウグル』お前はもう用済みなんだよ」
「な、何を急に……俺が何したっていうんだ?」
衝撃の言葉を言われて頭が追いつかない。
確かに色々なクエストをこなして、お金や装備もだいぶ豊富になってきた。
しかし、だからと言って俺を用済みとは……
「何かしたかって?逆に何もしてないじゃないかお前は!アイテムなんてものはな!金があれば道具屋で買えるんだよ!言ってる意味わかるか?」
「じゃあなんで最初っから俺をこのパーティーに入れてくれたんだ!」
「は?なんでって、アイテムの節約に決まってんだろ?お前はただの道具にすぎないんだよ!ばぁ〜か!」
「そうそう、アイテムしか使えない能無しは勇者パーティーにとってはただの恥なの、わかる?」
「冒険者じゃなくて道具屋さんにでもなればぁ〜?なんで冒険者になったのかずーっと不思議だったのよねぇ〜頭悪いんじゃない?」
「「「はははは!!」」」
最近オウマでさえも、俺に冷たく当たっていたのはこういうことだったのか
最初の頃はみんな優しくていいやつだったのに。
あれはぜんぶ嘘だったんだ。
「で、でも俺の回復アイテムは普通じゃ中々手にすることはーーーー」
"ドガッ"
「黙って出てけよ、結構便利な道具だったよ」
話を遮られ、腹を蹴られた俺は尻餅をつく。
そして、理不尽にパーティーから追放宣告を受けた俺は、この状況に耐えられないのと、悔しさのあまり国をとびだしていた。
「どうして……どうして!!ただ俺はあいつらに道具として扱われてただけだったのかよ!うわぁぁぁぁああ!!」
大声をあげ、無我夢中で走り続け、
何もかもどうでもよくなってしまい、しばらく涙が止まることはなかった。
少し落ち着いてきた俺は、気がつくと凶悪な魔物『キュクロープス』が出ると注意喚起されていた、魔の森に迷い込んでしまっていた。
「いつの間にかこんなとこまで来ちゃったか……流石に1人でここにいるのはまずい」
そう言って、【転移結晶】を取り出す。
「けど、あそこに戻ったところでこれからどうすればいいんだ……」
転移結晶を握りしめたまま、途方に明け暮れていると、遠くの方で大きな物音がした。
"ズシャァッ"
"ドンッー"
「まさか……!近くにキュクロープスが?」
このままここにいるのはまずいと思い、転移結晶を発動させようとしたその時。
「キャァっ!」
女性の叫び声が聞こえてきた。
もしかしたら襲われてるかもしれない、俺は気付けば声のする方へ、走り出していた。
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