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08話『国王の苦悩①』


 勇者パーティが旅を始めた五日後。

 国王の部屋に、宰相が大慌てで駆け込んできた。


「陛下! 大変です!」


「何事だ」


「勇者パーティが街を壊滅させました!」


「……は?」


 国王はポカンと口を開けたまま硬直した。

 よほど慌てて来たのだろう、宰相は全身汗だらけになっていた。肩で息をしていた宰相が落ち着いてきた頃、国王の止まっていた思考が再び動く。


「ど、どういうことだ? 説明しろ!」


「それが、その……ユリウスが言うには、旅の途中で魔王の配下と思しきモンスターと遭遇し、戦いになったようですが……」


 宰相は気まずそうな顔で続ける。


「……戦いの余波で、街は壊滅。観光地となっていた湖は消滅し、付近にあった森林も焼き払われました。幸い、住民は避難済みですが……多額の賠償金を要求されています」


 想像を遥かに超えた報告に、国王の顔はみるみる青褪めた。


「な、ななな、なんていうことだ……!」


 国王は、勇者パーティが活躍すれば必ず自分に報告するようにと、宰相に命じていた。しかしまさか記念すべき第一報が、成果ではなく被害に関するものだったとは。


「ユリウスには通信石を持たせていたな? すぐに通信を繋げろ! 直接、話を聞く!」


「そ、それが、通信を繋げると街の住人が対応しまして……どうやらユリウスは過労で倒れているようです」


「過労!? 旅を始めてまだ五日だぞ!?」


 どんなスケジュールで働けば五日で過労になるんだ。

 国王にはまるで想像がつかない。


「ちなみに、ユリウスの最後の報告によりますと……勇者は『あっちで助けを求める声がする!』とだけ告げて失踪。戦士はモンスター狩りに没頭しており会話が不可能。魔法使いは街の蔵書を全て読むまで頑なに移動しようとせず、僧侶はいたずらに死者を蘇らせて更なる混乱を生み出しているようです」


「お、おぉ、おぉぉ……なんだそれは……頭が追いつかん」


 伊達に勇者パーティではない。

 問題の大きさが規格外だ。


「な、何故だ。どうしてこうなった? ユリウスは何をしていたんだ!?」


「どうやら、ユリウスが何を言っても、メンバーたちは『ネットならそんなこと言わない』『ネットの言うことしか聞きたくない』と返事をするようでして……指示通りに動かなかったそうです」


「ぐぬぬ……あの男、洗脳でもしたのか……!?」


 数日前にパーティから追い出した、ネットという男のことを思い出す。

 これはあの男の仕業だろうか? そう言えば、あの男は「あのパーティは、俺が制御する前提で集めたメンバーばかりです」と言っていた。やはり勇者パーティは、ネットにしか制御できないのだろうか。――否。


 ネットは何の取り柄もない人間だ。実際、インテール王国ではこれといって目立った功績を残していない。


 あのような男でも、パーティのメンバーたちを制御できたのだ。

 ユリウスにできない筈がない。


「……ユリウスが回復した後、このように指示を出せ」


 落ち着きを取り戻した国王は、冷静に告げる。


「相手はS級冒険者といえど、同じ人間だ。あまりにも命令違反をするようなら、厳しい罰を与えよ。……いざという時は私の権力をちらつかせても構わん」


 国王の命令に、宰相は首を縦に振る。




 数日後。

 ユリウスが重傷を負ったという報告が、国王の耳に届いた。


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