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19話『国王の苦悩②』


 インテール王国の王城にて。

 王の執務室に、宰相が慌てた様子で駆け込んできた。


「陛下! 報告です!」


「聞きたくない!!」


「勇者がまた町を壊滅させました!」


「あああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」


 国王は威厳を捨てて叫んだ。豪奢な椅子から転げ落ちて頭を抱える。

 そんな王に同情を抱きつつも、宰相は報告を続けた。


「報告によると、勇者パーティはエドウィン鉱山の中腹で、魔王の配下と交戦したそうです。しかし戦いの余波により、大規模な土砂崩れが発生。幸い、魔法使いのリズが住民を避難させたため、犠牲者は出ませんでしたが……住民は助けても、町は一切守らなかったようで……」


「どうしてそんな危険な戦い方をするんだ!! もう少し周りに気を使えんのか、あいつらは!?」


 それはもう一度目の報告の時点で分かっていた筈だ。

 国王は額に手をやる。


「通信石を持って来いッ! ユリウスに話を聞く!!」


「ユリウスは鬱で倒れています」


「倒れたいのは私の方だ!!!!」


 国王は強く床を踏みつけた。

 そうでもしないと怒りが爆発して発狂してしまいそうだ。


「くそ、忌々しい……! 他のメンバーは今、何をしている!?」


「大体は前回と同じです。勇者はまたどこかへ失踪し、戦士は山の頂上に棲息している伝説のモンスターへ挑戦しに行きました。魔法使いは洞窟の奥で新魔法の開発に没頭しており、僧侶は墓地に眠る死者を蘇らせて連日お祭り騒ぎとのことです」


 随分と楽しそうなことをしている――こちらの気も知らずに。


「やはり、奴らはユリウスの指示に従う気がないのか」


「……はい。相変わらず、ネットを引き合いに出して拒絶されます」


 国王は顔を顰めた。

 一点だけ認めなくてはならないことがある。ネットの影響力は、自分たちが想像していた以上に強かったようだ。


「いっそ、ネットを亡き者にするか」


 ボソリと、小さな声で国王は呟いた。


「何の取り柄もない、あのような男が勇者パーティを制御できる筈もない。……洗脳か、或いは弱みを握って脅迫しているのか。……いずれにせよ、いつまでもあの男に引き摺られるようなら、いっそあの男の存在を消してしまえばいいのだ。そうすれば、少しは勇者パーティのメンバーも頭を冷やすだろう」


「しかし、それは少々過激では?」


「馬鹿を言うな! 元はといえば、勇者パーティは奴が集めたものだ! あのパーティの行動の責任は奴にもある! これまでの損害を考えると、十分極刑に値する大罪だ!」


 国王は怒りの感情を露わにして叫んだ。


「それにあの男は、以前から気に入らなかったのだ! 娘をたらし込んだ糞餓鬼め……絶対に許さんッ!!」


「……それが本音ですね」


 宰相が小さく溜息を吐く。


「しかし、亡き者にするといっても、どうするつもりですか? ネットは既に国外へ出ているとの情報ですが……」


「……確か奴は今、エーヌビディア王国にいるんだったな」


 ネットの行方については既に掴んでいた。港町に駐在している衛士から、エーヌビディア王国行きの船に乗ったという報告があったのだ。


「それならいい手がある。……エーヌビディア王国は、我が国に大きな借り(・・)があるからな」


「……成る程。あれを利用するつもりですね」



 墓場でディスコする僧侶。




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