表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
調律師と隊長  作者: 鳥飼泰
本編
1/11

序. 隊長が陥落した日

王都の郊外にある森で、怪異が起こっているとの報告が上がってきた。

森に隣接する村からの要請もあり、軍の調査隊が派遣されることが決定され、シロウは隊長として四人の部下を引き連れて向かうことになった。


シロウは、よく人から怖がられる。目つきが悪いのに加え、軍人として鍛え上げた体躯で威圧感があるらしい。特に初対面の女性であれば、ほぼ確実に怯えられるのが常だった。


街で住民から聞き込みをしていても、相手が怖がって口をつぐんでしまうこともあるので、同期の魔術師に任せるしかないこともある。この同期は顔が穏やかで雰囲気も柔らかいので、人気があるのだ。


さすがに軍の部下たちはシロウのことを怯えたりはしないので、周りはむさくるしい男ばかりになってしまった。

このままずっと、女性とは縁のない人生を送るのだろうとシロウは思っていた。



だが、調査隊として派遣された森で、アキに出会った。




「怖くはありません。あなたのような目は、セキレイの目というのです。鋭く凛々しい、武人の目です」

「セキレイ……?」

「狩りに使われる鳥です」


よほど博識なのか、アキはシロウも聞いたことのない鳥の名前をさらりと上げ、凶悪なこの目を武人の目だと褒めてくれた。


「私はあなたが剣を振るところを見たことがありますが、そのときの鋭い眼差しと剣技は、思わず見惚れてしまうほどでした」


どこでシロウの剣技を見てくれたのかは分からないが、自分の専門を認められて嬉しかった。


「あなたは素晴らしい武人です。なんら恥じることはないと思いますよ」

「…………そうか。部下たち以外にそういったことを言われるのは初めてだな。ありがとう」

「わ、隊長さん、その顔いいですよ。笑顔がとても格好いいです!」

「……っ、からかうな」


そもそも女性の前で笑うなど滅多にないことだが、さらに笑顔を褒められたのは初めてのことで、シロウは顔に朱が上るのを感じた。

シロウの笑顔を褒めながら笑うアキのその顔こそ、とても魅力的だと思った。




その後、もう一度アキに会いたいと、シロウは森に隣接する村を探し回った。だが、なぜか一向に見つからない。


(アキは村の住人ではなかったのだろうか…………)


たった一度の邂逅で、シロウの思いは募る一方だった。


第一話も、同時に投稿しています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ