プロローグ
ミステリアスな感じで書いていきます。
ピピピ ピピピ ピピッーー
1DKのアパートの一室、生活に必要最低限の物しか置いていない寂しい部屋。
俺はそんな中目を覚ました。
シングルサイズのベットから降りると何となくいつもの癖で時計を確認する。
午前の7時30分。いつもなら急いで朝食を取り仕事へ向かうのだが今日は違う。厳密に言えば今日から違う。
先週末に俺は会社に辞表届けを出した。
会社も少しばかり止めてくれると思っていた。しかしそんな事は無く、あっさりと俺は会社を辞める事に決まった。
どうせ、俺が居ても居なくても変わりはしないのだろう。
冷蔵庫を開け昨日の夕食の残りをレンジに入れる。レンジの中でクルクル回る朝食を見つめこれからの事を考える。
特にこれと言ってやりたい事があるから会社を辞めた訳では無い。何にも決まっちゃいない。
ただ、あの会社に……いやこの社会に嫌気がさしたのだった。
朝食を食べ終えた俺は椅子から立ち上がる。
ただ腹を満たす為だけのご飯。決して美味しいと感じる事は無い。
5年前のあの出来事を知った時からずっとこうだ。何を食べても味がしない、何をしても楽しいと感じる事はない。
世界から色が消えたのだ。
赤色や青色、緑色といった『色』では無い。生きているという実感、その全てが失われた。
「掃除でもするか……」
ボーッと立っていた俺はボソッと呟くと掃除を始めた。
掃除を始めて10分、元々何も無いこの部屋を掃除するのにそこまで時間はかからない。
後はタンスの中ぐらいか……。
上の段は昨日まで着ていたスーツが2着入っている。そうえば下の段は何が入っているんだろう。俺はタンスの下の段を開ける。
「これは………」
タンスの中には俺が昔着ていた古い服がグチャグチャに入っていた。そして、その上には小さな手紙が1枚。綺麗な文字で『佐藤様へ』と書かれていた。
この手紙を見た時からだ。この手紙を見た時から俺の全ては失われた。
味覚を奪われ、聴覚・視覚も衰えた。最近では感情すらも………
『待ってるからっ‼︎』
不意に彼女の声が聞こえ、俺は後ろを振り返る。
聞こえるはずのない声、居るはずのない人。
そこに彼女はーーー居なかった。
行かなくては……。
俺は義務のようなものを感じていた。
彼女の住む町に、いや住んでいた町に。
俺のふるさとにーー
10部ぐらいで完結します。(多分)




