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05_その主張、誰にとって都合がいいもの?


 前項【04】の延長だ。

 誰かのためを思っての言動は、結局のところ、出した人間のワガママに過ぎない。

 それが受け取る側にも都合がよければ、『善意』になる。

 都合が悪ければ『迷惑』になる。



 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



 また【01】から表を持ってきて、テンプレ擁護/批判の、レベル別それぞれの主張者を一覧にしてみよう。(偏見含む)



【過激】肯定


③テンプレ作品否定するヤツはこのサイトに来るな!

②楽しんでるんだからケチつけるなよ。

①まぁ楽しめるからいいや。

【穏当】中立

①テンプレもそろそろ飽きてきたかなー

②テンプレ飽きた。スコップするのもめんどい。なんとかならない?

③ランキングがテンプレばかりなのなんとかしろ!


【過激】否定



 次、感想欄での批判是非について。



【過激】肯定


③批判こそが我が生き甲斐!

②面白くなければ批判もするわ

①小説投稿してるなら、批判も出てくるでしょ?

【穏当】中立

①気にしなけりゃいいんじゃね?

②批判の気持ちはわかるけど、楽しんでるのに水を差すな。

③批判する読者は排除せよ!


【過激】否定



 どっちが悪いか?

 そう聞けば、あなたは自分とは反対側の派閥を挙げるに決まってる。


 このサイトをどういう形にするのがいいか?

 そう聞けば、あなたは自分の考えを挙げるに決まっている。


 不毛なことにしかならないので、このエッセイでは、その結論はどうでもいい。

 というか、読者・作者をひっくるめて、サイト利用者個々人の意見は、ハッキリ言えばどうでもいい。

 無視できない言葉ではあるが、あくまで参考までだ。

 それぞれが手抜きをしたいがために、好き勝手なこと言ってるだけだから、まともに相手をするべきではない。



 ということで、ここでようやく、最初の話に繋がる。

 「小説になろう/読もう」などのサイトは、ヒナプロジェクトの管理下にある。

 いくら利用者ありきだとはいえ、株式会社ヒナプロジェクトの私有地だ。

 作者はその私有地を間借りして大道芸を披露しているだけで、読者はその大道芸を見ておひねり投げているだけ。

 利用者の意図を汲んだとしても、決して無視してはならない、企業の意図や都合がある。


 で。ここでヒナプロジェクトの都合を語らなければならないのだが、その話をする前に、これまで触れることができなかった部分に触れる必要がある。


 出版社、編集者といった、掲載作品を世に売り出す立場だ。

 ヒナプロジェクトが独自に大手レベルの出版社を持たない限り、その影響力は決して無理できない。一般人のクチコミだけでなく、作品出版によって出版社もサイトの宣伝をしているようなものなのだから。



 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



 出版社にとって、このサイトがテンプレでばかりであるか否かは、あまり大事ではないと思う。


 書店行けば異世界モノのコーナーができているほど。

 流行だから異世界モノ出せば売れやすい、という流れは現状、間違いなくある。


 だけど、売れるものであれば、それでいいのだ。

 異世界テンプレチーレムである必要性は、特にない。


 これを数字、お金の問題として考える。

 出版に必要な初期費用を売り上げで回収できる採算(ペイ)ラインをクリアすることは、よほどの無茶がなければ、そう難しいことではない。当たり前の話だが、それが最低レベルだと想定して販売計画を立てる。それでも現場の方々から「苦労も知らないで」と言われかねないだろうが、そこは流す。


 ケース・バイ・ケースだから一概には言えないが、ラノベだと5000~7000部が採算ラインだとはよく言われる。

 なので、採算ラインのクリアだけならば、そう難しくはない。なろう発の場合、ネット閲覧時の読者がお布施として購入するのが一定数見込めるのが心強い。


 しかも編集者ひとりの担当作品はひとつではない。

 出版社全体で言えば、担当をいくつも抱えた編集者を何人も抱えている。

 ひとつひとつの利益は薄くとも、(ちり)も積もれば山となるの、薄利多売方式で利益を上げられる。


 ただ、これが1万部、5万部を売ろうとしたら、途端に苦しくなる。

 なにせネット掲載読者を当てにせず、新規の読者を獲得していかないとならないのだから。


 個人的には、むしろ異世界テンプレチーレムから外れたほうが売れる可能性が高いのではないかと思う。

 だって同じ系統の本を出版したら、書店のコーナーで埋もれるだけじゃん。知らない人から見れば、他のなにと違うのか理解できない、よくある大多数のひとつになるだけ。

 それなら全く違う要素で目立たせたほうが、顧客獲得に繋がると思う。



 採算ライン超えればいい。後どれだけ売れるからは運に任せる。

 展開を考えてウン万部以上は売る。

 そのあたりの販売計画や考え方の違いは、会社の方針であったり、作家や編集者個人のやる気であったりで、状況次第で大きく異なる。


 なので内容がテンプレでなければならない必要性はない。

 テンプレの是非についても、出版社社員の個人の好みと言っていいだろう。


 というか、そんな(かたよ)った見方は、出版社の社員としてダメな部類に入るぞ。

 いま現在が売れているからと、そればかりを追いかけていたら、次に売れるものを見つけられないのだから。次に売れるものを発掘し売り出すのが一流で、流行を追従するしかないのは二流の仕事だ。



 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



 一方、批判感想の是非。

 これは断言できる。

 出版社・編集者の立場でワガママを通すなら、このサイト内でガンガンに飛び交ったほうがいい。


 外部サイトだが、以下の記事を参照していただきたい。


【出版ノルマに追われて……ライトノベルは「編集者の代筆が当たり前になっている」という惨劇】

(LibedoorNEWS http://news.livedoor.com/article/detail/14302269/)

(日刊サイゾー http://www.cyzo.com/2018/02/post_151237_entry.html)


 記事内容の真偽とか、これがイチ編集者の意見で業界全体では様々な意見があるとか、それはどうでもいい。


 読み取るのは、誰も否定しないであろう当たり前の、以下2点だ。


・編集作業に時間が必要

・作家の執筆姿勢/進捗が、編集者の仕事にも影響


 ネット発だろうが別媒体公開だろうが完全未公開だろうが、編集者にとっては、既に最終的な完成品があって、右から左に転がして会社に金が入ってくるのが、一番理想的な仕事だ。

 デザイナーや編プロ、流通や製造工場への発注やスケジュール調整以外の部分、仕事の半分は終わっているのだから。


 なろう発の場合だと、サイト掲載段階で、既に作者⇔読者間で意見が交わされて、編集・校正作業が実質終わって、「いろいろ付け足せばすぐ出版できます」という状態になっていれば、言うことはない。

 未出版という意味でも出来の意味でも、不世出の作品。そんなのがどこかに転がっていたら。それは出版社社員なら誰もが思い描く幻想だ。

 だから批判を繰り返し、作品のクオリティが高くなっているに越したことはない。


 とはいえ、現実に完成品の傑作が転がってるなんてありえない。編集者は発掘し、編集の仕事をしないとならない。

 そして編集作業の半分は批判だ。

 編集時、様々な事情と併せて考え、必要がある場合は物語を改変していく。

 その時、作家個人の思惑は大事ではない。最大限の配慮はしてくれるだろうが、ダメだと思われた部分を覆すのは不可能と思っていい。編集者個人のワガママであるなら、話し合い次第で(くつがえ)ることもありうるが、社会的常識と併せて考えての変更であれば、作者のワガママは通らない。


 なので、批判に対して寛容な作者を望むに決まっている。

 編集者は、個性的な物語を作り出す個性的な作者は歓迎するが、我の強い性格まではお呼びではない。

 そこは公私を区別して我慢するか、拒絶するかは編集者個人次第だが、一緒に仕事するパートナーとしては悪い部類に入るのは違いない。

 誰だってそうだ。編集者だって人間なのだ。

 いくら優秀で美味しい思いをさせてくれる人でも、社会不的確な偏屈者と進んで関わる人間は少ない。できれば関わりたくはないに決まっている。

 編集者の視点で見れば、作品のクオリティだけでなく、作家の人間性も無視できない問題なのだ。


 で。実際編集者が作家の人間性を見るために、マイページの活動報告や、作品の感想欄を活用しているに違いない。

 作品を読んだだけでは読み取れない、作家の人間性が知れるのに、それを活用しないはずはない。

 これまで関わったことのない仕事のパートナーを選ぼうと思えば、未知の事態に編集者も不安になるのだから。


 感想欄で批判されて、それを放置したり拒絶したりするのをすれば、編集者は「出版の声かけても同じことされそう」と悪印象を抱くに決まっている。



 しかもだ。

 そんな簡単に言えることはできないけど、ふたつの作品のクオリティが同じ程度だとすれば。

 批判に前向きな作者と、批判に後ろ向きな作者、編集者がどっちの作者の採用を考えるかというと、どう考えても前者だろ?

 テンプレ大流行なこのサイトは、いくらでも代わりがいるのだ。興味ない読者からすれば「異世界テンプレってみんな同じだろ?」と言うレベルだ。

 その作品の出版にこだわる必要なんてまるでない。

 無理して未熟/打たれ弱い/仕事できない予感を覚える作者と付き合う必要性なんてなく、「この人とだったら仕事しやすそう」とも思える作者を選べばいいのだ。



 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



 サイト管理者のワガママ?

 それは締めの話なので、ここでは割愛。

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