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03_創作とはオタ趣味の究極であり、最悪の極地である


 唐突な脇道の話だが(このエッセイの8割以上は唐突と脇道でできています)。


 自分はこのサイトにおいて、「作品投稿は趣味」という言葉を、全く信用していない。

 

 一度も投稿したことのない読者が勝手に言ってる分は、どうでもいい。

 でも作者が言ってる場合、反射的に「ウソつけ」と思う。


 自分の作品に書籍化の話が来たと仮定して、「趣味ですから」「プロの領域に踏み込む気ないです」「書籍化作業めんどくさいです」って辞退する自分を想像できるか?


 無理なく想像できるなら、本当に趣味で小説書いている人だろう。疑って悪かった、申し訳ないと頭を下げる。

 想像できるならな?

 


 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



 『趣味』という言葉を定義しようと思えば、実は意外と難しい。特に昨今では。


 一般的には金銭を稼ぐ手段とは一線を画す、お遊びを示すだろう。

 しかし『趣味と実益を兼ねた』と呼べる形になると、それは『趣味』と呼べるのか?

 趣味が高じて、金銭を稼ぐ手段にまでになることは、珍しくない。

 就職などで本業を選ぶ時にも、そういう視点で就職先を選ぶ場合も珍しくない。

 実際そこまで形ならなくても、実益に結びつけようとする意思がある段階でどうなのか?


 その答えは各人次第だから、ここでは触れない。触れても仕方ない。


 

 ここで語りたいのは、()()の創作活動は、趣味としては相性が悪い。最悪とまで言っていいことだ。


 趣味とは基本的に、他人を楽しませるものではなく、自分が楽しむものだ。ここは異論ないだろう。

 そして趣味とはなにか?

 ここでは蒐集(しゅうしゅう)と定義しよう。

 骨董品や特定コンテンツのグッズ蒐集のように、実際に物を集めるだけではない。

 読書やクイズなどは、知識の蒐集だ。

 アウトドアや旅行などは、経験の蒐集だ。

 他人にはガラクタに見えないモノ/コトでも、その人にとっては価値のあるモノ。

 人に()る部分は大いにあるが、他人の理解は求めていない。その良さを理解できない相手にまで求める必要がない。

 「そっとして」と言っても大して問題はない。


 小説に限らず、絵や音楽などまで含めての創作活動は、旧来もならば、そう言えた。

 例えば、あるマンガが好きなファンがいる。

 発売されている全巻を取り揃え、なにかの折に作者のサインを手に入れ、関連グッズも取り揃えた。同好の人間とのオフ会やイベントにも参加している。

 物質的な蒐集から知識の蒐集が始まり、経験的な蒐集へも手を伸ばす。

 そこまで行き着いたファンは、どこに行き着くか?

 新たな物と経験を求めて、自炊を行う。(今は『自炊』っていうと、別の意味になるけど)

 自己満足のために、二次創作を行う。生産/加工を自分で行う三次産業化だ。

 ここまでなら、なにも問題はない。


 問題は、現代はネット社会になり、更にSNSの発達で、趣味の産物を世間に公開するのが容易なことだ。

 理解が得やすい同好の者だけに留まらず、興味のない者への公開がデフォルト。生産/加工/流通までを行う六次産業化している。


 ここまでくれば、他人を楽しませるエンターテイナー的思考や、訴求力といったコミュニケーション/マーケティング的なものが必要になる。

 つまり、他人の理解を前提としている。

 「そっとして」では成り立たない。


 現代では創作活動が趣味として相性が悪いと論じるのは、こういう意味だ。



 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



 このサイトに限った話に移ると、議論が起こる大元は、この「そっとして」が問題だと言っていいだろう。


 ランキングが異世界テンプレチーレムばっかりだ。

 そっとして。嫌ならこのサイトに来るな。


 なんでこんな作品がランキングに載ってるのかわからない。

 そっとして。素人が趣味で書いてるんだから。なら本屋にでも行け。


 「批判するな」とか意味わからん。

 そっとして。楽しんでるのに野暮なこと言うな。


 こんな感じで。


 うん。それ、『キモオタ』って(さげす)まれる趣味人の思考そのままなんだが?



 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



 他にも色々とあるだろうが、度の過ぎたオタク人種が嫌われる理由は、おおよそ以下だろう。



①興味がそのコンテンツ周辺に(かたよ)っている。

 仲間内でしか分からない事を得意げに語る。


②一般常識に(うと)い部分があり、コミュニケーション能力が未成熟。

 コンテンツに詳しくない者を見下しているようにも思える。


③好きなコンテンツを否定されると不快感を(あらわ)にする。


④服装に無頓着。

 不潔なイメージがある。



 理解できない他人の趣味に対して、多くの人々はそんなに狭い許容心ではない。

 実際の人間関係の中で、理解できない相手の心理をなんとか理解しようとするなんて、夫婦・恋人間でもどれほどやってるか怪しい部分だ。

 ハッキリした嫌う理由があるか、偏見の持ち主でなければ、ほとんどは「迷惑かけなきゃご勝手に」で終わる。


 しかし現実には、『キモオタ』などと(さげす)み、そのコンテンツそのものも(こば)む一定層がいる。


 ということは、だ。

 その人は最初、コンテンツへのアンチではなかった。

 理解できない趣味に対して理解しようと努力するほど、ほとんどの人は暇ではない。


 まず、なんらかの切っ掛けで、コンテンツのファンに嫌悪感を抱いた。

 そこからコンテンツそのものへの偏見が生まれ、嫌うようになった。

 こんな流れだと考えるべきだ。



 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



 上記キモオタ特徴①~④の根本は実は同じで、「他人のことを欠片も意識しない」という共通項がある。


①自分の『好き』しか語れない人間はどう見られるか?

②自分の好きなこと以外 (相手の興味)に興味を持てない人間はどう見られるか?

③自分の『好き』を押し付ける人間はどう見られるか?

④自分の好きなこと以外 (服装)に興味を持てない人間はどう見られるか?


 この辺りの自己認識能力がゴッソリ欠けている。

 で。他者からの認識では、「迷惑かけなきゃご勝手に」の範囲を超えているから否定するのだ。


 このサイトで起こってることも同じだ。

 当人は「迷惑かけてない」と主張だろうが、周辺からは既に迷惑と受け取られている。


 電車内とかファミレスとか飲み屋で、異様な盛り上がりをしている連中をウザいと思ったことくらいあるだろう?

 あれと同じだと思えばいい。


 自分周辺だけを見てプライベートな空間にいるつもりで、自分たちの主義主張を、公共の場で大騒ぎしているのだから。

 しかもインターネット上、つまり日本全国、全世界に聞こえる大声でだ。

 「うるせぇ」と文句ぐらいあって当たり前だ。


 盛り上がってる内容が「こんな場所で話すことではない」と思われれば、反論が返ってくるさ。

 仮に飲み屋で「二〇歳以上の女はババァ」とか盛り上がってる野郎どもを想像してみろ?

 そう思うのは個人の嗜好だから止めることは不可能だけど、良識と行動力ある人間は盛り上がりに水を差すために口を挟むだろうし、二〇歳以上の女性から物と一緒に罵声が飛んできても不思議ない。



 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○



 キモオタ心理で無視してはいけない点がもう一点ある。

 上記で列挙した内容では、①と③で顕著だ。

 自分の趣味を相手が理解できないなら「そっとして」と望む心理だが、これは相手の同意を求めていないのと同時に、逆に一定レベルまでは同意を求めているのだ。



 【01】項で示した内容をもう一度。



【過激】肯定


③信者:認めないヤツは全員敵だ!

②ファン:オレは好きなんだからグダグダ言うな。

①好き:嫌いな人もいるだろうけど、オレは好き。

【穏当】中立

①嫌い:好きな人もいるだろうけど、オレは嫌い。

②アンチファン:コンテンツはどうでもいいけど、そのファンが嫌い。

③アンチ:全てを否定しないと気がすまない!


【過激】否定



 この場合、できることなら相手が、肯定LV①以上の立場になればいいとは思うけど、そこまでは求めていない。

 けれども否定側に立たれるのは拒絶し、中立(LV0)でいることを求めている。


 自分が好きな趣味の素晴らしさを、世間も理解してほしい。

 この趣味が好きな自分を、世間も認めてほしい。

 認められないなら、せめて批判しないで。


 こんな感じだ。

 上記の、「他人のことを欠片も意識しない」という嫌われる努力を重ねているのに、それでいて嫌われたくない、という矛盾した心理になる。

 聖人でもないごく一般の人々は、そんな自分勝手を許容できるほど、心は広くない。

 というか、「嫌いにならないで」と言っている人こそ、自分の興味以外の分野で心は広いのか、はなはだ疑問でもある。

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