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楽園を略奪されたので奪還します  作者: 留意茶
前章:過去のあんな事こんなこと
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7歳・森の異変解決

【森・西】

 みなさんこんにちは、リュークです。

 ただ今私達は西に来ました。

 明らかに雰囲気が異常です。

 青黒いモヤみたいな霧?がでています



「おい、どうして瘴気が溢れてるんだ!」


「浄化装置の異常だろ。」


「ヨハン兄さん、それ、洒落になりません。」


「リューク、よく聞け、瘴気ってのは人の負の感情の集まりだ。」

「ここから魔物・・・モンスターが生まれるわけだが」

「この濃さだと相当強いやつが生まれると思われる」

「お前のおかげで異変に気づけたからな。感謝するぞ」

「そしてこれが本題だが。お前を守りきれる自信が無い」

「家に帰らないか?」


「いや、帰らないよ。

  僕はこの異変の原因を知りたい。

  それにどうせ、知らなきゃ教えてくれないんでしょ?」


 僕がそう言うと、父さんは笑い始めた。


「さすが俺の息子だな。そうだな・・・

 これが解決したら教えてなかったことを教えてやろう。」


「約束だよ」


「ああ、約束だ。」


「このままだと何が起きるかわからないからな。一気に移動するぞ!!」


「わかった」

「了解」

「おう」


 そうして森の中心部へと僕達は駆け出した。



【森・中心部】


「瘴気が酷いな・・・」

「父さん、封印が見えました。」

「どうだ?」

「それが・・・割られてます」

「ちっ、予想通りか」

「どれくらいで修復できますか」

「1時間だ」

「ヨハン、リューク、1時間の間、何があっても父さんを守り抜きますよ」


 父さんは封印をもう1度かけるそうで、岩の方で作業を始めました。


 父さんが封印と呼んでいた巨大な岩は、

 高さ約4mで、半分に割れていた。

 中には牛の頭の魔物の石像があった。


「ミノタウロス…」

「あぁ、あれは本物だぞ」

「ヨハン兄さん、本当なの?」

「大昔に封印されたんだよ。」

「さらにいうとあいつが封印・・・浄化装置の本体だ」

「あれが復活したらどうなるの」

「石像が割れたら、か。殺すな」

「そうですね。」

「殺しちゃうんだ・・・」

「浄化装置は作れるからな。」

 そんなことを軽く言うってどういうことなの……

「ねえ、あそこ。瘴気が波打ってない?」


 僕の視界にはうねうねと波打つ瘴気が見えていた。


「ヨハン!アル!リュー!気をつけろ!魔物が出るぞ!!」


 父さんのそんな叫び声が聞こえた瞬間

 瘴気の中から大量のモンスターが湧き出てきました。


「アルフレッド、どうする?」

「兄さんは遊撃でお願いします」

「リューは援護だ、頑張れよ!!」


 そう言って好戦的な笑みを浮かべる二人の兄は、いつもよりも頼もしく見えます。


 《アクセル》《アクセル》《ブースト》《ブースト》

 《ヒールボール》《ヒールボール》

 《スパイクシールド》《スパイクシールド》


 そして僕が2人に補助魔法をかけ終わると同時に戦闘が始まりました。


 《ブースト》《アクセル》《バリアー》

 早々と自分に補助魔法をかけたはずだというのに既に正面には五体の犬型モンスターが。

 《エレキボール!》

 モンスターの姿を確認すると同時にエレキボールを展開する。

 今回のエレキボールはいつもとは違い、純粋な妨害用だ。

 魔法の展開に驚いたのか、先頭のうち、2匹が足を止める。

 足を止めなかった3匹のうちの一匹が避けきれずに電撃で焼け焦げた。

 残る2匹のうちの片方の攻撃を避けると同時に魔力の糸でもう片方の首を切り落とし、攻撃直後で動きの硬くなった最初の犬を蹴り飛ばす。


「リュー!やるじゃねえか!」


 そう笑いながらも動き続けるヨハン兄さんのスパイクシールドには既に何体分かの死体が突き刺さっている。

 哀れだ。


 その後は順調に狩り進めていたのだが途中から瘴気の揺れが大きくなり、新たに2箇所からモンスターが湧き始める。


「ちっ、殲滅は好きだが無限湧きは勘弁だな!」

「あとだいたい40分ほどありますよ」

「そんなにもたねえだろ、ローテ組むか?」

「じゃあ僕が一気に決めるから漏れたやつをお願いしてもいいかな?」

「リュー、そんなことが出来るのかい?」

「魔法は出来ることが多いよ?」


 そう言うと同時に3つの瘴気をそれぞれ囲うようにエレキボールを配置する。

 瘴気の揺れを中心として正五角形の形にエレキボールを6層積み上げる。

 追い討ちをかけるようにエレキボール同士に魔力の糸を張る。

 この糸に触れると電気が流れる。

 これを三箇所に行うと、瘴気から出てきたモンスターがバッタバッタと倒れていくようになった。

 あまり使わなかったけれども、この魔力の糸はかなり使い勝手がいい。今度からどんどん使おう。


「さすがリューだぜ!優しい顔してやることがえげつねェ!」

「これはいい経験値稼ぎになりそうですね」

 流石の兄さん達もこれには驚きを隠せないようでした。

「なあ、アル、俺よりリューのほうが強いんじゃないか?」

「奇遇ですね、同じこと考えてましたよ」

「いやいや、2人にはまだ勝ててない部分もあるし、そんなことはないよ」


 そのあとは瘴気の波が増えたりはしたものの、比較的簡単に敵を殲滅し続けることが出来ました。

 兄さん達はかなりのレベルアップをしたそうで、「楽してレベルアップだー」などと言ってました。

 ところで、封印がなかったらレベルアップがすごかったと思うんですけれども。

 そうして雑談をしつつも見張りをしていたら瘴気が薄くなり、

 やがて消え、父さんが戻ってました。


「終わったぞ」

 どうやら無事に終わったみたいです。

 特に何も無かったみたいで安心しました。


「これで瘴気に関しては問題ないな」

「ここにこれ以上は居たくありませんね、帰りたいです。」

「そうだな、あとは封印が壊れていた原因を知りたいってくらいだな」

「一体誰がやったんでしょうか」

「今回は大事にはならなかったから見逃すが、次は無いな。」

「犯人の臭いもしなかったぜ?一体何者だ」

「母さんたちも心配してるだろうし、帰りたいよ」

「おお、そうだったな、早く夕飯が食べたいよな」

「そうですね、夕御飯は格別ですよね」

「二人ともそればっかりだね」


 浄化装置?も直ったことだし、ゆっくりできそうだな、なんて思いながら帰ろうと後ろを向いた瞬間、


 ビキビキビキビキビキ


 ミノタウロスの像が壊れた。


「兄さん、行ってきてよ、殺すんでしょ?」

「やめとけ、俺が行く」

「父さん…!」

「こうなってしまったのは俺のせいでもあるんだ、俺がケリをつけてやるのが筋ってもんだろ」


「リュー、これが母さんを落とした男のセリフだよ」

「お代わりなしにするぞ」

「ごめんなさい」


 それにきてもあのミノタウロス、かなり強い。

 体感だけれども、アルフ兄さんとヨハン兄さんが二人でやっても互角にすらならないかもしれない。


 父さんはそれを知っているはずなのにゆっくりと歩いていく


「よう、ミノ公、久しぶりだな。」

 久しぶり・・・知り合いなのか?

「お前さんに恨みはないが、いろいろと面倒なのでな、ここで消えてもらうぞ」

「コノ声…キサマ…ランドトイッタカ」

「ああ、そうだ。」

「シネェ!!」


 ブォン!!

 ミノタウロスの斧が父さんの真横を通り抜ける。

「遅いな」

  そんなつぶやきが聞こえたと思った瞬間、ミノタウロスは細切れになっていた。

 父さんの動きが全く見えませんでした。

「「「父さん・・・」」」

「どうした?帰るぞ」


 淡々とそう言ってしまう父さんの姿に、少しの恐怖を覚えました。






【食卓】


 マリー:「そんなことがあったのね~」

 ランド:「封印がめんどかった」

 マリー:「まあ解けるような封印をしたから悪いのよ~?」

 ランド:「そうだけどな、めんどいものはめんどいんだ。」


 ヨナ:「私としては、リューの使った魔力の糸が気になるわ!」

 リュー:「魔力操作で作るやつだから、魔法じゃないんだよね。そこだけ気をつけて」


 そんなこんなでその日も平和に終わりました。

次回・リューク10歳、散歩に行きます。

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