リューク・7歳になりました。
5/29≪エレキボール≫の火力がおかしかったので訂正しました。
表記の「知力」を「魔力」に訂正しました。
七歳になりました。
最近は二年前に比べて体格も良くなってきたので、兄さんとの模擬戦でも攻守を交代できるくらいには力がついてきました。
「なんか最近リュークがよく伸びて怖い」
「僕からしたら兄さんの方が怖いよ」
「朝御飯食べたら魔法訓練だろ?よくやるよ。あんなの。」
「あんなのなんて言ったら姉さんに干されるよ」
僕が6歳になったあたりからだろうか。何故かヨナ姉さんと母さんまでもが魔法を覚えさせてくるようになったのである
「あの3人は怒らせると父さんでも敵わないからね。」
「あの3人もダリアとリリアには適わないけどね。」
この2年で妹が増えました。双子です。6つ年下です。
そう言って2人で笑っていると、急に兄さんがニヤニヤし始めた。気持ち悪い。
「そういえば、今日はあの娘が来る日だよね?ほら、お隣さんのジュリアちゃん。」
「そうだけど、どうかしたの?」
「いや、リューク、いいか。幼馴染みの女の子とかすごいんだぞ?希少種だぞ?」
「希少種とか言っちゃっていいの?ジュリアに言いつけちゃうよ?三人の目の前で。」
「やめてください。家にいられなくなります。」
「冗談だよー。それに幼馴染みはヴァニラもいるでしょ?仲がいいだけだよ。」
ヴァニラは黒い髪に紫の目をしている。
何を考えているかよくわからない時がある得体の知れないやつで、あんまり気の合うやつではない。
あとジュリアに関することになると途端に僕を親の敵を見るような目で見てくる時がある。めんどくさい。
「つまらないなぁ。」
「人を面白いかどうかだけで判断しないでよ…ところで家には戻らないの?朝御飯出来てるみたいだよ?」
「急いで戻るぞ。」
兄さんは細身なのによく食べる。
家族で2番目に食べる。
一体どこに食べ物が入るのかというくらいに食べる。
ちなみに1番食べるのは父さんだ。遠慮はない。
今日の朝御飯は何になるのだろうか。楽しみだ。
【食卓】
ヨナ:「最近のリュークって新しい魔法創ってるわよね!!あれってどうやったら同じものを何回も使えるの?普通に詠唱・思念型で使うと質が変わったりするのだけど。」
リュー:「あー、あれね。実は最近やっと使い慣れて説明できるようになったんだ。」
ヨナ:「で、理論としてはどうなのよ。」
リュー:「魔法って三種類あるって言ってたでしょ?今言った詠唱・思念型と記述型と」
ヨナ:「設置型ね!!」
詠唱・思念型魔法は詠唱を用いるか自身のイメージで魔法を制御する。もちろん思念型の方が応用が効く。
記述型っていうのは魔道具に使われているものだ。
リュー:「そうそう、設置型ね。」
そして最後に設置型。これは魔法を設置して特定の条件を満たすと発動する。地雷をイメージして欲しい。
リュー:「ヨナ姉さんは、記述型魔法ってどう思う?使い勝手とか」
ヨナ:「記述型はめんどいわね!魔力を使うと一定の効果が出るのはいいのだけど、そもそもその準備はどうするかっていうのがあるわね!書き写すのだって大変でしょ?あと、個人の能力に左右されないから、強い人から見れば一般的な記述型はいらない子ね!!」
リュー:「まあ、普通に記述するなら大変だろうね。でも、魔力で記述できたらどうなると思う?」
ゼナ:「魔力で記述するってあなた…」
ヨナ:「大変だけどできるわ!魔力操作ね!」
リュー:「魔力操作の方が速いよ。最近では名前を言うだけでしっかりした記述をしてくれるしね。しかも記述に使った魔力は体に戻ってくるしね。そこで、記述をするんだけど。記述型って消費魔力固定だよね?」
ゼナ:「ええ。普通の記述なら線が耐えられないから、魔力は固定ね。」
リュー:「魔力線ならどうなるな?」
ヨナ:「つまり、消費魔力を固定してないと?」
リュー:「いや、保存系のアイテムボックスみたいなのはさっき言ってたけど、質が変わるから消費魔力は固定だよ。使ってれば入れられる量も増えるしね。」
ゼナ:「じゃあ固定してないのはどれなの。戦闘系魔法なの?」
リュー:「うん。主に設置型魔法のボール系がそうなるね」
ヨナ:「便利ね…!!」
リュー:「でもどうしても記述にかかる時間のラグはできるから慢心はできないよ」
リュー:「ちなみに、どの魔法も詠唱・思念型だけでも使えるようにしてるよ!実際使えるよ!」
マリー:「やっぱりリューは天才なのよ~!やったわ~!」
ゼナ&ヨナ:「新しい魔法ができる(ね)!夢が広がるわ(ね)!負けられない(わ)!」
アル&ランド:「…」
今日の魔法訓練は激しくなりそうです…
【庭】
「マリーさん、ヨナさん、ゼナさん、こんにちは!」
ジュリアがきました。ジュリアは白い髪に赤い目をしている。
今日も腰まである長いポニーテールがぴょこぴょこ動いています。
小動物みたいで可愛い。
「「「おはよう、ジュリちゃん」」」
「ジュリア、おはよう。」
「今日は負けないわよ、1日に何回も魔力を使い切って鍛えてるんだもの!この1週間の成果を見せるわ!」
ジュリは毎週風の日にやってくる。
「僕だってこの1週間で並列起動も伸びたし、魔力だって増えてるよ。ジュリには当分負けるつもりは無いよ!」
なんだかんだで一年の付き合いになるのだが、もちろん負けるつもりなんてない。
女の子には負けたくないよね!
「ジュリちゃんは並列起動は何個までできるんだっけ?」
「5個までです」
「あなたも才能あるわよね…」
「でもゼナさんとヨナさんは1度に50個までなら使えるんですよね?」
「ええ。でもそれは本気の特級魔法の場合ね。やったことはないけどもっと弱い魔法ならもっとやれるわよ。」
「でも私達よりリューのほうが凄いわよ!リューは本気でやれば特級魔法を100個は使えるし!」
「リュー…あなた規格外すぎるわ…」
「うふふ~、でもジュリちゃんもそんなに時間をかけずに今のリューくらいにはなれるはずよ~。だから頑張ってね~」
「はい!」
「今からちょっと本気出すから、離れててね、姉さん」
「今日はどんな魔法が出るのかしらね~」
母さんに期待されているのが嬉しい。
余談だが普段から詠唱はしないことにしている。
時間がもったいないので。
《エレキボールッ!!》
魔力がごっそり抜ける感覚と共に無数に現れる電気の球。
その数は70個。
これだけなら簡単なんだ、これだけなら。
そこから電気球(仮)を自分を中心に頭上に正7角形の形になるように縦に重ねていく。間隔は1m。
残りの魔力を全てのエレキボールが繋がるように放出すると、約10mの電気の檻が出来上がる。
その檻を一気に圧縮して、厚さ5cmほどの板にする。
それを大気中の魔力で加速して遠くにあった木に放つ
バチバチバチバチィ!!
激しい轟音と閃光が放たれ、電気の柱が上空に伸びる。
柱が消えた時に残っていたのは、焼け焦げた地面だけだった
魔力枯渇のせいで重くなった足を動かし、我ながら無駄なことをしてしまったと思いつつ振り返ると。
「…」
無反応であった。
「えっと、どうかな?」
「正直、ここまですごいと思ってなかった。」
「もう人間やめてるよね、これ。」
ひどい言われようである。
「あ、あの、リュークがどれだけ人間をやめてても、友達だからね?心配しないでね?」
ジュリアのフォローになってないフォローを受けたあとは、魔法開発をしました。
その結果出来た魔法がこちら。
《スパイクシールド Lv1》
【魔法分類:設置型・半パッシブ】
対象:任意の人物
耐久力50(Lv1時)
2つまで使用可能(Lv1時)
対象の半径2mになるように周囲を動く、棘付きの盾。物理攻撃に対して反撃する。
属性付与可能
我ながら面白いものができたと思う。
相手の攻撃力が高すぎると守りきれずに攻撃を受けてしまうあたりは仕方ない。
そしてもうひとつ。
《ヒールボールLv1》
【魔法分類:設置型・半パッシブ】
対象:任意の人物
2つまで使用可能(Lv1時)
対象の近くに留まり、毎秒MP1あたり0.5回復するボール。(Lv1時)
消滅は任意。魔力が切れても消滅しない。
再度魔力を注ぐと再起動可能。魔力の回収も可能。
これはなかなか便利だ。
特に魔力があるか無いかでオンオフを切り替えられるところとかがお気に入りだ。
難点は並列起動ができない点だけれども、使ってれば増えると思うから特に気にならないね。
「これはなかなか便利だな!アルフレッド兄さんが喜びそうだな!!」
「これ、改良したらもっと面白いのが出来そう。」
「回復魔法にこんな使い方があるなんてね~驚きだわ~。」
「リューク、あとで教えてね?」
ここまで褒められると照れます。恥ずかしいです。
「ところで~ジュリアちゃんはお昼には帰るのよね~?」
「あ、はい。」
「リュー、送って行きなさい?」
「…わかったよ」
【ジュリア・帰路】
「ねえ、リューク。」
「どうしたの?」
「リュークは強いよね?」
「強いかはわからないけど、満足はしてないよ?」
「どういうこと」
「兄さん達には勝てないんだ…」
「…リュークって、自分のこと全く知らないの?」
「?」
「あー、これは言わない方がいいね」
「なんだよ、気になるじゃないか。」
「そのうちわかるよ」
「納得いかないなぁ」
そのまま会話は途切れ、ジュリアの家まで来た。
「あーあ、着いちゃった。」
「そうだね。もう少し長くてもいいね」
「あ、でもまた来週になったら会えるから」
「本当にポジティブだね」
「そんなことないよ、じゃあ、また来週ね。約束だよ?」
「約束だね。」
「バイバイ」
「バイバイ」
【リューク・帰路】
ジュリアが家に入るのを見届けたあと、家に向かって走り出した。
行きとは違って、帰りは森に近い道を通っていく。
近道にはロマンがあるのだ。
毎回こうだ、ジュリアといると、気分が高ぶる。
(好きなんだよなー)
そんなことを考えながら森の近くを通り過ぎようとした時。
ふと、足を止めた。
「静かすぎる……」
そう、静かすぎるのである。普段は耳をすませば聞こえる虫の音や鳥の声が全く聞こえない。まるで音を出すのを躊躇うかのように。
「気味悪いなぁ…」
(気のせいかな、一応父さんに聞いておこう)
そんな思いを胸に再び家に向かって走り出した。
【玄関】
「父さーーーーーん!!」
「おう、どうしたリューク」
「森がちょっとおかしいんだよ!」
「なにがあったんだ、言いなさい」
「静かすぎるんだ…」
「それだけか?」
「あと不気味だった」
「なるほど。で、どうして欲しいんだ?」
「昼からの訓練で父さんとアルフレッド兄さんにも来て欲しいんだ。」
「大抵のやつならヨハンだけでなんとかなると思うんだけどな。まあわかった、とりあえず昼飯が先だ。話はそれからだ。」
「うん…」
【食卓】
ランド:「ってことなんだ。アルフレッドは昼から予定空いてたか?」
アルフ:「珍しくリューがお願いして来たんですし無理矢理にでも空けますよ。幸いにも大したことではないので。」
ヨハン:「にしても森がおかしい、ねぇ。」
ランド:「まて、ジュリアちゃんを送った帰りだろ?だしとしたらあそこは西側だ。俺たちが気づかなかった可能性もある」
アルフ:「やっぱりそうなりますか…(ところで父さん、そろそろリュークにはいろいろと教えた方が良いのでは?)」
ランド:「(せめてあと2年待ってくれ…リュークはまだ7歳だ。)」
アルフ:「(わかりました)」
ゼナ:「話を聞く限り4人で森に行くみたいね。モノはちゃんと揃えてから行くのよ。遭難されて森に探しに行くなんて嫌だもの。」
ヨナ:「4人で森に行くなんてずるいなぁ!私も行く!」
ゼナ:「ダメよ」
ヨナ:「ぐぬぬ…」
マリー:「気をつけるのよ~?」
リュー:「ありがとう、母さん」
マリー:「別にいいのよ~。父さんの言う事をちゃんと聞いてね~?あと、父さんの横は安全だから~。」
ランド:「食べ終わったらリューには俺の武器を貸してやろう」
父さんがやる気を出しています。
これなら森の探索も大丈夫だと思います。
【森・南】
「とりあえず陣形を確認するぞ。先頭にヨハン、2番目にアルフレッド、3番目にリューク、最後尾に俺、でいくぞ。あとリューク、どんな魔法が使えるか教えろ」
「僕が使えるのは回復魔法、補助・妨害魔法と攻撃魔法かな。攻撃魔法は設置型が得意だよ。得意属性は風と無属性、あと水属性かな。」
「わかった、俺達には気を配らなくてもいいから自分に最大まで補助魔法使っとけ、何が起きるかわからないからな。」
「うん、わかったよ」
「《ブースト!!》
《アクセル!!》
《バリアー!!》
《ヒールボール!!》
《エレキボール!!》」
「これが噂に聞くヒールボールか!便利だなぁ!今度教えてよ!」
案の定、アルフ兄さんが狂喜乱舞した。
「お、そうだった。リュー、これを使え。」
そう言って父さんが渡してきたのは、30cmほどの短剣でした。
「そいつにはいざって時に弱い結界を張る力がある。お守り代わりだ」
「とりあえず全体をぐるぐる回るぞ」
「わかったよ」
「了解」
「おうよ!」
「いくぞ!」
父さんの掛け声と同時に4人で森に入っていきました。
【森・南】
「何も無いな」
「そうですね」
「たしかに静かすぎるな…」
「次は東だ、行くぞ」
「「「はいっ」」」
【森・東】
「何も無いな」
「やっぱり気のせいなのかな?」
「だがここ2年でここまで不気味なのは初めてだな」
「まだ断言するには早いよ」
「次は北だ」
【森・北】
「そろそろ休憩が欲しいよ…」
「リュー、違和感は西側だったんだな?」
「うん」
「一旦休むぞ、各自で体を休めとけ。」
「おそらく次で何かありますね」
「やっぱりか」
「たしかにこれは4人で来て正解でした。リュークだけだと危険です」
「俺もなんとなく嫌な予感がするんだよなぁ。邪悪な気配が奥の方から流れてる気がする」
とりあえずいまのうちに使った魔法の確認をしてみようかな
《ヒールボールLv1》
【簡易詳細】
消費魔力 1/s
回復力 魔力1あたりHP0.5
《スパイクシールドLv1》
【簡易詳細】
耐久50
《アクセルLv1》
【効果】速度に+10%の補正
《ブーストLv1》
【効果】攻撃力に+10%の補正
《エレキボール》
【攻撃魔法】
消費MP:Lv×5
接触した相手に風の属性ダメージ(攻撃力=10+魔法Lv×魔力/100)
2回まで攻撃できる。(Lv20につき1回増加)
耐性のない相手に麻痺追加
思った通りの効果で安心しています。
ところでLvがあがるとどうなるのでしょうか。
かなり気になってます。
ところでちょくちょく出てきている
速度とか攻撃とか魔力って何?
「父さん、父さん。速度とか攻撃とか魔力ってなに?」
「気づいてしまったか…こうなった以上は仕方がないから教えてやろう!」
必死に隠していたはずなのにノリが軽い。
案外必死ではなかったのかもしれない。
「うん」
「まず、その速度やらなんやらはステータスだ」
「ステータス?」
「ああ、ステータスが見たいと思うか、ステータスオープンって言うといいぞ(ニッコリ)」
「ステータスオープン!!」
一体僕のステータスってどうなってるんでしょうね
期待が大きいです
次回、リュークのステータスのお披露目です!