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楽園を略奪されたので奪還します  作者: 留意茶
3章:増える疑惑編
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再び別々に。

 眠りから覚めると、隣でジュリアがスヤスヤと寝息を立てていた。

 そういえば、昨日は学園長に許可を貰って拠点の方で寝たんだっけか。


 まだ寝ているジュリアの頬に軽く口付けして、朝食作りに入ろうとしたが流石に寝不足やらなんやらで疲れたので手抜きにする。


 レタスのサラダとハム、そして目玉焼き、味噌汁に炊きたての白米だ。これらはいつも多めに作っておいてアイテムボックスにストックしてある。


 どれだけあっても飽きない定番食だ。


 個人的には、白米に目玉焼きを乗せて、まずは白身をほとんど食べてしまってから黄身を割り、そこに醤油を適量かけるのが好きな食べ方だ。

 温泉卵に出汁と醤油で白米もなかなかいい。米がすぐに無くなってしまうけれども。


 丁寧に盛り付けをしていると、家族たちがのそのそと起き上がってきた。みんな眠そうだ。

 だがリーゼロッテが特に酷くて、髪はボサボサ、涎の跡が頬に残っていた。

 おい、顔くらい洗えよ。アルスが嘆いてるぞ。


「《洗浄》」


 仕方がないので綺麗にしてやった。はあ、帝国って意外とだらしないのかね。


「ご飯できてるよ」


 俺の言葉に全員が座り始める。余談ではあるが長方形のテーブルを囲むように座っている。残念ながら狭くてぎっちぎちだ。


 俺の隣にはもちろんジュリアが座った。


「ふわぁ~…おはよう~…。」


 てくてく。すとんっ。…ずりずり。ぺたっ。

 うおぃ。密着しないでくれ。話が進められないだろう。


「んー、リュークの臭い~」


 俺の胸に顔を埋めてジュリアが幸せそうな顔をする。


「「「じぃ~っ」」」

「「「ニヤニヤ」」」


「これ、離れなさい。」


 べしっ。


「はうっ。」


 ジュリアが額を押さえて頬を膨らます。軽く小突いただけじゃないか。か、可愛いからと言って容赦はしないんだぞ。


「むー」


 大体朝から甘ったるい空間を作られたらたまったもんじゃない。昨晩だって死ぬかと思ったんだ。まさかこの俺が純粋な腕力でジュリアに負けるなんて思ってなかったぞ。


 やめろ、そんな目で俺を見るなって。


「ま、いっか。」


 ぷいっ。

 うう、これは確実にご機嫌ナナメですね。あとで清算しておかねば。

 困ったことになったと思っていたら、ジュリアに囁かれた。


「(今晩、三連戦ね。それで手を打ってあげる。)」


 あっ、詰んだ。


「息子がどんどん大人になってる。俺の立場が……!」


「元々無いから大丈夫だよ。」


 父さんは自覚してくれ。お願いだから。


「ご飯にしようよ。」


「「「いただきます」」」


 食事中にリーゼロッテに今後の予定を尋ねたら、どうやら一旦帝国に帰るらしい。ついでに俺とジュリアも連れて行ってくれるとさ。


 ……よし、家に戻るまでもうちょっとだな。


「「「ごちそうさまでした」」」


「《洗浄》」


 台所に食器を集めて魔法を使えばあら不思議、汚れた食器も一発で綺麗になる。流石《洗浄》の魔法だ。


「ふひ~、これで終わりだな。」


「準備は出来たわよ。」


「速すぎないか……」


 後ろを振り向くと、つまらなそうな表情でジュリアが腕を組んでいた。


「リュークが遅いのよ。」


 なんだか今日のジュリアは本当に機嫌が悪い。放っておこう、触らぬ神に祟りはないのだ。


「早速だけど準備しようかな」


「ちょっとリューク、いいかしら。」


 出発の準備をしようとしたら、母さんに呼び止められた。


「私たちはそろそろ戻ろうかと思ってるの。」


「そうなの?」


「俺たちにもやることは沢山あるからな。」


 父さんが真面目な顔をしている。


「うん、そうだね。」


「見送り頼む。」


「あいさ」


 父さんグループと兄さんグループを連れて地下室へと移動する。


「私たちは戻って準備していますね。」


 リーゼロッテは準備をしに戻った。さすがは王女様といった所か、先が見えてる。



 地下室に着くとすぐに、《ポータル》を起動する。


「おお、流石だな。これなら安心して転移できる。……んじゃあまた今度な。次は母さんが飯を作ってくれるぞ。」


 次があるのか、よかった。


「リューク、三食ちゃんと食べるのよ?栄養バランスにも気をつけてね?ジュリアちゃんと仲良くしてね、あとは…」


 お前は母さんか!……母さんだった。


「リュークくん、ジュリアをよろしくね、ジュリアはリュークくんをしっかり支えるんだよ?」


「ジュリア、頑張りなさいね」


 ドミニクさん、リアナさんも言いたいことを言ったようだ。


「それじゃあみんな、また今度。」


「おう。」「ええ。」「また今度。」「ではまた。」


 ポータルに魔力を注ぎ終わった。

 魔法陣が発動し、四人の身体が光の粒となって消えた。


「さて、次は兄さん達かな。」


「あー、俺も挨拶してった方がいいのか?」


「それは愚痴?愚痴ならまた今度いくらでも聞いてあげるよ。」


「……、そうだな!」


 さてと、魔力足りるかな。


「私も手伝うわよ。」


「助かる。」


 ナイスジュリア。


「あー、兄さん、これ持ってって。」


 俺はアイテムボックスから紙袋を取り出した。


「なんだこれは。」


「開けてからのお楽しみだよ。」


 知らず知らずのうちに口角が上がっていくのがわかる。……耐えられない!


「なるほどな。」


 兄さん、口角が上がっていますよ?


「まあ、ありがとな。久しぶりにまともな飯が食えた。お前ら元気でな!」


「ジュリアさんとダリアとリリアは悪い人に気をつけてくださいね。あとデルタは気持ち悪いと思います……。」


 アルフ兄さん……。


「まあ大丈夫でしょうけど、リリアは自重した方がいいわよ。」


「いつも自重100パーセントなの!」


「そう……」


 ゼナ姉さん…。


「今度はもっとたくさんご飯を用意しておくことね!」


 ヨナ姉さん…。


「シリアスになり切らねぇな、オイ!」


「「「「いつものこと」」」」


 あー頭が痛い。心配した自分が馬鹿だった。


「兄さんたちも美味しいもの食べなよ」


「「「「わかってるって」」」」


 ここで魔力を注ぎ終え、魔法陣が動く。


「またねー」


 四人は手を振りながら光となって消えていった。



「行っちゃったね」


「そうだな」


「ところでリューク、あの袋の中身って何?」


「ああ、あれはね。中に少々のお金が入ってるよ。」


「あら。現実的ね。」


「そうだな。」


「さあて、やることも終わったし準備しないとなー、ああ、リリア、デルタを頼んだぞ。」


「任されたの!」


「ちょっと兄さん!逆じゃないの!?」


「いやそうは言ってもお前は妹に世話される方がいいだろ?」


「当たり前だよ!……なら問題ないね!」


「だろ?」


「ダリアも頼んだ…ぞ……?」


 見てみると、ダリアは蹲っていた。微かに啜り泣く声が聞こえる。

 そうか、いくらステータス的に強いとは言っても9歳だもんな、失念していた。


「(リリア、ダリアを頼む。)」


「(わかったの。)」


 とりあえずリリアにダリアを任せることにした。こういう時は兄弟に任せるのが一番だからな。

お久しぶりです。

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