表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
楽園を略奪されたので奪還します  作者: 留意茶
2章:ダンジョン暴走編
41/62

ダンジョン攻略6日目&7日目

リューク達もダンジョンに飽きたようです。

1週間も終わるかわからない密室生活ですもんね。気が滅入るのも当然ですよね……?

【B70F】

 さて、目が覚めたわけですが。

 ただ今私たちは70階層に居ます。100階層まであと30階層です。そもそもこのダンジョンが何階層あるかわからないので、終わりが見えないのが精神的に苦しい部分ですね。

 現に仲間達も結構厳しい状況です。


「あああああ!ゆっくりシャワーを浴びたいよ!」

「そろそろ限界だわ…お風呂に入らせて…」

「おやすみが欲しいの……」

「あと何階層潜ればいいんだ…敵も強いし僕はもう限界だよ!」


 実のところ俺自身もかなり苦しい状況なのだ。

 朝起きたら魔物を倒して、昼を食べたら魔物を倒して、夕飯を食べたら魔物を倒して寝て、また起きて。


 本来のダンジョン探索なら、もう少しマシな環境になる。やろうと思えば帰れるし、休みも取れる。


 だが今回の場合は突破しないと帰れない。魔物もインフレが酷くなってきていて、いつ死ぬかもわからない状況でだ。


「わかった!」


 俺の叫びに全員が俺を見る。


「今日は休みにしよう!俺は風呂を作る!」

「お風呂なのっ!手伝うの!」

「わるい、ヨシュア、手伝ってくれ!」

「お風呂のためなら頑張れるよ!」


 さて、お風呂づくり、やりますか。


 =====


  ヨシュアに木材を長方形に切らせておく。

 形は2m四方で、浴槽を削り出す方針で行こうと思う。

 よく考えたらうちのお母様の加護で簡単に削れるんじゃないか、これ。


「削れろぉ!」


 軽く殴ると、予想通りの形に木材が凹んだ。母さん……

 なんだか頑張っている職人さんたちに申し訳ない……


 =====


「あー、いい湯だったねえ。」

「もっと早い段階で作ればよかったな」


 その後はノリでもう二つお風呂を作りました。

 風呂に入って寛いだからか、リリアとジュリアの機嫌が良くなったので俺は満足してます。





「さてと、次は武器かな」

 昔拾った鎌鼬の爪が6本ありますね。

 柄は木材がいいですね。鉄もいいけれど、ここは木材で!


 4本を加工して、短剣を作ります。爪は30cm程の長さの、鋭く薄い形に変えて、12本の短剣をつくりました。

 今回作った短剣の種類は両刃なのでダガーですね。

 今までに武器を作ったことがなかったので使い勝手は知りません。


 残った2本の爪は保存用にアイテムボックスにしまいました。


 あとはすべての武器に切れ味維持と自動洗浄のエンチャントをかけて終わりです。

 自動洗浄は思いっきり南総○見八○伝の村雨みたいな演出になってしまいましたが仕方ないでしょう。


「こんなもんかな!」

「おお、これはなかなかの業物じゃないか?」

「武器マニアのカトラスが言うのなら信用出来るね」

「これだけのものをこうも簡単に作り上げるとはな。恐れ入った。」

 武器の出来は不安だが、カトラス学園長が言うのなら間違いないと思いたい。


「試し斬りしてくる。」


 現在時刻は午後の7時です。71階層で試し斬りをしたいと思います。

 1人1本だと短剣が2本余るので、1本は俺が、もう1本はクロードが持つことにしました。

 手数が増えるのなら大歓迎です。


【B71F】

 71階層からは地獄ステージのようです。

 敵はレッサーデーモン、デーモン、アークデーモン、ヘルハウンド、ケルベロスです。

 ステータスとしてはゴーレムの方が圧倒的に強いのですが、連携と魔法、そして圧倒的な数で苦しめてきます。ほとんどの攻撃が闇属性みたいです。


「遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅いっ!」


 敵の集団に突っ込んで次々と切り裂いていきます。

 この短剣、かなり鋭いみたいですね。デーモンたちがバターみたいに切れていきます。


「まだまだいけるぞ?どうした、こんなものか?」


 瘴気がより濃くなって追加の戦力が投入される。

 アークデーモンしか出てこないのかよ!物足りない!

 ゴーレムとタイマンで殴り合いをしたせいか、基準がかなり高くなっています。並の相手じゃ満足出来ないな。


「レスト、やれ!」


 ある程度怪我を負わせたらレストに止めを刺させます。

 レストはずいぶんと逞しくなってきました。とはいえ愛嬌がある顔のままなので完全に犬です。


「まあ、これならそこそこ余裕を持って攻略できそうだな。ってかなんでこんな時にも攻略のことを……!」


 ゆっくりと風呂に浸かっているのに考えるのは攻略のことになっていて自分でも驚きました。


 =====


【B76F】


 攻略7日目です。現在時刻は午前9時です。ゴーレムが強すぎたせいか敵が弱く感じます。


「一本道で無双するだけなんて簡単な仕事、そうそう無いわね」


 ジュリアが言い切るくらいに敵が弱い。

 俺らが強いという線はまず、ないだろう。だってゴーレムとかステータスがおかしい数字になってたし。今でも軽いトラウマですよ!


「ガウッ!」


 ドーーーーーーン!!


 レストがいつの間にか新しい技を覚えていました。

 吠えると正面の敵が一直線に吹っ飛びます。

 魔力が感じられるので、おそらくそういう魔法です。


「くぅっ!」


 ズバァッ!


 キンは周囲に斬撃を放てるようになりました。

 うちの従魔2匹だけで攻略できそうな気もしてきました。流石にそれは言い過ぎか。


 =====


【B80F】


 現在時刻は午後の3時です。何の問題もなくボス前です。

 さて、行きましょうか。早く帰りたいんです。


【ステータス】

 種族:デモンゴーレム

 Lv:1,600

 HP:200,000 攻撃:100,000

 耐久:100,000 魔力:100,000

 素早さ:100,000 運:100,000


 ボスがまたゴーレムでした。

 ゴーレム好きだな本当に!

 その他で湧いて出てきたのはケルベロスにアークデーモン、ヘルハウンド。そこそこの経験値になりそうだな。許してやろう。


「【覚醒】!《ウインドアロー》《魔力塊(ショット)》」

「《チャージシールド》」


 正面の取り巻きたちに魔法を連射しながらデモンゴーレムに近づく。ジュリアも同時に動き出す。

 ゴーレムの身体からかなりの量の魔力の高まりを感じた。

 出てきたのは特大の闇の球。こっちに向かって飛ばしてきたが、シールドに吸収されて跡形もなく消えた。


 魔法を消されると思っていなかったのか、動揺するゴーレムに短剣で攻撃を重ねる。


「《スタンプ》」


 初撃は左膝への蹴り。スタンプでMPを乗せておく。

 次にゴーレムの右サイドから回り込んで浅く切り裂いていく。

 鬱陶しく思ったのか、ゴーレムが俺に攻撃してくる、が。


「《パージ》」

 ジュリアのフォローでその分だけ隙が生まれました。

 ゴーレムを中心にジュリアと対角線上に位置取るように攻撃します。

 同時に高火力の《魔力塊(ショット)》が撃てるように魔力を練ります。

 ゴーレムの正面に立ったジュリアにゴーレムの右手が迫ります。


「《バースト》」

 すかさずに左膝の魔力を破裂させる。

 足元が狂って怯むゴーレムをジュリアの猛攻が襲う。

 デーモンそっくりだったゴーレムの表面に新しく付けられる傷、傷、傷。


 ゴーレムが動きを止めたのを確認してから俺は大きく跳躍し、ゴーレムの頭上に立つ。

 俺に気づいて両腕を振り回すが、もう遅い。


「《魔力塊(ショット)》!」


 今の俺ができる限界まで圧縮された魔力の塊はゴーレムの頭を貫いて一直線に進み、内部を破壊した。

 沈黙するゴーレム。五分待っても動かないので、完全に倒れてるだろう。

 現在時刻はまだ午後の4時にもなっていない。

「さて、続きをやりますか。」

 正直な話、レベル上げはできるけれども飽きたのである。はやいところ地上に戻ってのんびりとケーキでも食べたい。あと紅茶もいいかな。


【B81F】

 81階層からは天空ステージみたいですね。

 敵はエンジェル、アークエンジェル、ガルーダ、コカトリス、ウィスプと、飛ぶ敵ばかりです。


「折角だし魔法の精度を上げる訓練でもするか。ちょうどいい的もあるし。」


 エンジェルたちは俺達全員の魔力塊(ショット)

 撃ち落とされていきました。


【B87F】

 86階層からは宮殿のようなステージになりました。

 敵はエンジェルナイト、エンジェルアーチャー、エンジェルビショップ、エンジェルマジシャンと、そのままのネーミングの敵ばかりでした。


 現在時刻は午後の7時です。敵もそんなに強いというわけでもないので、明後日には100階層に到達しそうです。


「そろそろ今日の攻略は終わりにしようか。」

「そうだね。さすがに疲れたよ。」

「そろそろ攻略の終わりも見えてきたような気がしますね。」

「デルタ、そんなふうに考えていると落胆することになるからやめた方がいいぞ。」

「カトラス学園長、僕としては落胆することになっても、終わりを意識しないとやってられませんよ。あと俺、攻略が終わったらダリアとデートします!」

「お断りだわ!なんでデルタ兄さんとデートしないといけないの!」


 1週間もダンジョンに篭っていて、かなり精神的に苦しいはずなのに、いつも通りの仲間達を見ているとダンジョン攻略を焦ってしまいそうになります。


「リューク、焦らなくてもいいのよ。一番に考えるのは全員でここから出ることよ。」

 俺の不安を感じとったのか、ジュリアが声をかけてくる。


「そうだったな。俺がしっかりしないでどうするんだ。」

「苦しくなったら泣いてもいいのよ?胸は貸すから。」

 そこまで言われると流石に自分がどんな顔をしていたのか気になります。


「俺ってそんなに顔に出やすい?」

「ええ、かなり。」

 今度からポーカーフェイスの練習でもしよう。

「リュークは別に今のままでもいいと思うわ。」


 もう既に心が折れました。


 その日の夕食は珍しくデザートをつくりました。

 作ったのは【浮島休憩所】で栽培していた果実を使ったプリンです。




 一体このダンジョンはどこまで成長していて、どこまで潜れば攻略できるのだろうか。そんなことを考えながら眠りにつきました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ