ダンジョン攻略4日目
【4日目】
「(おはようございまーす、朝ですよー!)」
突然ですが俺は今ヨシュアの近くに来ています。
いつも俺に朝食を作らせておいて自分は食べるなのでかなり頭に来ています。
ということでお仕置きも兼ねて朝食づくりを手伝わせます。
惰眠を貪る悪魔に正義の鉄槌を!
起きてもらおうと思うので魔力の糸を足に巻き付けます。
次に《エレキボール》を魔力の糸にくっつけて完成!レッツ寝起きドッキリ!
「んぎ?ゃぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「おはようございまーーーーす!朝でーーーす!」
正義はなされた。
「酷いよリューク!寝起きドッキリどころか寝起きで心臓止まるかと思ったよ!」
「悪い悪い。でもたまには手伝ってくれ」
「なら仕方ないかー」
割とあっさりと許しちゃうんだね。まあそういう所が好きなんだけどな。
「それにお前の生産系スキル全く無いじゃないか。」
「うっ、でも生産系スキルがなくても!」
「料理くらいはできるようになっておけ、モテるぞ」
「俺、頑張るよ」
「はぁ……」
単純で扱いやすい。それはもうため息が出るほどに。
やる気を出したヨシュアと二人で仲良く朝食を作りました。
=====
【B41F】
さて、ダンジョン攻略再開です。
現在私たちがいるのは、なんとなんと!砂漠です!
日中で太陽が出ていて暑いというのに瘴気で辺りは真っ暗です。
不気味ですよ、本当に。
そして出てくる敵ももうこれはひどいひどい。
レッサーマミー、マミー、グレイターマミー、メイジマミー、マミープリースト、アサルトマミー、マミーナイト、おまけでスコーピオンとニードルカクタス。
ほとんど見事にマミー系の敵しか出てこないんですよね。アンデッドモンスターの巣窟ですよ、主にマミー。
いやもうこれは笑うしかない!特にマミープリースト。回復魔法が使えないんですよ、代わりに使うのは闇魔法。回復しろよ。
お気づきだろうか。ええそうです。アンデッドモンスターにヒールをかけると簡単に倒せます。
メイジマミーは結構頑張っていて、でっかい砂嵐を出して攻撃してきた。火と風と土の魔法が使えるみたいです。
アサルトマミーは強かったです。最強のマミーです。
正面から5、6匹のマミーが走ってくる、そしてやたらと速くて固い。撃ち漏らしたマミーは凄まじい威力のぶん殴りを放ってくる。
これが冗談みたいに強くて、俺のHPが2千ほど持ってかれましたよ。一撃で。
スコーピオンは魔法に弱いみたいなので苦戦はしません。
ニードルカクタスは針を飛ばして攻撃してきます。強いです。
【B50F】
現在時刻は12時ぴったりです
今回の探索は比較的簡単でした。42階層からはピラミッドの内部がダンジョンだったようです。しかも!なんとなんと一本道だったのです。
あとは通路を歩きながら敵を蹴散らすだけだったのですごく楽でしたね!
「準備はいいな?いくぞ!」
さて、今回の敵は誰でしょうね。
中に入るとそこにいたのは禍々しいオーラを放つ棺と前が開いている某拷問道具。
……ボスだけやたらと強くね。
ステータスはこちら。
【ステータス】
種族:鉄の処女
Lv:1,000
HP:20,000 攻撃:20,000
耐久:40,000 魔力:10,000
素早さ:30,000 運:20,000
【ステータス】
種族:呪いの棺
Lv:1,000
HP:20,000 攻撃:30,000
耐久:20,000 魔力:35,000
素早さ:20,000 運:15,000
うわぁ、見た感じペアのボスじゃないですかやだー。
ボスの観察をしている間に鉄の処女は俺に向き直り─
開いていた体を閉じた。
「俺から離れろ!」
そして全身を細い針で串刺しにされる感覚が俺を襲う。
ご丁寧に頭と心臓やらの急所は外してくれていた。なんて悪趣味な。
「ん゛っ!!」
「リューク!」
痛みへの耐性があってもどうしようもないほどの痛みが俺を襲う。
全身から血が勢いよく抜けていく。
「《ヒール》《ヒールボール》」
怪我を治すのは簡単だったが抜けた血は戻らないため、頭がクラクラする。
さて、こいつらはどう攻略しようか。
俺のミスでもあるが、不意打ちはやられるとすごく頭に来るらしい。
「《エレキボール》《ウインドアロー》《フレイムボム》《アイスボム》《魔力塊》」
=====
結論からいうと鉄の処女は強敵でした。
念動力だろうか、高速で動き回ってのタックル、アンデッドモンスターの召喚、謎の遠距離攻撃と厄介な奴でしたよ。攻略方法がわからないのでゴリ押しで倒しました。
まあゴリ押ししようにもうまく避けたりされたんですけどね。
一方の呪いの棺。こいつもなかなか強敵でした。何がって呪いが強力なんですよ。
使った呪いの名前は《奪魂呪縛》というやつで。
効果はみて分かる通りに魂を奪う呪いなんですよ。
それもただ奪うのではなく、制限時間以内に棺を破壊するか呪いを解くかしないといけないタイプの。まあ端的に言うと時間切れで死にます。
あ、ちなみに制限時間は10分もあったので呪いがかけられたとわかったらすぐに解呪しました。
あと、棺の使う魔法がなかなか面白かったですよ。
着弾した場所に30秒後、爆発を起こす魔法とか。
実体化した影で切り裂く魔法とか。
ちょっとロマンを感じる魔法があったんですよ。
時間差攻撃の魔法か……
=====
【B50F・ボス部屋】
現在時刻は午後の2時です。
ボスを倒してから昼食をとって、暇な時間に新しい魔法を開発しました。
それがこちらです。
《スタンプ&バースト》
【スタンプ】
次に攻撃した部分に魔力を込めて残留させることが出来る。
【バースト】
残留した魔力を破裂させる。
少しだけ試しに使ってみたのですが、かなり面白い使い方ができるみたいでした。
相手を殴る時にスタンプを発動して、何度も同じ場所にスタンプする。あとは自由なタイミングでバーストすると、重なったスタンプのダメージを受けて体勢が崩れると。ダメージを裏で蓄積させるとかちょっとかっこいいかも。
あとはそのタイミングを狙ってクリティカルヒットさせるだけ。
……武器作るのやめようかな。
ああ、でもスタンプって一撃が弱すぎて防御を貫通できない相手に使うのが一番よさげかも……?
【B51F】
「おおー!」
「うわ、あっちぃ……」
51階層からは火山でした。
火山といっても全ての場所が暑いわけではなく、一部に涼しいところがあるようです。
「あそこら辺とか涼しそうだな」
「早いところ攻略してしまうのがいいと思います。」
「ルナに賛成なの」
確かにそうではあるけれども。
敵が強いとどうなるかわからないからなぁ。
「敵とどんだけ戦えるかで決まる。連戦もできないのに攻略なんかできないだろう?」
「まあ、それもそうね」
「ちょうどいいタイミングだが、さっきからあっちに気配を感じるぞ。」
「よし、いこう!」
たどり着いた先にいたのは黒い目と赤黒い身体をした全長2メートル程の犬。身体中の筋肉がパンパンで相当鍛えられていることがわかる。
鑑定結果がこちらです。
【ステータス】
種族:フレイムハウンド
Lv:700
HP:50,000 攻撃:25,000
耐久:30,000 魔力:35,000
素早さ:40,000 運:20,000
…これはまずい。なんだこのステータスは。
一匹だけならなんとかなるだろう。だけれども奥を見てみれば犬、犬、犬。
間違いない、フレイムハウンドの巣だな。
「(撤退!)」
=====
「リューク、さっきの群れ……」
「ああ、わかってる。ちょっと聞いてくれないか」
「わかったよ」
そこからはさっき見たフレイムハウンドの群れの話、フレイムハウンドの能力値の話をした。
「……というわけでこの51階層からの敵はステータスのインフレが起きていてもおかしくないと考えたんだ。というか実際に起きている。」
「確かに前のボスよりも強いなんておかしいしな」
「でも、それじゃあ攻略ができないよ?」
「その点はなんとかなると思ってる」
「えー?」
「まあ、言ってしまえばボスの連戦だ。1匹ならなんとかなるだろうよ。とは言っても群れているんだろうがな。」
「リュークがレベルを上げてパワーレベリングではダメなの?」
「悪くは無いが、それでいいのか?」
「対等に戦える能力も無しになんとかしようとする方が無理よ。私はそうしたほうがいいと思う。」
「僕としてもそれがいいと思うよ。」
他の仲間に尋ねても問題はなかったようなのでレベルを上げることにした。
「……わかった。だが俺1人というわけにもいかない。ジュリアもある程度までレベルを上げさせるぞ。」
「わかったわ」
=====
【ステータス】
名前:リューク・アニムス
Lv:500 (1026)
状態:健康
【特性】
限界突破
経験値取得増加【他】
神の因子
経験値取得倍加(NEW!!)
必要経験値減少(NEW!!)
魂操作(NEW!!)
【空き】
【能力値】
HP:58,980/58,980(6,540↑)
MP:53,090/53,090(6,540↑)
SP:460
攻撃:22,890(6,540↑)
耐久:24,780(6,540↑)
魔力:23,120(6,540↑)
素早さ:23,050(6,540↑)
運:17,890(6,540↑)
【エクストラスキル】
気絶無効:LvMAX(NEW!!)
=====
レベルを上げました。かなーり強くなりましたよ。
使ったSPの内訳は気絶無効に550、特性三つの取得で4,000、特性の枠開放で2,000です。魂操作は2,000のSPが必要でした。
さて、なぜ気絶無効を取得したのかというとなのですが。
実は試してみたら、【覚醒】の反動で気絶しなくなったんですよ!
これは美味しいです!
まあどこかしらで皺寄せが来そうなので【覚醒】自体をしないようにしたいのですけれどもね。
「よし、さっさとレベルを上げようぜ。とりあえず小規模な群れを探そう」
少しばかり歩くと5匹のフレイムハウンドの群れを見つけました。
「よしっ、行ってくる。」
「いってら」
「《アクセル》《ブースト》《マジックメイル》」
とりあえず5匹の近くまで歩いて寄っていく。
身構える犬たち。
「グルルルル……」
「お前らはどっちの犬なんだ?」
「アォーーーーン!!」
1匹の遠吠えと同時に4匹が距離を詰めてくる。
「そっち側か、まあそんなにうまくいかないわな」
ひょっとしたらレストのような境遇なのかと思ったけれども、そんなことは無かった。残念だ。
4匹の距離の詰め方はなかなかうまい連携だった。
正面から2匹、横から1匹、後に回って1匹。
「ァォーー……」
「わざわざ仲間を呼んでくれたのか。助かる。」
「《魔力塊》」
正面の1匹の顔面に魔力塊をぶち込む。あまりに綺麗に吹き飛び過ぎて罪悪感に駆られるが、生きるか死ぬかがかかっているので気にしない。
「《パラライズ》」
正面にいたもう1匹に対していい具合に距離を詰めて下から右足で蹴りあげる。生きていても麻痺のせいで動けないだろう。
後ろの1匹が迫ってきたので右足を振り下ろし、左足で回し蹴りを当てる。首が折れたっぽい鈍い音がした。
残るは最初に遠吠えをした1匹と今まさにブレスを吐こうとしている1匹。
「《口を閉じろ》《魔力塊》」
ブレスを吐こうとしている方に魔法を使う。最近よく使う魔法の使い方だ。魔力塊は目を突き破って頭を貫いて飛んでいった。
「《マジックウェポン》」
残りの1匹を、頭を串刺しにして殺す。
「全員こっちに来てくれ!仲間を呼ばれた!」
「了解!」
さて、経験値稼ぎ、美味しいといいなぁ!
=====
【B55F】
現在時刻は午後10時です。夕食も食べ終えています。
いやー、フレイムハウンドの群れで沢山経験値を稼ぎましたよ。
ルームメイツも強くなりましたし、これで少しは安心かな?
フレイムハウンドの群れを倒してから、洞窟に入ったのですが特に問題なくここまで来られました。
本来であれば56階層に行きたいところなのですが、56階層からは地形が完全にザ・火山といった様子になるんですね。
何が言いたいかと言うと暑くて寝られそうにないのでここまでにしておきます。
試しに30分ほど56階層に行ってきましたが、あれは無理ですよ。無理無理無理。
学園長がいうことには制服にエンチャントすればいいとのことでしたので、その時間をとることにしました。
だがここで問題が!
俺達の服装は制服です。着替えはありません。
察してください。つまりそういうことです、ハイ。
そんなことを考えて頭を抱えていたらですね。
『どうしたの、そんな顔して』
『エンチャントしようにも服を脱がないといけないわね』
『えっ、別に私はいいわよ?』
とかうちの嫁が言い出してですね……。
『わ、私も別に気にしていませんから!』
『兄様なら問題ないの』
『脱いでるのも辛いからさっさと終わらしてね!』
とか女性陣に言われて、せっせと服を脱ぎ出す女性陣を止めるために体力を消耗するハメに。
それを聞いた男どもの反応も反応だったし。
『リリアとダリアが脱ぐだって!お兄ちゃんが手伝うよ!』
『リューク、大変だね……』
『ところで僕達も脱ぐのか?大丈夫なのか?』
『リュークくん、そういうのは地上に戻ってから……』
『おー、女4人も侍らせるなんてヤるじゃねえかリューク!』
もう最悪ですよ!
しかも最終的な判断が
「まあ死にたくないし仕方ないよね。それに汗かいたら凄く気持ち悪いし、涼しいほうがいいよ。」
の一言で結局脱ぐことになりましたし。
あ、でもしっかりと仕切りを用意しましたよ?途中で拾った木材で。
覚えているのはカトラス学園長の胸筋が凄かったことくらいです。
……もう暑いの嫌!
はやく地上に帰りたいです…風呂に入りたいし、やりたいことも沢山あるのに!
そんなことを考えながらダンジョン攻略4日目を終えました。