登校初日
話をコンパクトに纏めるのって難しいです
「んー、まだ少し暗いかなー?」
目が覚めました。現在時刻は午前5時です。昔から起きてる時間なので問題ないですね。
「ヨシュアー、おきろー、あさだぞー」
「んーー?あー、……よしっ!やるぞっ!」
ここ1週間、俺とヨシュア、ジュリアとダリア、デルタとクロード、リリアとルナマリアは朝に合同で訓練をしている。
ヨシュアの成果としては、HPとMPと魔力と攻撃力、耐久が大幅に上昇して、魔力制御のスキルも上がった。そして魔法同士でコンボを決められるようになった。本人曰く例の水浸しの魔法を使った後に凍らせるのがマイブームらしい。この魔法使って夏にスケートとかやるのもありかもしれないな。
あと、俺ら8人は全員で街に遊びに行くくらいには打ち解けた。
朝の訓練が終わると部屋に戻って朝食を作り始める。朝のメニューは二種類だけにしているので、すぐに作ることが出来る。……飽きるって?俺としては毎食の献立を考えるのがだるいから朝ぐらいは楽したいっていう気持ちの方が大きいんだよね。
フライパンを用意して目玉焼きとベーコンを焼く。その間にパンを焼いてコンソメスープを作る。これがなかなか楽でいいんだよねー、朝に食べるカリカリのベーコンは格別だと思う。減塩?汗かくんだしへーきへーき。ちなみにもう一つのメニューは米に目玉焼き、漬物に味噌汁、あとは気分で納豆と梅干しになっている。学生寮だからさぁ、鮭とか焼くと臭くなっちゃうからね、仕方ないね。
ちなみに魔術学園も武術学園も学生寮で食事は出されない。だからみんな学園にある学食の方に行くらしいけれど、一回だけ行ったときに人の波に揉まれて酷い目にあってから自炊してる。
「んおー、うまそうな匂いだー」
「お前は本当にいいタイミングで来るよな」
ここ1週間でわかったことだが、ヨシュアは食べ物の匂いで引き寄せられるタイプのようだ。毎回作り終えそうな時間にやってくる。俺も実際そうだから文句が言えないのだが。
「わかってるさ。ところで今日から学校が始まるわけだが……」
「ああ、大丈夫だろうよ。だって俺ら同じクラスだっただろ?」
そう、魔術学園の4人は同じクラスだったのである。ちなみに武術学園の4人も同じクラスだったそうだ。これは絶対裏で学園長がなんかやったな。感謝しておこう。
「どんなクラスなんだろうな」
「さあね、僕の知らない人たちがほとんどだからね。まあ、僕とリュークならなんとかなるんじゃない?最悪の場合、友達がいなくても相棒がいるしな」
「うわぁ、それほんとに最悪のパターンじゃないか、俺は絶対にそれは嫌だぞ?友達が1人だけとか勘弁してくれ……!」
朝食を食べ終わったら身支度をしてから学園に登校する。現在時刻は午前7時30分。ちょっと早めにつくかな、くらいだ。
学園についたら早速俺らのクラスへ向かったのだが、いかんな。早すぎたのだろうか、誰もいない。俺らのクラスは「Dクラス」となっている。クラスは上から順にS、A、B、C、Dとなっている。俺らは一番下のDクラスだ。なんでもDクラスは落ちこぼれクラスなんだとか……
ホームルームが始まるまでの間にヨシュアと魔法の開発と改良の話をしておくことにしようかな。
「なあ、ヨシュア。お前そろそろ魔力とかにも余裕が出てきたはずだろ?魔法の開発か改良してみないか?」
「魔法の開発はわかるけど……改良って何のことだい?」
「あー、完全に思念で作ってない魔法ってさ、魔法構成に術式を挟んでるだろ?少なくとも俺達は。だからその術式を高効率にしてもっと効率よく魔法を使いたいんだよな。」
「なるほどねー。じゃあ僕は水浸しの強化をしてみるよ。」
「くくっ、そうだな、無能の魔法で無双する人かも来るんじゃないか?」
「ふふふふ、それは面白そうだね。最近は出した水を操ったりもできるようになったしね。」
「もうそれ反則だよな。水魔法使いたい放題だもんな」
「ところで、改良ってどうやるんだい?」
「あー、今のお前ならやる気と根気があればいいかな」
「あ、術式を変えるんだもんね、だとしたら知識も必要だね」
走行しているうちにクラスメイトたちが登校し始めたようなので話をやめた。
「兄様、おはようなの」
「お2人ともさっきぶりですわね」
リリアとルナマリアも登校したようだ。
いやーしかし俺ら4人の席が偶然にも近くなったのは幸いだったなー。偶然にも、ね。
程なくして、俺らのクラスの担任がやってきた。ざわめくクラスメイトたち。俺も驚きが隠せない。
なぜなら俺らのクラスの担任は─────
「静かにしなさい、私がこのクラスの担任をします、マナリムです。しっかり鍛え上げるから覚悟していてくださいね?ちなみに向こうのDクラスはカトラスが担任だそうですよ。」
─────────学園長だったのだから。
驚きに満ちたホームルームが終わって、授業が始まったのだが一時間目はほとんど自己紹介で終わってしまった。
今は二時間目となるのだが……
「えー、二時間目の授業なんですが、みなさんに魔法の原理を教えたいと思います。原理抜きでやっても強い魔法は使えませんからね。」
との言葉が出たとおりに、座学だ。
「まず魔法ですが、魔力を利用して現象を引き起こせるものですね。やろうと思えば何でも出来てしまうので魔法には属性ははっきりとはありませんが、無理矢理に決めた基本属性があります。火、水、地、風、闇、光ですね。ちなみに魔法を使えない人間はいないです。個人差はありますがね。」
なるほど。だとしたら俺は風に傾いた魔法構成なわけだな。多分エレキボールも風属性だろう。
「魔法適正という言葉を聞いたことがあるとは思いますが、これは大したものではありません。そもそも魔法適正というのは後天的に偏り、強大になるものですからね。鍛えれば全属性、なんてこともできますよ。」
「あと魔法ですが、名前をつけてイメージを固定すると使いやすくなりますね。でも本来の魔法は現象があっただけだったんですよね。」
「イメージの固定された魔法は使えば使うほどに強くなります。」
へー、なるほどぉ。これは知らない情報だったな。使えば強くなる、便利なものってくらいにしか思ってなかったな。
その後の授業は言語と算術だった。
「おっと、時間ですね。それではこれから昼休みですから、昼食をとるなりなんなりしておいてください。以上です。」
今の時間は算術だったが、これは疲れるな…なにしろ今更感が半端ないもんで。
「あー疲れたぜぇ~……」
「確かにこれはしんどいね……」
「流石にいろんな意味で疲れたの」
「ところで3人はお昼はどうするつもりでしょうか~」
ルナマリアがふらふらしている。見ていて危なっかしい……
「「俺達は弁当だよ」」
「一緒にたべるの。」
4人で昼食をとっていると、ふと授業で学園長が言ってた言葉が気になった。
『まず魔法ですが、魔力を利用して現象を引き起こせるものですね~』
魔力を利用して魔法を使う。これは別に問題ない。本題はこっちだ。
『やろうと思えば何でも出来てしまうので魔法には属性ははっきりとはありませんが、無理矢理に決めた基本属性があります』
『あと魔法ですが、名前をつけてイメージを固定すると使いやすくなりますね』
『イメージの固定された魔法は使えば使うほどに強くなりますので』
最近はそんなことをあまりしていないが、昔に姉さん達と魔法の練習をしていた時、俺は魔法の名前を教わったんじゃなくて、イメージを現象にするようにしていた。これはイメージを固定していない魔法だ。毎回同じ効果を出すことが難しい、というかできない。
最近使っている魔法は名前を付けた思念と術式のハイブリッド魔法だからイメージは固定されていて、安定している。そしてレベルも上がっている。
考えてみるとここ数年の俺は効果を安定させるためにイメージを固定しない魔法を使っていない。鈍ったりするのだろうか。
少し気になるな。イメージを固定しない─術式無しの魔法。使い勝手の問題で俺が半分無意識に避けていた使い方。
マナリム学園長なら知っているはずだし、後で父さんにも相談してみよう。
「兄様、どうしたの?」
ジュリアに声をかけられた。大したことではないんだけどなー。
「んー、何でもないよ?ただちょっとね~」
「兄様のちょっとは大変なことなの。教えるの!」
「ああ、じゃ三人とも聞いてくれ。さっきの授業なんだがな……」
俺は思いついた仮説を三人に話した。
「なるほど、僕達が普段使って魔法だと上限が存在する……けれども安定はしないけどイメージの固定がされていない魔法なら上限が存在しないってことだね。」
「まあ、あくまでも仮説だからな、やってみないとわからないさ。」
「仮説が正しいとすると最初から思念型だけでやってる人たちが強くなるの?」
「それはわからないと思いますわよ?応用力とかもあるわけですし。それに今回に関しては先生からのメッセージ、というよりもアドバイスだと思いますね」
「……便利な方に行って本質を忘れることのないように、かな?」
「だったら今日の放課後にいつものところでみんなで試すといいの!」
「ええ、そうしましょうか。私も魔術学園に入るくらいですし、そういったこともやってみたいですし。」
「じゃあ放課後にいつものところな?」
「「「はーい」」」
「ところでリューク。時間が無いよ?」
「おっと、危ない危ない。急いで食わねえとな」
「早食いは体に悪いんですよ?」
「だが食べ物を残すのは勿体ないんだ。わるい、我慢してくれ。」
いつの間にか盛り上がっていたらしく、昼休みもギリギリの時間になっていた。魔法のことを考えるのは楽しいけれども、熱中しすぎるのは問題だな、今度から気をつけるようにしないと。
残り少ない昼休みはそんなことを漠然と考えながら過ごした。
今日の授業は5時間で終わりなので、この授業で終わりです。5時間目の内容は軽く魔法を使ってみよう、ということでした。
ということで、今は魔術学園の訓練場にいます。
「はいちゅーもーく!君たちには今から魔法を使ってもらうから、順番に1人ずつ使ってみてくれないか。これは君たちの実力を詳しく知りたいってのが大きく関わっているからね、手加減はしなくてもいいよ。」
「「「「ィヨッシャァァァァァァァァァ!!!!」」」」
クラスの男子のテンションが異常なまでに上がる。
「まあ静かにしなさい?座学ばかりで疲れただろうけれども、実技は一番大事なんだからね?はしゃぎすぎて失敗しないように気をつけなさい。」
「「「「はーい」」」」
あ、これ絶対聞いてないわ。そんな気がする。
「じゃあやってもらうけど、誰からやるんだい?」
「先生!俺から!俺からがいいです!」
(なんか男子が本当にテンション高いな。というかさっきからリリアとルナマリアの方ばっか見てるだろ、わかるんだぞ。下心ありありでなんかでっかい魔法使って俺かっこいいんだよアピールするつもりなのか?そうなのか?)
考えるのも面倒になってきたのでヨシュアの方にさりげなく近づいていく。
「(ヨシュア、俺は最後にやるぞ。それまではしっかりと見ておきたいからな。あと、昼休みの話、忘れてないだろうな?自分の番の時に試してみろ。)」
「(わかった、やってみる。できるかはわかんないけどな。)」
「(別に今できなくてもいいんだぜ?)」
そう言ってやると、ヨシュアはニヤリと笑った。本当にキメ顔が似合うやつだな。嫉妬するぞ。
「(わかってるさ)」
自分の中で魔法のイメージをしながらクラスメイトの魔法を見る。
一番最初に名乗りを上げたクラスメイトの魔法は……炎か。
「ファイヤーストーム!」
叫ぶと同時に炎が出て、渦を巻いて高速で回転し始めた。だが惜しいことに見た感じが炎の嵐というよりも炎の渦、もしくは炎の竜巻だった。しかも魔力の集め方もムラがありすぎるし、動きも安定してない。
「へっへっへ、やったぜ?」
満面の笑みを浮かべながら戻ってくるクラスメイト。
「「「おおおお!!」」」
拍手が起こった。まだ改善の余地があるんだけどなぁ、とか思いつつもそんなことを言うほど野暮ではないので混ざって拍手する。
「ほお、炎の嵐だけになかなかの火力だったね。次は誰がやるんだい?」
残りのクラスメイトたちも張り切って魔法を使っていき、残りは俺らの四人だけになった。
「それじゃあ私から行ってきますね」
「ルナ、行ってらっしゃい」
「行ってきます」
リリアとルナマリアのやりとりは見ていて微笑ましい。それを見る男たちの目は……見なかったことにしよう。
「うわぁ、男子の目、ちょっと無いわー」
「登校初日なのにね、どうしてあんなにぎらついてるのかしらね、ケダモノだわ。」
「リューク君とヨシュア君を見習って欲しいねー、あんなにがっついて……」
女子の目が冷たくなってるぞ男達。優先順位を間違えることなかれ、男達。
そして女子たちよ、それは間違っているぞ。ジュリアと出会ってなくてリリアが妹じゃなかったら俺は間違いなく告白してたと断言できるぞ。
「いきます」
「ふむ。」
掛け声と同時にルナマリアが魔力を練り始める。そういえばクラスメイトの中で魔力を練った者は一人もいなかったな。より濃い魔力が出せるからその分、魔法が強くなるんだけどねぇ。
「(リューク、あのふたりにも例の件言っておいたからな)」
「(おっ、さすが気遣いのできる男だぜ、やるぅ~♪)」
「(へへっ、あんがとさんっ♪)」
ところで魔力を感じることは出来ても、自発的に見ることはできないものだろうか。多分魔力から違いが出てくると思うんだけどな。
「おいでっ!」
「「「「おおおおおおおおおおおお!!」」」」
今日一番の歓声が上がった。何事かと思ってみてみると、ルナマリアが一対の火の鳥を召喚していた。その鳥を目を凝らして見ていると、微弱だが魔力の流れが見えるようになった。
何事かと思っていると、アナウンスが入った。
『魔法スキル【魔力視Lv1】を獲得しました』
へえ、便利なスキルがあるんだなあ。そう思いつつも火の鳥を観察する。
左側の火の鳥と右側の火の鳥で魔力総量は変わらないのか。
そこまで調整できるとなると、ルナマリアの魔力制御と魔力操作がかなりのものだとわかる。
しかし二羽?の火の鳥から感じる魔力は、左側のものは全体的に満遍なく広がっていて薄く、右側のものの方は中心に寄っていて、濃い。
これは右側が術式無しのやつかな?
ところで攻撃力はどうなってるんだろうか。なんて思っていると、二羽の火の鳥は地面に向かっていき、スレスレで爆発した。
うん、これは明らかに右の方が強いね。
「終わりました」
終わったようなので、答え合わせをしてみる。
「ルナマリア、さっきの火の鳥、右側が術式無しか?」
「あっ、わかっちゃいました?実はそうなんですよ、えへへー」
ふむ、だとしたらイメージだけでやると威力が高くなる可能性が高いな。
「リューク、次は俺が行くよ!」
「おう、気張ってけよヨシュア」
「まかされた!」
笑いながら出ていくヨシュア。
「ヨシュアくーん!こっち向いてー!」
「キャー!カッコイーーー!」
「ああ、ヨシュアくん素敵……」
女子の歓声がすごい。確かにイケメンだよなぁ。
「なあ、あいつって……」
「やっぱり思ったか?あいつが噂の無能だろうよ」
「うわぁ、なんだっけ、魔法がすっごく使い道に困るやつなんだっけか」
対する男子との温度差よ!
「僕の魔法は普通に強いし、僕自身も無能ってわけではなさそうだよ?」
「なっ!?」
そういいながらヨシュアが男子たちの近くを通り抜ける。
「やりますね。」
「やってください。」
ヨシュアもルナマリア同様に魔力を練り始める。二つ同時、別々に練り上げるのだから相当な技量が問われるんだろうな
「……?!……っ!……!!」
反応からして相当に難しいんだろう。肝心の俺はできるのか?不安だな。
「おいおい、まさか魔法すら使えねえのか?」
「ははは、見た目だけかあ、やっぱり無能なんだな!」
こういう輩って、わからないやつはわからないと知っていても頭に来るんだな。
「……~~っ!いけっ」
その声とともにヨシュアの前方10m×10mに高さ5cmの水のフィールドが出来上がった。
だがただの水ではなく、左半分がとても魔力の濃い水になっている。
ふむ、左半分がイメージか。右半分は術式が入ってるな。
「ここからが本番だよ!」
ヨシュアが言うのと同時に水の魔力が動き出す。
動いた水は───
────2頭の水龍へと形を変えた。
「!!!!」
みんな驚いてるみたいだけど、もう一段階あるんだよね。
「これで最後!フロスト!」
その声に反応するかのように透明な龍は白い冷気を発する氷の龍になる。
「穿て!」
2頭の氷龍は地面に大穴をあけて、消えていった。
やはり術式無しの方が強いな。より深くて鋭い穴があいている。
「おいおい嘘だろ……」
男どもが膝を落とす。
「キャー!ステキー!抱いて!」
黄色い歓声が上がる。だがそんなものお構い無しに戻ってくるヨシュア。イケメンだ……。
「お疲れ様」
「疲れたよ。左側の方が術式無しだったけど、あそこまで変わるとはね。」
「やっぱりか。」
「兄様、行ってきます」
「おう、頑張れよ。」
「「「リリアちゃーーーーん!!」」」
男どもが復活した。
リリアは歩きながら魔力を練っている。器用だなあ。
「やります、ウインドアロー」
あれ、リリアってウインドアロー教えたっけか。
たしか教えてないはずだよな。
だとしたらいきなりでやるつもりか。
我が妹ながら豪快なヤツ。
リリアがそう言ってからはすぐだった。
目の前に現れた200本ほどのウインドアロー。
見るだけでもうわかる。全部だ。全部術式がない。
普段のウインドアローよりも荒々しい風の矢ができている。もちろん魔力も濃い。
「貫け、アローレイン」
すべての矢が一斉に落ちてきて、凄まじい風圧を生み出す。
矢はすべて地面に深くまで埋まっている。
なるほど、これは仮説が本格的に有力になってきたな。
さあ、あとは俺だけか。とりあえずリリアをねぎらっておく。
「お疲れ様。一度にあれを術式無しでやるなんて、予想以上だったぞ」
「兄様の使えるものはリリアも使えるはずなの。当然なの。」
頭をなでておいた。
「リューク、どんなのを見せてくれるんだ?」
「へへっ、期待しておけ」
期待しておいて欲しいなぁ、でも緊張してます。
「君がラストになったね。」
「ええ。」
学園長が話しかけてきたので魔力を練りながら会話をすることにした。
「やっぱり気づいたみたいだね。」
やっぱり、ね。予想通り授業で言ったことは俺達へのアドバイスかなにかだったらしい。
「まあ露骨でしたしね。ついでに放課後に時間ください。四人で行くんで話しましょう。」
「流石に全部は教えられないよ。」
「それでもいいです」
「……わかった。放課後に私の部屋に来てくれないか。」
「ありがとうございます。」
「よし、いきます」
今回は二種類にはしない。四種類にする。
最高Lvのエレキボールと、それと同じMPの記述なしのエレキボール。
最高Lv+1に出来ると思って魔力を更に詰め込んだエレキボールとそれと同じMPのエレキボール。
最初の二つまでは良かった。だが次の二つがまずかった。
特に限界突破で記述ありのエレキボール。
一気にMPがごそっと持ってかれてびびった。
だがそれでも気合で作り切って魔法を完成させる。
「エレキボール!」
放たれた魔法は4箇所で爆発した。凄まじい放電が起きて、地面がえぐれる。
結果として見てみると、エレキボールの火力は。
最高Lv<最高Lv+1<最高Lv記述なし<最高Lv+1記述なしだった。
ふむ。これは明らかに記述無しの方が強いよね。一体どうしようか。
五時間目はあっという間に過ぎていった。
教室で終わりのホームルームをする。
「これで今日の授業は終わりだよ。お疲れ様。怪我の内容に帰ってくれると嬉しいね。じゃあさようなら」
「「「「「さようなら~!!」」」」」
「よーし、帰るか。なあヨシュ「ねえねえ、リュークくん、放課後、暇?良かったら一緒に喫茶店でも行かない?」……」
終わったと同時にこれだよ!悪いけど俺にはジュリアがいるんだ。
「ねえねえヨシュアくん、今から一緒に訓練場に行かない?魔法を教えて欲しいの!」
ヨシュアに助けを求めようとしたら、ヨシュアもだった。てか訓練場に誘うとか何なんだよ。訓練場デートなんて聞いたことねえぞ。
「リリアちゃん、今から遊びに行かない?」
「ごめんなさいなの、用事があるの。」
「用事が終わってからでもいいんだよ?」
「すぐに終わる内容じゃないの。三時間くらいかかるの。」
「三時間でも待つからさ~」
「しつこい男は嫌いなの。兄様みたいにストレートでしつこくない男が好きなの。」
「う゛っ」
鉄壁のリリアだった。にしてもリリアは俺のことが好きなのかー、可愛い妹だ。デルタが聞いたら血の涙を流すだろう。
「ルナマリアさん、放課後暇ー?」
「私たちと買い物に行かない?」
「ごめんさい。今から四人で行かないといけない用事があるので……機会があればまた今度で。」
「そっか、わかった。じゃあまた今度ね。バイバーイ」
「さようなら~」
一番ましだったのがルナマリアだった。そして結局人に集られて教室を出るのに10分ほどかかってしまった。
もっと目立たないようにするべきだったかな。あー失敗した。
自分の頬をぺちぺちと叩いて気合を入れる。
さて、気を取り直して。記述のあるなしでなんで差が出るのか、学園長に教えてもらおうか。
「行こうぜ」
「そうだね」
「行くの」
「そうですね」
魔法の新しい知識を得たことは嬉しいが、その関係で登校初日から俺達の学校生活は大忙しのようだった。
PVが1,000を突破しました!見てくださっている方々、ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。




